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三人の“夫婦仲直り”作戦 仁徳天皇十九 神話は今も生きている ことの葉綴り六九六
金運招来の寅の日
おはようございます。一月二十五日、初の天神様のご縁日!
そして寅の日! 虎は千里を往って千里を還ることから、出したお金が戻ると金運招来の吉日です。
暦は、六曜は「仏滅」で、勝負なしの日。
十二直は、障害を取り除く「除」医師へのかかりはじめ、薬の飲み始め、掃除、種まきに吉。二十八宿は「室」で、祭祀、お参り。祈願始め、婚礼、お祝いごとに吉です。
では、さっそく神話の物語に入ります。
<ことの葉綴り>全体のご案内
「ことの葉綴り」は、神話の物語を、神代から神さまごとに20の「マガジン」に分けて、すべて読めるようになっています。
最新は「神話20 八幡大神さまこと応神天皇さまの物語 」です。
三人寄れば文殊の知恵で
第十六代、仁徳天皇さまの御世の物語。皇后の石之日売命さまは、宮中を出て、山代の国の奴理能美に身を寄せています。心を閉ざされて、夫の待つ宮中へとお戻りになる気配はまったくありません。
天皇の御歌を奏上するために訪れた家臣の丸邇臣の口子。その妹で、皇后さまに使える女官の口比賣、そしてこの屋敷の持ち主、奴理能美たちも困りはてておりました。
あまりにも長い間、天皇の御歌を、皇后さまが無視されていると、天皇さまもお怒りになり、状況がさらに悪化してしまいます。
三人は、ひざを突き合わせて、天皇さまと皇后さまのこの“夫婦喧嘩”“別居騒動”を仲直りさせるには、どうすればいいかの相談を始めました。
そして話し合いの結果、一つの作戦に出ることにしたのです。」
三度姿を替える摩訶不思議な虫
三人は天皇にこんなことを奏上いたしました。
皇后さまが、韓人の奴理能美の家に逗留されているのには、理由がございます。
奴理能美は、虫を飼っていることを、天皇さまも皇后さまもご存じのはず。
実は……この虫がどうにも摩訶不思議な珍しい虫でございまして。
一度は、這う虫になります。
またある時は、鼓(殻)に姿を替えます。
そして、またあるときは、空を飛ぶ鳥になるのです。
このように、幼虫、繭、蛾と三種類に姿を替える希少な不思議な虫なのでございます。
皇后さまは、この摩訶不思議な虫をご覧になるために、山代の奴理能美の屋敷までおでかけになられたのです。
決してほかの意図(謀叛や敵意)はございませぬ。
天皇さまへのお気持ちが心変わりされたのではございません。
天皇はこの報告をおうけになられると
おお~
そうであったのか。
なんともそれは不思議な虫であることか。
それならば、私もその虫を見に行くとしよう
と、仰られて、難波の高津の宮から、山代へと自ら足を運ばれたのです。
三人寄れば文殊の知恵
天皇も、皇后も、それぞれのプライドを傷つけることなく、
なんとか夫婦で顔を合わせることができるように配慮した作戦ですね。
これなら、天皇も、“わかっちゃいるけど、その話、のってみよう”と、思われたのではないでしょう。
面目を保ちつつ、皇后の元へとお迎えにあがれる……。
丸邇臣の口子。妹の女官の口比賣、そして奴理能美三人の知恵、よかったですね。
ちなみに、この虫は「蚕」のことだといわれています。