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条件世界{四章、西洋と東洋の見えざる力}
「ふぅ・・・。」
「これで教えられる東印紋は全て教えた。これから先はお前がお前のやり方で極めていけ。」
「ああ・・・って言うかさ、ひとつ聞いても良い?」
「・・・何だ?」
「これ、いつ使うの?」
「さあな。」
「さあな。じゃねーよ‼じゃ何?俺は今の今までいつ使うか分からんもんの為に毎日修行してたってのかよ‼」
「いつ使うか分からん〝もん〟か・・・面白いこと言うじゃないか。」
「面白くねーよ‼ってかボケたわけでもねーし‼もしボケたとしたらベッタベタのボケじゃねーか‼」
「俺は好きだぞ?ベッタベタのボケ。」
「お前の好みは知らんわ‼はぁ・・・これが本当に使える技なのかねぇ・・・。」
「技術に優劣はない。どんな技術も生かすか殺すかは使い手次第。つまり技術が使えないと言ってる間はまだまだ未熟者ということだ。」
「・・・へいへい分かりやしたよ。それより印紋術には種類があるんだろ?」
「ああ。お前が俺から教わった東印と西の印紋師が教わる西印。」
「あーあ!ずりーよな!俺たち東の印紋師は守印なんていう情けねー印紋しか使えねーけど西の奴は攻印なんて面白そーなの使えるんだもんよ。」
「お前攻印なんて覚えたらイライラの気晴らしに窓ガラスを割るなんて恥さらしな使い方しかせんだろう。」
「そ、そんなことねーよ!他にもカツアゲしてる奴を成敗したり突っかかってくる奴お仕置きしたり・・・ちゃんとした使い方するわ‼」
「はぁ・・・同じようなものだろ・・・あ、そうだ。お前明日から学校だよな?」
「え?そうだけど・・・それが何だよ。」
「お前と同い年で西の印紋師が学校に来るらしいぞ?転校生として。」
「はぁ?初耳だぞ生命‼」
「今言ったからな。因みに女だそうだ。」
「女・・・?」
「・・・油断するなよ。龍一。」
「なーに構えてんだよ。喧嘩じゃあるまいし。」
「いや本当に。印紋師は西と東でそれぞれ違う形で存在してきた為変に敵対視されてきた歴史がある。西は東を舐めている傾向がある。まぁアルアはそんな偏見ないがな。」
「アルアって誰だっけ?」
「時々来てるだろ?長髭のお爺さんだよ。」
「あー仙人か‼」
「あれでも現役最強の西印紋師だ。御年72歳だがな。」
「すげー。」
「で、今回そのアルアの弟子の女が転校してくるそうだ。」
「名前は?」
「行けば分かるらしい。明日を楽しみに待ってるんだな。」
〜〜〜〜〜
「どうもルシフ・ニーレイです。よろしく。」
「ということで今日から転校してきたニーレイさんだ。みんな仲良くしてやってくれ。」
「(あいつかー・・・。)」
「で、私はどこに座れば良いのでしょうか?」
「ニーレイさんは三橋の隣に座ってくれ。」
「分かりました。」
「良かったな龍一‼あんなマブイ転校生が隣の席なんて‼」
「お、おう汗(マジかよ〜こんな偶然あんのか?もしかしてセンコーもグルじゃねーだろうな・・・。)」
「おいお前。」
「あ?なんだよ?(イキナリお前呼ばわりかコラ。)」
「あとで話がある。用件は分かっているな?」
「・・・印だろ?」
「・・・そうだ。ふけるなよ。」
「誰がふけるか!デカ乳‼」
「・・・‼このドブ男が!」
「コラ!いつまで話してるんだ‼授業始まるぞ‼」
「チッ‼」
「(チッって・・・なんつー性格のひん曲がった女だ。)」
~~~~~
俺は授業が終わったあとニーレイに校庭の端に呼び出された。
「・・・お前が東の印紋師。三橋龍一か。」
「そーいうお前は西の印紋師なんだろ?」
「そうだ。生命さんから聞いたのだな。」
「まあな。で、何のようだ?決闘でもすんのか?」
「流石だな。生命さんの弟子なだけはあって察しが良い。その通り。印紋術を使ってどちらが強いか決めさせてもらう。」
「マジかよ⁉冗談のつもりで言ったんだけど・・・汗。」
「何?正気か貴様‼」
「ってかお前本当に印紋使えんのか?」
「馬鹿にするな‼アルア様から基礎の基礎まで教わっておるわ‼それより!今から始めるぞ!」
「え?人前で⁉印紋術を?」
「心配することはないだろう。印紋は術師以外には目に見えることはない。では始めるぞ‼」
そう言うとニーレイは拳を振り上げ手の甲に攻印を出現させた。
「いくぞ‼」
