甘く黄色い花
家族が近所へ買い物に行くというので、散歩がてらついていった。
わたしのお目当ては、先日近所のお庭で見つけたつるつるした黄色い花だ。
そう、蝋梅。
あまり香りがしないので、これは違うのかな?と思ったけれど、花は蝋梅っぽい。
葉っぱもたくさんついていて、今まで見たのとは少し違う感じ。
これが何かははっきりわからなかったけれど、「春を感じた」ことは確かで、ほこほこしながら歩いた。
一人暮らしをしていた頃、駅から家への道に香りが強い蝋梅があった。
冬の夜は早く、帰り道はいつも真っ暗で、ぼんやりした街灯がところどころにあった。
この時期になると甘い香りがして、宵闇に薄い色を見せ、香りは存在感たっぷりに艶やかな花をつけていた。
その香りと、ぼんやり浮かぶ黄色い花が、わたしの一日の終わりの楽しみだった。
あの樹はまだあそこで甘い香りを放っているのだろうか。
この時期になると、いつも思い出す。
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