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「読書感想文」天気予報士エミリ〜本物の後編!〜

 私は私を否定できない。今の自分を作っているのは過去の経験である。だから過去の行動を否定したら今の自分まで否定したことになってしまう気がしている。ずっと目を背けていたけれど、エミリに自分を重ねることで、自分と向き合う機会を得た。エミリより…と比べたくなる気持ちもあるが、そんなのはどんぐりの背比べである。私の人間関係、タグピンより太いなんてことはあるだろうか。読了し涙が出たのは、孤独を感じたからだと思っている。バツンという音に聞こえないふりをしたが、心にはタグが落ちている。それはもしかしたら私なのかもしれない。
 マッチングアプリで闇雲に何かを探していた。何を探しているか言語化できずにいたのだが、謎が解けた。私は緩衝材を探している。母、そして、家族と私の間に挟まってくれそうな緩衝材を携帯の画面から見つけようとしていた。それは学歴や年収といったところだろうか。この人なら家族も何も言わないでいてくれるのではないかと、自分が変わることを放棄して、人に役割を果たしてもらおうとした。そんな役誰が勝手出てくれるだろうか。私にはその役を買って出てもらえるだけの魅力はない。しかも、もし自分がその役をやってほしいなんて言われた日には靴が履けてなくても走って逃げる。自分ではやらないことを他人に押し付けるなんて、おかしなことをしているなと思う。マッチングアプリなら、今まで出会ったことのない全ての役割を担ってくれる最高の人に会えるんじゃないかと思っていたけれど、そんなことはない。どんなに画面をスワイプしていても、空想の世界にワープしても、現実世界を生きなくてはいけない。マッチングアプリは普段出会えない人とは出会えるけれど、それを日常に繋ぐには指一本では私にはどうしようもできなかった。私はまだ指一本に自分の将来は預けられなかった。その機能にかまけてはいけないとマッチングアプリをアンインストールした。アンインストールしただけでは何も変わらないのだけれど、私はこんな自分と共にまた日常に戻りたいと思う。


終わり。最後に(え?まだ続くの?笑ここから先は温かい目で読んでください。私ワールドさらに全開なので。)

 私の心が捻くれているからか、小説なども含め作品などは、「いやいやこれどこの世界の話やねん!こんなイケメンも美人もおりまへんがな!」と心のなかの大阪のオバチャンがツッコみまくってしまうのですが、タイムリーで鮮度が保たれた恋愛の形というか、これはどうやって作り出したんですか?!どんなご経験を積まれているんですか?!尾久さん!と尾久さんの肩を掴みながら前後に揺らし、聞きたくなりました。
尾久守侑さんの作り出す世界に私は引き込まれました。この世界は心地よくとても好きです。表現の秀逸さたるや。痒いところに手が届くというか、そう!それだ!と目から鱗が落ちました。
「天気予報士エミリ」を読んでいる時、何度笑い、頷いたかわかりません。私は赤べこにでもなったのでしょうか。いいえ、違います。私は人間のまま「天気予報士エミリ」を読んでいた時間、考えていた時間すごく楽しく過ごせました。
今度読む「ASAP さみしくないよ」も楽しみです。

こんなに長くなるつもりはなかったのですが、読んでくださった方やスキをくださった方、ありがとうございました。そして、なによりも尾久守侑さん、ありがとうございました。目に留まったら嬉しいなと思いながら、終わりにしたいと思います。
今の年齢で「天気予報士エミリ」に出会い読めたのは私にとって宝物です。

こつぶ

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