「・・・ったく‼」
俺はニーレイに殴られた衝撃で校庭の真ん中まで吹っ飛ばされた。
「(・・・守印を網のようにして身体を包み衝撃を緩和したか。)」
「フツーマジでやるかよ‼見えないとは言え人前だぞ‼」
「何だ?男の癖に泣き言か‼次は強硬印も加えて行くぞ‼」
そう言うとニーレイは攻印に強硬印の効果を付与した印紋を手の甲に出現させ俺に再び殴り掛かって来た。
「くらえ!」
「ヤベッ‼・・・なーんちゃって♪」
俺は守印の壁に柔軟印の効果を加えた印紋をニーレイの前に出現させカウンターを仕掛けた。
「なっ‼」
ニーレイは自分の攻撃の勢いで弾かれ後ろに吹っ飛んだ。
「ヘッヘッヘー笑。直情過ぎんぜニーレイ‼俺の技を知ってんのに馬鹿正直に突っ込んでくるとは‼」
「・・・今のはやられたが足元を見るんだな。ドブ男。」
「これは・・・爆印⁉」
ニーレイがそう言うと足元で爆印が発動し校庭が砂煙に包まれた。
「コラー‼お前ら校庭で何やっとるか!」
「ヤベッ!センコーが来た‼」
「ずらかるぞ!龍一‼」
「気安く下の名前で呼んでんじゃねーや‼」
こうして俺とニーレイは逃げがてら生命の家まで向かった。
~~~~~
「生命ー‼助けてくれ‼鬼乳が俺を虐めるんだー‼」
「なっ!貴様は何でも胸に絡めんと気が済まんのか‼」
「何だ龍一。昨日の今日で。ん?そちらの方は?」
「どうも。ルシフ・ニーレイと申します。よろしくお願いします。」
「君がアルアの弟子の女性か。俺は生命だ。よろしく。」
「生命さんの話はアルア様から聞いております。」
「そうか。どんな話か気になるところだな。直接本人に聞いてみようかな?」
「・・・いるのですか⁉アルア様が!」
「ああ来ているよ。君の様子が気になるらしくてね。」
「コイツ学校でイキナリ印紋術使ってきたんだぜ‼」
「やれやれそれは本当かな?」
「アルア様‼・・・転校以来です。」
「ニーレイ。怒っているわけではないが人前で力を使うのは程々にしなさい。」
「はい・・・承知しました。」
「なんか甘くね?ジーさん。生命なんて容赦なく引っ叩くのに。」
「お前は性格上懲りないだろ。だから容赦してたら教育にならん。」
「ふぉっふぉっふぉ。だそうじゃ。さて二人も来たことじゃし本題に入るとしようかの。」
「本題?何だ?」
「龍一。ニーレイくん。アルアから君たちに頼みがあるみたいなんだ。玄関じゃなんだから奥の客間まで来てくれないかな?」
「分かりました。」
「菓子食べれんならいいぜ。」
~~~~~
「で、頼みってなんすか?」
「頼みというのは闇の印紋師を捕まえる手伝いをしてくれんか?ということじゃ。」
「アルア様!まさかアーテを!」
「ニーレイと生命は知っておるな?ワシと同じ西の印紋師であるアーテ。」
「はい。存じております。幾つもの街を破壊した・・・印紋師の面汚しです。」
「俺は直接見たのは小学生の頃でしたが奴の印紋には悪意が満ちていました。まるで悪魔に取り憑かれたかのように・・・。」
「・・・そいつを俺が退治しろってこと?」
「正確には龍一くんとニーレイで捕まえてもらいたい。勿論ワシや生命も協力するが大部分は君たちに任せることになると思う。」
「何でよ⁉」
「君たちの力は伸び盛りだ。それにアーテに顔が割れてない。それだけでこちらとしては好都合なんじゃ。どうじゃ?引き受けてくれるか?」
「今すぐ倒せってわけじゃねーんだろ?」
「そうじゃ。」
「しょーがねーな。印紋術を極めることにもなるだろうし、引き受けてやるぜ!」
「そうかそれは助かる。ニーレイはどうじゃ?」
「私も是非引き受けさせていただきます。」
「助かる。では任せたぞ。お二人さん。」
「おうよ!」
「話が終わったようだな。じゃ、二人とも帰り支度をしなさい。もう夕方だ。お家の人が心配する。」
「そうじゃな。龍一くん。ニーレイを送ってやってくれ。」
「え?付き添いなんていらねーだろ?」
「アルア様の命令だ。送れ。ドブ男。」
「そのドブ男呼びやめろ‼わーったよ!送ればいいんだろ!」
「じゃ、気をつけての。」
「お気遣い感謝します。」
~~~~~
「生命。姫上くんはどうしておる?」
「あいつならあの学校に教師として明日転任する手筈になってます。」
「驚くじゃろーな。龍一くん。」
「ニーレイくんと上手く協力してくれればいいですが・・・。」
〜〜〜〜〜
