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子供の頃より弱い自分。


実家から完全に出て一人暮らしを始めたのは今から4年前。
最初はやっぱり、一人で暮らすのが不安で寂しかった。

でも段々と一人で暮らすのが好きになった。というか、一人で暮らすって楽だなと感じるようになった。

”家族と距離を取りなさい”という精神科主治医の助言が理由で始まった一人暮らし。実家には、もう半年に1回帰るか帰らないかで、連絡も全くとっていない。

実家に戻りたいと思ったことは1度もない。これって悲しいことなのか?

歳をとるごとに私は確実に弱くなっている。
実家暮らしをしていた学生時代、あの時が1番辛かったはずなのに、あの時が1番泣いていなかった。辛いと思った瞬間が少なかった。
現在、私は彼氏と同棲生活を始めて、辛くなっている。実家には戻りたくないけれど、一人暮らしに戻りたいと考えることが多々。
でもこれは、彼と上手くいかないからではない。
彼との生活で、今まで一人で生活してきた何倍も広い世界を見なければいけなくなったからだ。自分の生い立ちや価値観や家庭環境などを、彼や彼の周りと比較する機会ができたから。

自分はこれでも幸せな人生を送ってきた、と鬱が治り始めてから同棲を始めるまで、そのような思考になっていた。
でも、彼の家庭と比べるようになって、自分の実家にはない幸せやあったかい考え方があることに気づく。それを感じる度に、自分の家族を誇ることがどんどん出来なくなってしまう。

彼の地元に引っ越したことで、私は想像以上に大きな壁に当たっている。こうなることは想像はしていたけれど、想像以上の分厚くて大きな壁だ。

私は地元の繋がりが全くなく(そもそも私は友達が少ない)、母校の同級生同士の繋がりが本当にない。私は行かなかったが、成人式の中学の同窓会の参加者も15人いたかどうかだ。それに比べ、彼は地元の友達が多い。そもそも地元に残っている人が多い。
先日、地元のイベントに彼が出るため見に行った。周りはもちろん地元の人同士で集まっていた。私は終始1人ぼっちだった。当たり前のことだ、でもあの時間『異国の地にいる』感覚になった。知らない土地で知らない人。これが一人旅ならいいが、彼がいるから、彼は知らない人たちの輪に入れるから、辛かった。
実家に戻りたくないのに、地元に帰りたくなった。自分の地元が恋しくなった。

…なんだか思い出してきて涙が止まらない。彼がいれば知らない場所で楽しく生活できるわけでもない。むしろ今までのように知らない場所でひとりぼっちで生活する方が容易だった。なんだか、苦しい。一人じゃないのに、彼と暮らしてからとてつもなく孤独を感じる。

こんなことで泣いて、こんなことで同棲解消するなんてダメだ。
これからこの地で暮らしていく中で、今よりもっともっと苦しくなることは沢山ある。
だからきっと今はまだ小さな苦しみなのだ。

でも、ヤングケアラーをしていた高校生の自分より今の自分は弱い。すぐ辛くなる。あの頃は、家族を信じていた。自分の家族は自分の人生はおかしくないと信じていた。

琴音

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