外孫、内孫⑤
彼女が他界して1週間弱。
いろいろなことを思い出した。
本当は「失恋話」と交互にこの「外孫、内孫」を取り入れるはずだったが、お葬式に出るまで、そして出てからは少し連続で投稿していきたいと思う。
彼女との思い出は、
みんなの気持ちで脚色され、認知症という病気によって私の悲しい気持ちが乗っかってしまった。
彼女はどんな人柄だったのかわからない。
彼女を思い出す度に、小さい頃の寂しさが一緒についてきてしまう。
彼女と笑った記憶がない。
彼女がいない時に出てきた彼女の話題では、だいたい両親は喧嘩していた。
不穏な空気が流れる度、彼女が悪いんだと思った。でも、今知識と合わせると彼女が悪いのではなく、病気が彼女を悪く見せてしまっていた。
小さい頃の自分に言いたいのは、
あなたは悪くないよ。悲しい気持ちは押さえ込まずに、一緒に分かち合いたいから、思ったままに口に出していいよと伝え、抱きしめたい。
私が感情を出してしまうと、
それがさらに喧嘩の際にどちらかの意見を進めるタネになってしまう。だから、私はただそれを終わるのを待っていた。
4歳だか、3歳だかその時の記憶で、
祖父母の自宅に父親と行くと、祖母がいて、祖母は私には目もくれず、父親と話しながらどこかに行ってしまう。リビングでポツンと待っていると、お風呂から上がった祖父が、「良くきたね」と言ってくれた。祖父は私がいることで喜んでくれる。
それが嬉しかった。何を言うでもなく、何をしているわけでもないのにそこにいるということで、会うことで喜んでくれる。
そんな記憶。だから、そのあと祖父の闘病生活が始まったことがとても悲しかった。
「良くきたね」とはあの白い病室では言ってくれず、祖父と話した記憶はない。
ある日、父親に手を握るように言われた。
父はすごく悲しそうな顔をしていた。
その日のことは忘れないと思う。
あのただならぬ空気。どんどんみんなが集まってきて、みんな全然笑っていなかった。
私は祖父の手を握り、その上から父が覆いかぶさった。そうして私は言った
「どんどん冷たくなっているよ」