「おおドブ男。昨日のアルア様に対しての態度は何だ。無礼が過ぎるぞ!」
「爆乳女か。無礼って言ったってよー。そんな強いのか?あのジーさん。」
「当たり前だ。私の師だぞ。強いに決まっておろう。」
こうして話してるうちに俺とニーレイは学校に着いた。
俺たちはそこで見慣れない教師に話しかけられた。
「お、お前らが昨日校庭で問題起こした奴らか?」
「いえ!俺は問題起こしてません‼主犯格はコイツです‼」
「バカヤロー。お前ら2人が喧嘩してたのは多くの生徒が目撃してんだ。このおじょーちゃん1人になすりつけるなんて男らしくねーぞ?」
「だってオレカンケーねーもん。コイツから吹っかけてきた喧嘩だし。」
「(この男。とことん自己中だな・・・。)」
「ってことで昼休み職員室なー。」
「聞けや‼」
~~~~~
ってなわけで俺とニーレイは昼休み職員室に向かった。
「失礼します・・・あ!」
「ん?どうした?ニーレイ。」
「ドブ男。あの教師の名前・・・聞いたか?」
「あ・・・そういや聞いてねーわ。」
「・・・どうする。」
「・・・出直すか笑。」
「おおふけずにきたな。くそったれ共。職員室じゃ公開処刑みたいで可哀そうだから生徒指導室に移動するぞー。」
「そっちの方が公開処刑だろ‼」
~~~~~
「で、本題に入るんだがお前ら。西の印紋師ルシフ・ニーレイ。東の印紋師三橋龍一で間違い無いな?」
「貴様!何故印紋術のことを知っておる!」
「まぁまて!落ち着けよじょーちゃん。あんまり大きな声で話すと廊下を通る奴に聞かれちまうぜ?心配すんな。俺はお前たちの味方だよ。」
「味方だと?それを証明出来るものは?」
「・・・これ何だか分かるか?」
「それは・・・西印紋師の印!」
「そ、つまり俺はじょーちゃんたちと同じ印紋師ってわけだ。」
「その技は誰から教わったのだ?」
「アルアのじーさんからだよ。ついでに言っとくと生命とは昔馴染みだ。」
「生命の昔馴染みって・・・じゃああんた覇寇か⁉」
「龍一。この教師を知っておるのか?」
「ああ。名前だけは生命に聞いて知ってたが見んのは初めてだ。」
「あ、自己紹介がまだだったな。俺は姫上覇寇よろしくな。」
「姫上‼確か西と東の印紋術を扱う伝説の姫上と言われている印紋師か!」
「ああその姫上だ。よろしくな。」
「ちょっと待てよ。西はアルアのじーさんから教わったのはわかるが東は誰なんだよ。」
「生命だよ。お陰でお前らに印紋術の稽古をつけられる。」
「・・・今回生徒指導室に呼び出したのってそれが目的か?」
「そう言うことだ。アーテの存在は俺も知ってる。お前らがまともな戦力になってくれれば心強い。」
「・・・つまり姫上。貴様が私らを鍛えると?」
「そうだ。と言っても学校の授業がある間は俺も動けねーしお前らも授業で無理だろうから放課後だな。今日はとりあえず放課後職員室にこい。稽古場に案内がてらアーテについて話してやる。」
「・・・分かった。」
「じゃお前ら、授業ふけんなよー。」
~~~~~
俺とニーレイは放課後職員室に向かった。
「失礼します。姫上先生はいますか。」
「あ、ニーレイさんと三橋。ちょっと待っててね。今姫上先生呼ぶから。姫上先生‼生徒が反省文を持ってきましたよ‼」
「「‼」」
「どう言うことだ龍一‼何故私たちは反省文を持ってきたことになっておる!」
「そりゃこっちのセリフだ‼多分姫上の仕業だろ。」
「誰の仕業だって?」
「何で俺たちが反省文持ってきたことになってんだよ⁉」
「何でってお前ら校庭で暴れたろ。方便だよ方便。」
「それにしたって私まで・・・。」
「だってニーレイから仕掛けたんだろ?喧嘩両成敗ってやつだ笑。ってことで稽古場に案内するぞ。次からは職員室通さず直接集合だから覚えて帰れよー。」
「へいへい。」
~~~~~
「それでよ、アーテって何者なんだよ?」
「ああそういや話すって言ってたな。」
「私からも頼む。アルア様から聞いた情報しかない為あまり詳しくは知らん。」
「そうだな。名前はアーテ・グリード。アルアと同じ師から西印紋術を習ったじじいだ。あいつは印紋術の天才でな。西印紋の他にも爆印、吸印など様々な印紋を使う奴だ。」
「吸印?何だそりゃ?」
「相手の印紋術の力を吸い取る印紋のことだ。」
「それは厄介だな。」
「・・・それだけなら何とか対処は出来るんだが奴は他にも相手の印紋術を自分のものにすることが出来るんだ。」
