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皇后の八つ当たり? 仁徳天皇十七 神話は今も生きている ことの葉綴り六九四
一粒万倍日の日曜日
おはようございます。なんだかお正月が、とっても前のことのように感じるのですが、まだ一月。皆さんは、いかがでしょうか?
一月二十三日(日)の暦、一粒の種から万倍の稲穂が実る、一粒万倍日の吉祥日! 六曜は、「友引」で、朝と夕が吉。何事も勝ち負けのない日。
十二直は、「閉」で、すべてを閉じ込める日。金銭を納める、穴をふさぐことに吉。
二十八宿は「虚」で、学問、学び始め、衣類の新調に吉。一粒万倍日ですし、この日始めた学びは、大きく実りそうですね。
楽しみ、和みのお休みを満喫なさってくださいね。
「喜び」に通じる「~~み」で、今朝は「休み」が浮かびました(^^)
<ことの葉綴り>全体のご案内
「ことの葉綴り」は、神話の物語を、神代から神さまごとに20の「マガジン」に分けて、すべて読めるようになっています。
最新は「神話20 八幡大神さまこと応神天皇さまの物語 」です。
さて、神話の物語に入ります。
皇后、丸邇臣の口子への八つ当たり
第十六代、仁徳天皇さまは、皇后の石之日売命さまが、“家出”をされて、宮中に戻ってこなくなって、どれほど大切な存在だったかを痛感されました。
そして、そのお気持ちを御歌に詠んで、家臣に届けさせます。
二人目の使者となったのは、丸邇臣の口子でした。
御諸山の高いところにある大猪子が原。
この大猪子とい名のように、の腹にある
うわべではない、肝の心の中だけでも
あなたは私のことを思ってくれないのだろうか?
それでも、なんの音沙汰もなく、戻ってくる気配はありません。
天皇は、三つ目に詠まれた御歌を、再び丸邇臣の口子を使者に、山城(山代)の国の奴理能美の家に逗留を続けている皇后の元へ向かわせました。
つぎねふ 山代女の
木鍬持ち 打ちし大根
根白の 白腕
枕かずけばこそ
しらずとも言はめ
山また山、山代の女が
木の鍬を持って、育てあげ、そして打ちおこした大根
この大根の根の白さのような、白き腕を
私が手枕にしたことがないというのか
知らぬ仲では、ないものを……
おい、もういい加減、許してくれよ~
戻ってきてくれよ
夫婦じゃないか~
って感じでしょうか(苦笑)
使者に遣わされた丸邇臣の口子が、
山城(山代)の国の奴理能美の家の戸口の前で
天皇の詠まれた、この御歌を、皇后にお伝えするとき、
激しい雨が降り始めました。
豪雨の中でも、丸邇臣の口子は、屋敷の前にひざまずいて、雨を避けようともせずに、雨に打たれたまま、天皇の御歌を奏上しようとしています。
するとその様子をご覧になった皇后さまは、わざと裏口へと回られて、裏の戸口へと出てしまわれました。
丸邇臣の口子は、お見掛けした皇后さまを追って、裏の戸口へと向かいひざまづきました。
それをご覧になると、すぐさま踵を返されて、今後は表の戸口へと出てしまわれました。
皇后の姿をおい、口子は、また土砂降りの雨の中、表へと向かい、平伏します。
またもや皇后は、裏の戸口へ出ていかれて……。
皇后さまは、まるで、夫、天皇への怒り、ジェラシー、拗ねることを、使者の丸邇臣の口子に八つ当たりされているように、そんなことを繰り返されたのです。
衣の色が変わるまで
丸邇臣の口子は、やがて動けなくなり、庭にひざまずきしゃがみこんでしまいました。
激しい雨は勢いを増して、口子の腰まで冷たい雨水に浸かってしまいました。
口子は、藍染めの藍色の衣を着て、紅い紐をしめていましたが、激しい雨で、紅い紐の色が落ちて周りの雨水が真っ赤になり、藍色の衣まで赤い色に変色してしまったのです。
その様子をじっと見つめるひとりの女官がいました……。
次回へ
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