見出し画像

「好きなものがないとやらない」は本当?発達支援における意欲の秘密

発達支援を進める際に子どもの好きなものを活用しながら進めることが多いです。

そのような中で「好きなものがないとやらないの?」という声が支援者から挙がることもありましたが、支援を進める上でそれは欠かせないことです。

今回好きなものを使った発達支援について考えます。

誤解と現実

「好きな物がないとやらない」という例として、学習後のご褒美がこれに該当します。

ひらがな学習で考えるとプリントを用いて書く練習をすることがあります。

プリント学習を進めて子ども自信が「できるようになった!楽しい」と思えば一番ですが、そのような気持ちがその他の学習でも同じであるとは限りません。

ひらがなが苦手な子どもにとってはプリント1枚を進めることは苦痛なことです。

そのため、学習が終わったら「美味しいご飯を食べる」「お菓子を買う」などのご褒美が準備されていることがあります。

※ひらがな練習が苦手な子に対して、書く練習の前に読む練習をしましょう。

しかし「ご褒美がないと学習しなくなるのでは?」と支援者側から言われたこともあります。

個人的にはご褒美があることはいいと考えています。

例えば「ゲームが好きでゲームをクリアあるために練習を続ける」といったことや「行きたい大学があるからたくさん勉強する」といったことはモチベーションとなります。

ご褒美は玩具や食べ物だけでなく、「『すごいね』と褒められる」「『よく頑張ったね』と声を掛けられる」、知識欲など様々なものが機能として考えられます。

そのため、発達支援において「なにをしたら子どもたちが楽しく取り組めるか」を考えた上で学習内容を考える必要があります。

発達特性と意欲の多様性

子どもによって好みが異なることは当たり前です。

揺れることが好きだったり、回っているものが好きだったり。

私たちも好きな食べ物があるかと思います。これは味覚や感触の捉え方が千差万別だからです。

発達支援においては多種多様であることを理解した上、支援者個人の固定観念に囚われないよう進めていきます。

また興味や関心の対象が一見わかりにくいこともあるかと思います。

その場合は行動場面を観察し、普段と異なった場面に注目してみましょう。例えば「特定の音や光に反応する」など普段と違っている可能性があるのかもしれません。

それは好きなことに限らず嫌いなことでも起きるため、まずは観察。

そしてそれを好むの嫌うのかを判断することが大切です。

意欲を引き出すための支援

ではどのようなご褒美で意欲を引き出せばいいでしょうか。ここではその方法について触れていきます。

■終わったらご褒美が待っている。
冒頭の例のように学習が終わったらご褒美があることを伝える。
例)ひらがなで書かれた5個の単語を書き終えたら、お菓子を食べる。

■好きなものを交えながら学習を進める
書字活動であれば、好きなキャラクターなどの名前を取り入れる。
例)”どらえもん”という好きなキャラクターの名前を書く。

■スモールステップで意欲を高める
始めは文字ではなく丸などの図形や直線を書く活動を進める。
例)ー、+、〇、のような形や、ひらがなのなぞり書きから始める。

※ご褒美のタイミングに関しては活動が終わった時だけなく、間の時間にご褒美タイムにすることや活動の回数を決め、決められた回数終わった時にご褒美など学習時間や回数に応じて変えていきましょう。

支援者と保護者の役割

今記事のような内容は書籍やWeb検索でも簡単に情報が得ることができます。

しかし、それらの内容は全体向きであることが多く、子ども1人ずつに対して同じことが言える訳ではありません。

それは子どもによって好みややりがい、学習意欲が異なるからです。

そのため、目の前にいる子どもをよく観察し、その子の感じている世界を理解しようとすることが重要です。

それは保護者や支援者の1人だけでは難しいことも多いです。

その場合は周囲のサポートを得る必要もあるため抱え込まずに大人自身が助けを求めることも支援を進める上で必要です。

まとめ

「好きなものがないとやらない」というのは当たり前であり、好きなもの、得たいものがあるから人は学習を続けていきます。

子どもによって見ているものや捉え方が違うことは当たり前であるため、個々に合わせた支援を行うことで、子どもたちの成長の手助けをすることができます。

そのために子どもたちの好きなものを用いつつ寄り添いながら発達支援を進めていきましょう。


コトノハ教室〜ことばと発達子育て情報サイト
コトノハ教室ではことばや発達子育てに関する情報をお届けしています。
🍀コトノハ教室の人気記事
🍀子育てに関するお話の子育て記事
🍀言語、ひらがな、SSTなどの教材

🍀X(旧Twitter)、Instagramでは言葉の育み方やおもちゃの使い方、HPのお知らせなどを更新しています。

いいなと思ったら応援しよう!