「それはどういうことだ?」
「つまりだな、相手が出した印紋術を自分のものとして扱うことが出来るんだ。無闇に柔軟印を出したらその印紋術で捕まることだってある。」
「・・・対策を立てねばいかんな。」
「そういうことだ。じゃ、稽古場についたことだし早速始めるか?」
「稽古場って・・・生命の家じゃん!」
「昨日来たな。」
「お、ニーレイも知ってたのか。なら話は早い。生命‼お前ん家の庭借りるぜー!」
「姫上かー‼分かったー。好きに使えー‼」
「サンキュー‼じゃ、始めるぜ。お前ら2人でかかってこい。」
「・・・ちょっと作戦練らせてくれ汗。」
「早くしろよー。」
俺とニーレイはどう攻めるか話し合った。
「龍一。お前柔軟印で私を姫上のところまでおもいっきり吹き飛ばせ。私はその勢いで攻印に強硬印を加え奴を殴る。」
「まてニーレイ。そんな直情型の攻撃が通じるのか?」
「ならお前はどうするというのだ!」
「作戦は俺に任せろ笑。いいか?ゴニョゴニョゴニョ・・・。」
「おーい、そろそろいいか?」
「おうよ!」
「よし‼じゃあ来い‼」
俺はニーレイを柔軟印で姫上の所まで飛ばした後真上まで飛び上がった。
「覚悟しろ‼姫上‼」
「そんな直情型の攻撃じゃカウンターの餌食だぜ?ニーレイ。」
ニーレイは案の定後ろに吹っ飛ばされた。
しかしニーレイは強硬印を出現させて壁への激突は免れた。
「ニーレイ。何とか壁にぶつかるのは避けられた・・・って、何⁉」
「行け‼ニーレイ!」
「ああ!」
ニーレイはもの凄い速さで姫上に爆印付加の攻印を発動させた。
「チッ!くそったれ!」
姫上はニーレイと同じ爆印付加の攻印でニーレイの攻撃を相殺した。
「お前ら初めてにしちゃ中々のコンビネーションじゃねーか。」
「ふぅまさか、あの距離で防がれるとは思わなかったぞ。」
「そりゃ歴が違うのよ。とりあえず休憩にするか。」
「やった!お菓子だぜ‼」
「龍一。お前はお菓子抜きな。」
「え!何でだよ‼」
「お前ニーレイにやらせて高みの見物してたろ?」
「・・・そ、それは間違ってねーけど・・・。」
「にしてもニーレイ。あの受け身の印紋術。ありゃ龍一が出したもんだろ?」
「気づいていたのか‼」
「いや俺もニーレイがもの凄い速さで突っ込んでくるまで気づかなかった。ありゃ柔軟印じゃなきゃ出せない速度だ。で、その時龍一が真上に飛び上がった理由も分かった。最初はニーレイにやらせて俺の隙を伺ってんのかと思ってたが見てたのは俺じゃなくニーレイだ。ニーレイの動きを良く見る為に上から見てたんだな。印紋を出すタイミングを合わせる為に。」
「・・・そうだよ‼やっぱ伝説は伊達じゃねーんだな。」
「当たり前だ!くそったれ。それより今の戦いでそれぞれの改善点が見えた。休憩後に話す。それまでゆっくりしてろ。」
~~~~~
「・・・ふう。疲れた。」
「貴様。よくそんなことが言えるな。」
「俺がサポートしたから良いところまで行ったんだぜ?少しは感謝してもらいてーな。」
「やれやれ休憩早々喧嘩か?」
「生命!」
「姫上くんには会ったかな?」
「アルア様‼」
「じーさん。姫上が学校に来ること知ってたろ。」
「まあの。それより姫上くんはどうじゃった?強かったか?」
「ケッ!大したことねーよ。俺の方が強いわ。」
「(見物してただけの奴がよく言うな・・・)まだ一度の手合わせでは何とも。」
「そうか。まぁそうじゃろうな。」
「誰が大したことねーって?高みの見物決めてたくせによ。」
「うるせー!途中で止めなきゃ勝ってたわ。」
「はいはいそういうことにしておくよ。じゃ、休憩も終わったことだしそれぞれの改善点を伝える。まずはニーレイ‼」
「はい!」
「お前は直情的過ぎる。少しは頭を冷やすことを覚えろ。それとお前が使う強硬印。あれは攻印に付加するだけでなく単体で防御やカウンターにも使える。さらに爆印を付加すれば攻撃力も増すだろう。上手く使え。」
「はい・・・。」
「次に龍一。」
「おう!」
「お前はもっと印紋術を覚えろ‼守印と柔軟印だけじゃあまりにもバリエーションが少な過ぎて攻める手が限られて手の内がバレやすい。爆印を覚えるだけでも柔軟印で相手を包んで爆発させたり守印に付加してカウンター攻撃することだって出来る。分かったな。」
「おう・・・。」
「じゃ、俺は帰るからな。」
「え?もう帰んのかよ‼」
