恋の相談 父の恋仇?! 応神天皇十二 神話は今も生きている ことの葉綴り六三一
一粒万倍日+房+お大師さまのご縁日
おはようございます。毎月二十一日は、真言宗の開祖の空海こと弘法大師さまのご縁日。平安時代に、弘法大師さまが開かれた山上の聖地、和歌山県の高野山でも、紅葉が見ごろでしょうね。
十一月二十一日の暦は、六曜は「友引」で朝と夕が吉。何事も勝ち負けのない日。十二直は、開き通じる「開」。運を開くため祭祀、お参り、建築、開店、移転、婚礼、引っ越しに吉。
二十八宿も大吉の「房」で、婚礼、開店開業、引っ越し、旅行、建築、衣服の新調、お参り、仏事、ご神事、すべて大吉です。
そして、「一粒万倍日」! 一粒の種をまけば万倍に稲穂が実る日。幸せの種を蒔きましょう! ご神事や参拝、ご先祖の供養にいい「神吉日」でもあります!
紅葉も見ごろで、秋のお参り日和の日曜日ですね。
今年も、そろそろ一年を振り返りつつ、自分や家族に「おつかれさま」と声かけてあげるのはいかがでしょう?
<ことの葉綴り>全体のご案内
「ことの葉綴り」は、神話の物語を神さまごとに「マガジン」に分けて読めるようになっています。
「神さまも“失敗して成長した”」と、魅力的な神さまごとに18のマガジンに分かれています。全体のご紹介は、こちらをどうぞ。
600回の節目に、まとめてみました。
最新のマガジンをつくりました!
神話19 成務天皇・仲哀天皇と神功皇后
<応神天皇さまの物語>
第十五代応神天皇さまは、十柱の妃と、二十六柱の多くの御子がおりました。
皇位を継承する候補は、三柱の皇子で、寵愛する妃矢河枝比売さまの皇子、宇遲能和紀郎子さまに、「皇位を受け継ぐ」と命じられました。
母の違う兄の大山守命さまには、海、山、山を守る人々をつかさどり政を行うことを。大雀命さまには、天皇の政を補佐する任にあたりなさいと、命を出されていました。
皇子大雀命の恋……
ときに、日向の見目麗しい髪長比売を「妃として側近くに仕えさせたい」と、召し出された応神天皇さま。
髪長比売を、難波津(大阪湾)の港まで、お迎えに出た皇子の大雀命さまは、その容姿端麗な美しさに、一目惚れしてしまいます。
とはいえ、天皇である父の妃となることが決まっています。
それでも、大雀命さまは、この髪長比売さまを、あきらめることができませんでした。
さて、どうされたでしょう?
かつて、第十二代景行天皇の御子、大碓命は、父である天皇の妃候補に恋をして、父には黙って、我が妻として娶り、偽物の妃を天皇に差し出しました……。
大雀命さまは、父を騙すことも、嘘をつくこともありませんでした。
そうはいっても、直接、天皇である父に、「私の妃にください」と直談判もできません。
建内宿禰に恋の相談
そこで、父がとても信頼する重臣に相談をしたのです。
その相手とは……建内宿禰です。
覚えていますか? この名前
第十三代、成務天皇の御代から重臣として仕え、第十四代、仲哀天皇、神功皇后にもお仕えしていました。
応神天皇さまの幼少期には、禊の旅にご一緒したほどです。
皇子の大雀命さまは、この建内宿禰に、正直に、自らの恋心を打ち明けられたのです。
「天皇である父が、妃として日向(宮崎)よりお召しあげられた髪長比売を、私は好きになってしまいました。
忘れることも、あきらめることもできませぬ。
この想いを消すことができぬのです。
どうか、私に賜りますように、天皇にお願いしてもらいたいです。
どうか、どうか……この通りです
そなたにしか、この想いを打ち明け、頼む術がありませぬ」
目の前で、頭を垂れて願う大雀命さまの姿に、建内宿禰も、驚いたことでしょう。
でも、建内宿禰は、この皇子のこともきっと理解していたと思います。
ただの遊び半分や、気まぐれでの頼みごとではないことを。
なぜなら、この大雀命さまは、父である応神天皇さまが、皇位を、寵愛する年下の弟の皇子に譲りたい心情に寄りそわれた皇子なのですから……。
しかし、父と息子で、同じ比売を競うとは……。
「頼む……父、天皇がお許しにならぬなら、それであきらめることにいたします。ただ、ただ、その前に、私の想いを天皇に届けてもらいたいのです」
真面目で優しい、この皇子が、これほど嘆願するとは……。
「頭をお上げください。わかりました。お伝えしてみましょう」
とはいえ、応神天皇さまのことも、小さな頃より誰よりも深く理解している建内宿禰です。
どう転ぶかは、話してみないと、わからぬが……。
建内宿禰は、腰を上げて、応神天皇さまの元へと向かったのでした。
さあ、父と息子の、妃争い……どうなるでしょう?
親子の間に亀裂が入らなければいいのですが……。
でも、相談した相手は、ナイスチョイスな気もしますよね(^^)
―次回へ
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