アビスパ福岡 補強診断〜チーム別補強診断#17〜
こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに後半戦が始まり、チーム状況を見直しての目標の再設定が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第17回となる今回は、アビスパ福岡編です。
なお、すべての情報は7月22日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。
補強動向
改めて、今オフのアビスパ福岡の補強動向を振り返っていきましょう。
なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#17 ~アビスパ福岡編~』に記載されている表になります。
また、この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。
【IN】
柳貴博 ←北海道コンサドーレ札幌(期限付き)
ジョン・マリ ←アル・シャバブ(サウジアラビア)(完全移籍)
【OUT】
重廣卓也 →名古屋グランパス(完全移籍)
杉本太郎 →徳島ヴォルティス(完全移籍)
*なお、ジョン・マリ選手は加入直後ですので言及しません。
試合結果
選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。
J1リーグ
ルヴァンカップ
天皇杯
個人スタッツ
それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。
①永石拓海(←セレッソ大阪)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季もセレッソ大阪よりアビスパ福岡へ期限付き移籍をしていましたが、本所属元のセレッソ大阪との契約が満了になったこともあり、フリー移籍で加入しました。
昨季は、主に2番手と3番手の立ち位置で半分程度の試合でベンチ入りはしましたが、村上選手の牙城が高く、リーグ戦での出場機会を掴むことはできませんでした。しかしながら、しっかりと戦力構想には入っていたので、アビスパ福岡のGK陣を考える上で、必要不可欠な存在として完全移籍へ移行したと考えられます。
考察
今季は、開幕からベンチ外やベンチ入りなどなかなか昨季と変わらない起用法でした。が、ルヴァンカップで4試合、天皇杯で2試合に出場し、安定したパフォーマンスを見せると、第19節のFC東京戦で初スタメンを果たすと、ここまで4試合連続でスタメンフル出場を果たしており、序列に変化をもたらしています。
評価
評価は『B』としました。
昨季とは異なり、試合に出場していることはポジティブですが、それでもここ4試合のみで他の試合は昨季と同様の立ち位置であり、評価は及第点の『B』としました。
②前嶋洋太(←横浜FC)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、3バックにウイングバックのシステムを採用している横浜FCで右のウイングバックとして半分程度の試合にスタメン出場を果たし、「準主力」の立ち位置でした。しかし、本職は右サイドバックの選手で、サロモンソン選手が退団し、アグレッシブな右サイドバックを好むアビスパ福岡にとって最適解であったと言えるでしょう。
考察
昨季の横浜FCでも主力ではなかったことを踏まえると、なかなか「即戦力級」と言えるかというと微妙な状況でしたが、それでも開幕スタメンを果たすと、ここまでに過半数の12試合にスタメン出場を果たすなど、しっかりと立ち位置を確保しています。
横浜FCの経験を活かし、たまには右サイドハーフで起用されるなど、ユーティリティー性も活かしています。
評価
評価は『A』としました。
横浜FCより移籍した中で、しっかりと序列争いに割って入り、過半数の試合にスタメン出場するなど、期待値以上ともいえる活躍ではないでしょうか。
③熊本雄太(←モンテディオ山形)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
J2のモンテディオ山形で早稲田大学から大卒一年目で加入して以降、守備の要として圧倒的な存在感を見せ、チームのJ2上位進出に貢献し、かねてよりJ1への移籍の噂があった中で、このオフにアビスパ福岡へ移籍しました。
今オフの動向を見ると、グティエレス選手がJ2の栃木SCへと移籍しており、センターバックの頭数が少なくなっている穴を埋める獲得と言えるでしょう。
考察
開幕から5試合は2試合に先発し4試合に出場するなど、しっかりチームに貢献していたかに思えましたが、第6節でベンチ外となると、その後はFC東京戦でベンチ入りをしましたが、その他の試合はベンチ外となっており、戦力構想に全く入っていないというのが現状でしょう。
評価
評価は『C』としました。
J2屈指の選手として現状は寂しいものです。一方で、グティエレス選手の穴を埋めるということで、「主力候補」での獲得ではありませんでしたので、『D』ではなく『C』にしました。
④奈良竜樹(←鹿島アントラーズ)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、期限付き移籍でアビスパ福岡へ加入しており、主力として活躍し、今季より完全移籍に移行しました。昨季の活躍は、アビスパ福岡をJ1残留、中位躍進に導いた堅い守備を構成する上で欠かせないものであり、本格的にJ1残留、定着するために今季も守備の要となることが期待されているでしょう。
考察
開幕当初は5試合連続ベンチ外となりましたが、第7節で今シーズンのリーグ戦初スタメンを果たすとその後は、リーグ戦で2試合を除き先発出場。ルヴァンカップのプレーオフステージでも2試合に出場するなど、しっかりと主力に返り咲きをしたと言えます。
評価
評価は『B』としました。
昨季同様主力としての活躍を求められていた中で、開幕当初は苦しい結果にはなりましたが、最近はしっかりと主力に返り咲いており及第点と言えるでしょう。
⑤柳貴博(←北海道コンサドーレ札幌)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
今季の開幕は、北海道コンサドーレ札幌で迎えました。札幌のウイングバックを採用するシステムに完璧にフィットしていたとは言えず、なかなか主力になることはできていなかった中で、期限付き移籍でアビスパ福岡に加わりました。