「当たり前だ。俺も暇じゃねーんだよ。あとはお前たちで工夫して修行しろ。俺は学校に戻る。」
「分かった。」
「・・・稽古。ありがとうございます。」
「腕上げたらまた声かけてくれー。稽古つけてやるからー。」
「はいよー。」
~~~~~
翌日俺とニーレイは印紋術を使った修行を開始した。
「まずはお前に爆印を教えねばならんな。」
「え?お前から教わんの?」
「私もお前に教えるのは不本意だがお前に足手まといになってもらっては困るからな。仕方あるまい。」
「・・・で、どうやってやんだよ?爆印。」
「簡単だ。印紋を出現させた時に力を弾けさせればいい。」
「成程な。じゃあニーレイ。爆印やってみるから見ててくれ。」
「おう。」
俺はニーレイの言っていた通りに爆印を実践してみた。
「おい龍一⁉なんか光ってるんだが・・・どういう・・・。」
キィーン、ドカン‼
「うおっ‼・・・なんか知らん技出たんだけど・・・。」
「・・・ドブ男。お前言われたことも出来んのか‼」
「うるせぇ!言われた通りにやったわ‼でもよこれはこれで使えるんじゃね?」
「・・・まぁ爆発の前に光るというのは意外性があって敵の隙を作るには効果的かもしれんな。」
「だろ?目くらましとかに使えそうだぜ!・・・よし、この印紋術を光爆印と名付けよう!」
「なんと安直な・・・。」
「おまえに言われたくねーわ!それより他にも試してみようぜ!もしかしたら新しい印紋術がまた生まれるかも知んねーぞ?」
「・・・確かにそうだな。だが次は何を試すのだ?」
「そうだな・・・次は吸印をやってみようぜ!」
「吸印だと⁉それは私も出来んぞ・・・?」
「知ってるよ。だから試すんじゃねーか。グリードに出来て俺達に出来ねーってことは多分ねーって!」
こうして俺たちはグリードが使う吸印を試すことにした。
この吸印を試した際に俺達の力は依然と比べ格段に飛躍することとなる。
そして今までにない印紋術を生み出すこととなった・・・。
そんなこんなで俺とニーレイはある程度の修業を終えた。
~~~~~
そして翌日。俺たちは姫上に再度修行をつけてもらう為職員室へと顔を出した。
「おーい、姫上いるかー。」
「馬鹿者‼ここでは先生をつけんか!先生を‼」
「おー、龍一とニーレイじゃねーか。何だ。何の用だ?」
「姫上。貴様にもう一度修行をつけてもらいたい。」
「ああ修行か。いいぞ。じゃ、放課後いつもの場所にこい。いいな?」
「よっしゃ‼」
「・・・助かる。」
俺たちはいつもの稽古場で姫上を待った。
しかし稽古場に来たのは姫上ではなかった。
「やぁ龍一。ニーレイ君。修行は上手くいってるかい?」
「生命‼何でここに⁉」
「姫上に頼まれてな。まぁお前たちとしても色んなタイプを相手した方が良い練習になるだろう。」
「確かに・・・それはそうですが・・・。」
「準備が出来たら教えてくれ。」
「・・・分かった。」
俺たちは作戦を立てることにした。
「龍一、生命さんの使う印紋についてはとの程度把握している?」
「・・・残念ながら全くだ。基礎の印紋以外見たことがねぇ。」
「ならまずは様々な攻撃を仕掛け手の内を明かしてもらうしかあるまい。」
「だな。」
「二人とも準備は出来たか?」
「はい‼では生命さん行かせて頂きます‼」
「何時でもいいぞ?」
ニーレイは生命の足元に爆印を出現させた。
「ほういきなり狙ってくるか。だが甘いな。」
しかし何故か爆印は発動せず消えてしまった。
「何故だ⁉何故発動しない?」
「解印。印紋術を解除する印紋術だ。」
「まじかよ・・・。」
「下手に印紋術を出すとまた解除してしまうぞ?」
「・・・ならば解除出来ぬように複雑にした印紋ならどうだ‼」
ニーレイは生命の足元に攻印に強硬付加、爆印付加の攻撃を繰り出した。
「成程これでは解印は出来ないな。ならば・・・。」
ニーレイの出した印紋は生命の出した守印に触れた途端何故か爆発せずに消えていった。
「どうした?これで終わりか?二人とも。」
「チッ‼どういうわけか知らねーがこれじゃ埒が明かねぇ。ニーレイ‼あれをやるぞ‼」
「もうやるのか⁉あれを⁉」
「ああ‼これ以上生命にでかい面させてらんねぇ‼ニーレイ、サポートしろ‼」
「分かった‼」
俺とニーレイはそれぞれ爆印と光爆印を生命に発動した後ニーレイを上に飛ばした。
「ん?何だ?この印紋は。爆印ではないのか⁉」
