河童の子
河童を婿にしたものは河童の子を産みます。
河童の子は殺さなければなりません。
河童の子が生まれたら、切り刻み、1升樽に入れて、土中に埋めます。
河童の子は醜悪なので、一目でわかります。
ある日の事です。
ある家の者一同が夕方畑から帰る時です。
女が川の水際でうずくまり、にこにこと笑っているのを見ました。
次の日には、昼に同じ様な姿を見ました。
日が重なり、その女の所に村の〇〇が通っているという噂が立ちました。
初めはその女の婿が浜の方に駄賃付きに行っている時の留守に来ていると言われていました。
しばらくして、婿が来た日でも通ってくるようになったと噂になりました。
人々はその通っている男は河童だろうと噂をしました。
その噂に婿の一族は焦りました。
一族はその妖しい男から女を守ろうとしましたが、無駄骨に終わりました。
そして、娘の婿の母が娘と共に夜を過ごす事にしました。
くかかかかか
深夜に娘は笑いだしました。
「河童が来た」
婿の母はそう思いましたが、恐ろしくて動けなかったのです。
何をしてもただ虚しく時間が進むだけでした。
そして、娘のお腹が大きくなってきました。
そのお産は凄まじく、娘の叫び声は家が割れるのではないかと思われたほどです。
そして、中々産まれてきませんでした。
「河童の子は馬槽に水を入れその中に落とせば簡単に産まれる」
という言葉を聞いていたので、それを試すと簡単に産まれたのでした。
うぎゃぁうぎゃあと馬槽で泣く赤子には水かきがありました。
そして、その子を刻み樽に入れ、土中に埋めたのでした。
その娘の母親も河童の子を産んだと言います。
河童が好む血があるのだろうと人は言うのです。
その家は富豪でした。
○○○○という士族で村会議員も出た家でした。
聞き伝える昔の話でございます
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