天に千木高く「唯一神明造り」 元伊勢一一〇 神話は今も生きている ことの葉綴り四四〇
こんばんは。週末の夜、いかがおすごしですか?
金曜日は、やはり「ことの葉綴り」に向かうのは夜遅くになり、瞼が落ちそうですが(苦笑)。今夜も少し進めます。宜しくお願いします。
「神道関連」マガジンに私の記事が追加されました。
ありがとうございます。
※これまでの神代~16の神話の物語(1~433回まで)のまとめはこちら。お好きな神様の物語をご覧になってください。新たな「元伊勢 倭姫命さま」物語もマガジンに「まとめ」ました。
五月十四日、伊勢の神宮では、倭姫命さまにより天照大御神さまがお鎮まりになられて以来続く、皇祖神(すめおほみかみ)さまのお召し物を奉る「神御衣祭(かんみそさい)」でした。
空高く、千木高知りて
垂仁天皇の御代、二十六年丁巳(ひのとみ)年十月、甲子(きのえね)の日、天照大御神さまを、いよいよ伊勢の五十鈴川の川上「五十鈴宮」へとお遷し申し上げることになります。
そして、倭姫命(やまとひめのみこと)さまは、大幡主命(おおはたぬしのみこと)をはじめ大勢の物部の臣下たちに、天照大御神さまがお鎮まりになる立派な清らかな御殿のつくりかたを、お伝えになりました。
まず、その地を平らかにして、山の神に、木を伐り出すお祀りをして、木の根や枝葉を奉ること。
お清めされた清浄な釜や斧を使うこと。
そして、天照大御神さまの御殿は、天上の高天原に届くがごとくに、千木(ちぎ)を高く造ること。
一方は、この大地の地中深くになる岩に、太い柱を広く敷き建てること……と。
「斎柱立て<一(また)の名は天御柱(あめのみはしら)。一(また)の名は心御柱(しんのみはしら)>
高天原に千木(ちぎ)高知り、下都磐根(したついわね)に大宮柱(おほみやばしら)広敷(ひろ)しき立てて、天照太神並びに荒魂宮(あらたまのみや)・和魂宮(にぎみたまのみや)と鎮め坐(ま)し奉る。」
これ、覚えていらっしゃいますか?
初代の斎王であられた豊鋤入姫命(とよすきいりひめのみこと)さまの「元伊勢」物語。
ご巡幸地の「丹波国」の「吉佐宮(よさのみや)」。
京都府宮津市「籠(この)神社」さま。
そちらの拝殿、棟柱、心御柱など……伊勢の神宮と同じつくりだったことを。
唯一神明造り
この「元伊勢」と比定されているお宮には、「神明造り」の神社もありましたね。
伊勢の神宮のご正殿は「唯一神明造(ゆいつしんめいづくり)」と呼ばれ、日本古来の建築方式です。
萱葺の屋根、柱は掘立(ほったて)
シンプルで美しい!!
また、「千木(ちぎ)高知り、下都磐根(したついわね)に大宮柱(おほみやばしら)広敷(ひろ)しき立てて」とあります。
千木(ちぎ)は、お屋根から天に向かい伸びるところ。
皇大神宮(内宮)では、内削ぎで、天に向かい平行になっています。
この後、約五百年後にご鎮座された豊受大神(外宮)の千木は、外削ぎで、天に向かって垂直方向に向いているのです。
またお屋根に上に並ぶ丸い筒のような木を「鰹木(かつをぎ)」といいます。皇大神宮(内宮)は、十本。外宮は九本。
祝詞「大祓」にも同じような言葉があるのです。ちょこっと、ご紹介。
(略)
大倭日高見國乎 安國登定奉里氐 下都磐根爾 宮柱太敷立氐
高天原爾 千木高知里氐 皇御孫命乃瑞乃御殿仕奉里氐……。
天照大御神さまがお鎮まりになる清らかな御殿が建造されていきます。
時に美船神(みふねのかみ)、朝熊水神等(あさくまのみなとのかみたち)、御船に乗せ奉りて、五十鈴の河上に遷幸(みゆき)したまふ。
時に河際(かわばた)にして、倭姫命、御裳(みも)の裔(すそ)長く、計加礼(けがれ=穢れ)侍(はべ)りけるを洗ひ給へり。
其れ従(よ)り以降(このたか)、際(ほとり)を「御裳須曾(=裾)河(みもすそがわ)」と号(なづ)くる也。
倭姫命さまは、大幡主命(おおはたぬしのみこと)をはじめ大勢の物部の臣下たちに、天照大御神さまがお鎮まりになる立派な清らかな御殿のつくりかたを、お伝えになりました。
そして、次に、美船神(みふねのかみ)、朝熊水神等(あさくまのみなとのかみたち)は、御船に、天照大御神さまを、お載せ申し上げて、五十鈴川の川上に、お遷し申し上げたのです。
このときのことです。倭姫命さまがお召しになっている、腰にまとわれた御裳(みも)の裾が長く、ご巡幸で歩いてこられたことから、汚れていましたので、五十鈴川のほとりで、その長い御裳(みも)の裾をお洗いになられてお清めされました。
このことから、それ以来、この川の辺りは、「御裳須曾河(御裳裾川みもすそがわ)」と呼ばれるようになりました。
この「御裳裾川(みもすそがわ)」、私たちも目にしています。
伊勢の神宮の皇大神宮(内宮)のご神域を流れている五十鈴川を、「御裳裾川(みもすそがわ)」と呼ぶのです。
内宮で、手を浄める「御手洗場(みたらしば)」もそうです!
―次回へ
#一度は行きたいあの場所
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