「驚いただろ?それただの爆印じゃないんだぜ?」
「成程。爆印の派生というわけか。」
「そうだよ。それよりさっきの印紋はなんだよ?ただの守印じゃねーだろ?」
「あああれか。あれは守印{絶}だ。あの守印に触れたものは全て消え去る。」
「・・・おまえあと何個印紋隠してんだよ?」
「安心しろ。戦闘で使えるのはあと一つだ。」
「だったらこれで終わりにさせてもらうぜ。」
俺は柔軟印に光爆付加の印紋を生命の足元に出現させた。
生命は俺の印紋を守印で防ぎながらも柔軟印の効果で上へと飛ばされた。
「ただの柔軟印だと解印される可能性があるからな。」
「やるじゃないか。だが真上にニーレイ君がいることは知っているよ。」
生命は真上で強硬印の上に乗り待機しているニーレイの方へと飛ばされていった。
「・・・流石です生命さん。ですがここは勝ちを譲ってもらいます。空間紋{斥}‼」
「‼、ニーレイ君も新しい印紋術を覚えていたんだね。」
「修行したもので。」
「流石だ。」
生命はニーレイの印紋の力で上から押し返され勢いよく下に落ちていった。
「・・・守印{透}」
バーン‼
激しい土煙とともに出てきた生命は無傷だった。
「よし今日の修業はこれまで‼二人とも少し休むんだ。休憩の後にこれからの修業方針を伝える。いいね?」
「お、おう・・・。」
~~~~~
「・・・最後良い感じだったよな?ニーレイ。」
「ああ。私としても手ごたえはあったんだが・・・生命さんは余裕だったな。」
「そうなんだよ。そこが解せねぇ。まさか目に見えない印紋でも使ったのか?」
「相変わらず勘が良いな。龍一。」
「ゲッ‼生命。いきなり現れんなよ・・・。」
「勘がいい・・・ということは生命さんは目に見えない印紋を使えるのですか?」
「如何にも。私は目に見えない守印が使えるんだ。それよりニーレイ君の新しい印紋術は少し特別なように見えたけど・・・あれは何だね?」
「あれは空間紋というもです。あの印紋術は私たちが吸印を試そうとした時に偶然出来たものでした・・・。」
~~~~~
「じゃ、やってみるぜ。ニーレイ、何でもいいから印紋術を出してくれねーか?」
「分かった。」
「吸印!・・・お‼出来た‼お前の攻印消えたな。どうだ?吸い取られた気分は。」
「・・・名前の通り力を吸い取られた感じだな。」
「じゃあ次はお前が試す番だな。」
「そうだなならいくぞ・・・吸印‼」
「・・・吸・・・印か?なんか押し返されるんだけど・・・てかさっきの攻印が出てきて・・・うわっ‼」
「だ、大丈夫か⁉龍一‼」
~~~~~
「成程な笑。つまり龍一の印紋とニーレイ君の印紋の力が繋がった印紋術。それが空間紋というわけか。」
「はい。龍一の空間紋は全ての物を吸い取る印紋。対し私の空間紋は龍一の引き込んだものを出す印紋。この印紋をそれぞれ空間紋{引}、空間紋{斥}と名付けました。」
「いい印紋術を覚えたな。」
「それより今後の修業方針はどうすんだ?」
「そうだな今後はしばらく別々で修行を行う。龍一は俺のニーレイ君はアルアの使う印紋術を覚えてもらう・・・いいね?」
「やはりまだまだ印紋術を覚える必要があると?」
「そうだね。今日手合わせして思ったが印紋術のバリエーションがまだ少ない。それにまた新しく印紋術を覚えればさらに色々な攻め方もできグリードを捕まえられるかもしれない・・・とも思った。」
「よー生命二人はどんな感じだ?」
「姫上か。中々良い感じだぞ?二人とも新しい印紋を覚えてきている。」
「で、課題は見えたか?」
「ああ。やはりまだ印紋のバリエーションが少ない。だから俺たちの印紋を教えることになった。」
「じゃあ龍一は生命の印紋を覚えるわけだ。」
「そしてニーレイ君はアルアの印紋を覚えてくる。」
「アルアのじーさんの印紋を?そいつは凄いことになりそーだな。」
「ああ。これが上手くいけば化けると俺はふんでいる。」
「・・・よしじゃあそれが上手くいったらもう一度俺と試合をしてみるか‼」
「‼、本気かよ⁉姫上‼」
「ああ。お前らの実力がどれだけ上がったのか見させてもらうからな。覚悟しておけ?」
「・・・望むところだ‼」
「ニーレイの方はやる気満々のようだな。で、龍一はどうだ?」
「勿論やるぜ‼あとで後悔すんなよ?」
「言っとけ笑。じゃ決まりだな。それぞれ修行を終えたら俺に声をかけろ。いいな?」