元々、FC東京やベガルタ仙台でプレーしていた時には、「攻撃的なサイドバック」としてプレーしていましたが、札幌加入後にウイングバックでプレーしたことで、右サイドハーフでのプレーも増え、右サイドのユーティリティプレーヤーとして、選手層を厚くするための獲得と言えるでしょう。
考察
加入後、あまり先発機会はありません。ベンチ外と途中出場が半分程度という起用になっています。天皇杯では、サイドバック起用ですが、リーグ戦ではサイドハーフ起用と実際に、右サイドのスペシャリストとしての起用が続いています。
ベンチ外の試合も一定数あるため、完全に「準主力」になれたかと言えば疑問符が残ります。
評価
評価は『C』としました。
加入後の期待された立場は「準主力」であったとは思いますが、期待通りの活躍はできていません。一方で、しっかりと出場機会は得ているので、かなり『B』寄りの『C』と言えるのではないでしょうか。
⑥井上聖也(←甲南大学)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
井上選手は、幼少期から兵庫県でキャリアを歩んできた選手で、大学も同じく兵庫県の甲南大学へ進学しました。年代別日本代表のキャリアはありませんが、身長が187cmあるセンターバックということでかなり大柄な選手です。
身長の通り、空中戦に強みのある選手で、タイプとしてはグティエレス選手に似ているイメージと言えるでしょう。将来的に、福岡を支えるストッパーになりうるポテンシャルを秘めた選手であると言えます。
考察
開幕当初は、奈良選手を抑えメンバー入りをするなど、躍進していましたが、出場はなく、第5節以降は一度もリーグ戦のメンバー入りはありません。しかし、控え組でのぞむことが多い、ルヴァンカップでは5試合に先発フル出場しており、徐々にJ1のレベル感に慣れてきている段階と言えそうです。
天皇杯でも出場機会を掴んでおり、出場機会の得かたは、良い意味でも悪い意味でも「普通の大卒ルーキー」と言えるでしょう。
評価
評価は『B』としました。
先述したように、出場機会の得かたは良い意味でも悪い意味でも「普通の大卒ルーキー」といえる状態で及第点と言えるでしょう。
⑦田中達也(←浦和レッズ)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
元々、アビスパ福岡の下部組織に所属した経験もある選手で、上に上がることはできず、東福岡高校に進学しましたが、ある意味、「古巣復帰」と言える状態です。
昨季までは、浦和レッズに所属しており、「絶対的な主力」ではありませんでしたが、持ち前のドリブルで攻撃に違いを生むことができる選手で、ガンバ大阪や大分トリニータでのプレー経験もあり、J1でのプレー経験が豊富な選手で、山岸選手と共に「主力候補」となりうる選手としての獲得と言えるでしょう。
考察
出場試合こそ多いものの、先発機会は8試合のみと少し苦戦している印象です。チームの主力になっているかと言えば、そうではなく、期待された働きができているかと言えば微妙です。加えて、リーグ戦での得点は1得点のみと、サイドハーフと攻撃的なポジションの選手としては寂しい結果になっています。
評価
評価は『C』にしました。
「主力候補」としては寂しい結果でなかなか、目に見える結果も出ていませんので、及第点とは言えないでしょう。一方、「スーパーサブ」としての立ち位置を確立するためにも、もう少し目に見える結果が欲しいところです。
⑧ルキアン(←ジュビロ磐田)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨年のJ2得点王で、今オフの移籍における目玉移籍と言えるでしょう。
昨季の福岡は堅守に支えられて中位躍進を果たしましたが、さらなる上位進出やJ1定着を図るためには、攻撃陣の強化が必須で、J2得点王で日本で活躍できることは折り紙付きのルキアン選手をジュビロ磐田より獲得したと言えます。
考察
開幕から4試合は、「新エース候補」として先発出場しましたが、得点という結果を残すことができず、その後は半分程度の先発機会になっています。ここまでのリーグ戦では3得点を記録していますが、その3得点はいずれもFC東京戦であり、「新エース」として活躍しているかと言えばNOです。
ルヴァンカップや天皇杯でも出場機会を掴んでいますが、なかなか得点という形での結果にはつながっておらず、「新エース」としては及第点と言えないでしょう。
評価
評価は『C』としました。
「新エース候補」としてここまでの結果は及第点とは言えません。一方で、出場機会を掴んでいないわけではなく、出場はしており、時折光るプレーも見せており、そのことを踏まえ、『C』としました。
⑨東家聡樹(←FC今治)
試合スタッツ
・Jリーグ
・ルヴァンカップ
・天皇杯
獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、FC今治に期限付き移籍で加入し、多くの試合に出場しました。しかし、なかなか得点という結果を残せず、所属元であるアビスパ福岡に復帰しました。
いきなり、「主力」になれるかと言えば、J3での成績をみてもYESとは言えず、カップ戦を中心に出場機会を掴むことが目標でしょう。
考察
リーグ戦でメンバー入りはできていません。
ルヴァンカップでは、3試合に出場しています。そのうち、2試合に先発出場していますが、いずれも途中交代となっています。天皇杯では1試合に途中出場し、得点を決めましたが、その後の出場機会は増えておらず、厳しい結果と言えそうです。
評価
評価は『C』としました。
復帰後、カップ戦の一部試合で試合に出場しており、全くの期待はずれとは言えませんが、カップ戦でも一部の試合での出場となっており、期待通りとは言えないでしょう。
全体評価
それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。
以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。
全体評価は「C」としました。
J1に定着するために実績のある選手を確保した移籍市場ではありましたが、なかなかチーム内で期待された働き、結果ができていない選手も多く、『C』としました。
最後に
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