「はいよ。」
こうして俺とニーレイはそれぞれ新たな印紋を覚える為修行を行った。
~~~~~
そして一か月程経った頃・・・。
「久しぶりだな龍一。修行の方は上手くいったのか?」
「ああばっちりだぜ!ニーレイこそちゃんと全部覚えて来たんだろうな?」
「問題ない。今なら姫上にも負ける気がせんわ‼」
「ヘッ!それだけ余裕があるなら大丈夫そうだな。じゃ、姫上を呼びに行きますか‼」
「ああ‼」
俺たちは放課後職員室に行き姫上を呼んだ。
~~~~~
「失礼します。姫上先生はいますか?」
「?、君たちよく来るね。また反省文?」
「汗、い、いえ。授業で分からないところがあったので質問に・・・。」
「そっか。真面目になったんだね。関心関心♪じゃ今呼んでくるから少し待っててね。」
「おいニーレイ‼俺たちの職員室での印象どうなってるんだ⁉あれじゃまるで更正した不良みたいじゃねーか⁉」
「・・・恐らく最初の校庭での乱闘騒ぎと職員室への出入りの多さがそういう印象をつけてしまったんだろう・・・。」
「何たる屈辱・・・‼」
「ようお前ら修行は上手くいったのか?」
「勿論だぜ‼」
「貴様を倒す時が待ち遠しいぞ‼」
「よしじゃあ先に稽古場で待ってろ。俺も準備が出来たらすぐに行く。」
「・・・必ず来いよ?」
「前みたいに生命やアルアのじーさんが来るオチとかじゃないから安心しろ笑。」
俺たちは一足先に稽古場に行き姫上の到着を待った。
~~~~~
「あいつ本当に来んだろーな?」
「・・・流石に二度目はないと思うが・・・・。」
「待たせたなお前ら。」
「お、来たな姫上‼」
「じゃ早速お前らの実力を見せてもらうぜ‼」
そういうと姫上は俺たちの元に攻印を発動させてきた。
「龍一‼」
「おう‼解印‼と光爆印!そして・・・柔軟印!」
「強硬印‼」
俺は解印で姫上の攻印を解除しつつ光爆印で姿を隠しその隙に柔軟印で上空へ飛翔。その後ニーレイの強硬印で上空に待機した。
「光爆印で自身の姿を消しつつ上手く間合いを取ったな。龍一は上でニーレイは下か。」
その後ニーレイは姫上を追い込む為印紋を繰り出した。
「姫上くらえ‼攻印{連}‼」
「じーさんの技か‼柔軟印!」
姫上は柔軟印で咄嗟に上へと飛び上がった。
「よし‼」
「かかったな‼姫上‼空間紋{引}‼」
俺は空間紋{引}の効果を使い飛び上がった姫上をそのまま地上から離し空中での拘束を試みた。
「何だ⁉体が・・・吸い寄せられる・・・⁉」
「このまま吸い取ってやる‼」
「そうはいくかよ‼」
そういうと姫上は爆印と守印を繰り出し俺の空間紋の領域から抜けた。
「やっぱお前が動いていると色々めんどくせぇ。だから暫く大人しくしててもらうぜ‼龍一‼強硬印{楔}‼」
そう言うと姫上は空中で楔状の強硬印を俺に向けて飛ばしてきた。
「そんなん効くかよ‼守印{絶}‼」
俺は生命の守印{絶}を使い姫上の強硬印を消し去った。
「生命の技か・・・‼」
姫上はそのまま下に降りて行った。
そしてその先にはニーレイが待ち構えていた。
「何だ?ニーレイ。まさか自由に身動きが取れない空中なら俺に勝てると思ってんのか?」
「ああその通りだ。悪いが姫上。貴様にはもう少し上にいてもらうぞ?空間紋{斥}‼」
ニーレイは空間紋{斥}を発動し下に降りていた途中の姫上を再び上へと押し戻した。
「・・・何⁉まさか空間紋とは・・・。」
「そうだよ。俺たち二人で一つの技だ。」
ったく恐れ入ったぜ・・・負けだ。」
「‼、本当か⁉」
「ああ。流石にこれは抜けらんねーわ。ということで下してくんねーか?」
「・・・分かった。」
ニーレイは空間紋を解き姫上が負けを認めたことによって見事俺たちは勝利した。
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「お前ら・・・腕上げたな。」
「・・・だろ?でもこんだけ印紋覚えたのに結構接戦だった気がするぜ。」
「奥の手の空間紋も出してしまったしな。流石は伝説の姫上といったところか。」
「・・・正直言うともう少しやれたんだがこれ以上やると生命の家を壊しかねないしそれに十分お前らの実力は分かった。これならあのグリードとも何とか渡り合えるだろう。」
「・・・ちょっと待て。これでも“何とか”なのか?」
「ああそうだ。何なら一緒に戦った生命にでも聞いてみな。」
「生命さん‼本当ですか⁉」
「・・・さっきの姫上との戦いを見ていたがもう少し印紋をスムーズに出せるようにならないと隙を突かれたらあっという間にやられるだろうな。」
「そんな・・・。」
「以前俺と姫上がグリードと戦った時二人がかりであったにも関わらず倒すまでには至らなかった。」
「・・・じゃあどうすればいいんだ。」
「当面は二人で修行してもらうほかないな。」
「やっぱそーなるか・・・。」
「修行相手くらいならば何時でもなるよ。声をかけてくれ。」
「・・・いや、手合わせはしばらくいいわ。ニーレイ。明日修行場に来てくれ。」
「・・・構わんが何をするんだ?手合わせか?」
「いや手合わせはしねぇ。何をやるかは明日話す。」
「・・・分かった。」
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俺たちは翌日再度稽古場に集まった。
「で、何をするんだ?龍一。そろそろ教えてくれんか?」
「・・・今使える印紋術の修業をする。」
「何⁉ふざけているのか貴様‼もう使えるのにそれをして何になる⁉」
「まぁ話を聞いてくれよ‼確かに俺たちは姫上に参ったを言わせる程に強くなった。けどよ、戦ってる時に気が付いたんだけど印紋術を発動させる速さはまだ遅い。特に新しく覚えた印紋術程な。お前も感じてるだろ?」
「・・・確かにアルア様から教わった攻印{連}を出した時あまりにもモーションが大きく隙だらけだった。」
「だろ?だから今俺たちがやらなきゃいけねーのはひたすら手合わせすることなんかじゃなく基礎的な印紋の発動スピードを上げたり印紋の精度を上げることなんだよ。」
「確かにな・・・お前の空間紋も精度が高ければ姫上に抜けられることはなかっただろう。」
「それに俺たちはグリードと戦わなきゃなんねーんだ。特にお前は常に前線に出で戦う戦闘スタイルなんだから印紋の発動スピードは尚更大切になってくるだろ。」
「貴様もサポート役として私に遅れを取る印紋の発動スピードでは困るしな。」
「へいへいいっとけ。それじゃまずは基礎中の基礎の攻印と守印の練習から入るぞ。」
「ああ。」
こうして俺とニーレイは一つ一つの印紋術を正確に発動させる練習をすることになった。
「龍一の奴ちゃんと戦いの中で気付いていたな。」
「ニーレイ君も感じてはいたようだね。お前との戦いの中で時々イライラしていた。」
「ああ。多分自分の印紋が発動するスピードの遅さにイライラしていたんだろう。」
「にしてもあの負けの認め方は流石に雑過ぎないか?もう少し何かあっただろ笑。」
「やっぱそうか?まぁあいつらを倒そうとすればもう少しやれたのは事実だが戦ってるうちにあいつらになら負けてもいいかな・・・ってふと思っちまったんだよ。」
「成程な。俺も一度手合わせしたが良いコンビだよな。あの二人。」
「あんだけ一緒にいてラブコメに発展しないとは・・・逆に凄いな。」
「・・・その髭面でラブコメを語るなよ・・・笑。」
「まぁそう言うなって笑。俺たちの時はそりゃ寂しー青春だったんだからよ。」
「・・・年は取りたくないもんだ。」
「それ、アルアのじーさんの前では言えねーな笑。」
「そうだな笑。」
「わしがなんじゃ?」
「じーさん‼い、いや・・・俺は何にも・・・生命が・・・な?」
「い、いや俺も何も・・・。」
「まぁええじゃろ笑。それよりニーレイと龍一くんの調子はどうかな?」
「順調ですよ。特に龍一は印紋術の使い方の本質に気が付いてきています。」
「・・・まさか悪魔や天使の存在を・・・?」
「いやまだ流石にそこまでは。しかし印紋術の継承書をお前との戦いの後に見せたが然程驚いた様子はなかった。」
「ニーレイの方は“そんなものいるはずがない‼”と繰り返しておったがの笑。」
「・・・あいつ意外に怖がりなんだな笑。」
「意外じゃろ?それよりあの二人空間紋の修業に入ったみたいだの。わしはその空間紋というものを見たことがないのじゃがどういう印紋術なんじゃ?」
「・・・あれはふたりで使って初めて生きる・・・そんな素晴らしい印紋術ですよ。」
「先代たちの想いを体現したような・・・そんな印紋術だな。」
「ほう・・・成程の・・・それは楽しみじゃの。」
こうして俺たちは徐々にではあるが着実に印紋術を極めていった。
そんな中印紋術の存在を知る者の影が徐々に忍び寄ってくる・・・。