【セットリスト】奉納ライブin奈良県@2月23日(火)金峯山寺、2月25日(木)氷室神社
概要と配信URL
こちらのnoteは言葉と音の可能性を探る、詩人・久世孝臣と音楽家・市川ロ数のユニット言音(ことね)が、奈良県にある金峯山寺と氷室神社で行う奉納ライブについてのnoteになります。
基本的には当日読む詩のセットリストをUPするNOTEです。
2020年10月末に発売した言音(ことね)の新作 KIND OF REDを軸に言葉と音を神様に捧げます。
KIND OF RED は 我々が「赤」という観点で捉えた世界の形。
真っ白な世界の中で、目に見えてるものと違う赤の世界を言葉と音で見つけました。
(もう少し詳しいことは↓こちらに書いてあります。
KIND OF RED コンセプト
https://kuzetakaomi.weebly.com/blog/kind-of-red)
私たち二人がつくった世界そのものをお寺と神社で奉納できるというのはとてもうれしい経験です。
二つともとんでもなく古くからある由緒正しい場所です。
金峯山寺は修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)由来のお寺で、
飛鳥時代からあるそうです。(間違っていたらすみません)
そして、一部がユネスコ世界遺産として登録されています。
金峯山寺
氷室神社は奈良時代からあるお寺。全国でも珍しい氷の神様を祀っておられます。国立博物館のすぐそばにあり大きい神社です。
氷室神社
千年以上人が集まり祈りを捧げた二つの場所で、言音(ことね)がやると何が起こるか。
自分たちを問う意味でも、凄く特別な時間に結果なるでしょう。
こういうご時世なので無観客で行います。
画面の向こう側で立ち会ってほしい。
奉納というのは単純に神様に捧げることだと思います。
目の前の人間ではなくて目に見えないものにむけて、
表現していることの全部を納める。
今日のライブを盛り上げるためではなくて、
今までしてきたことをきちんと出して、
目に見えないものに受け取ってもらう
というのはいつもと全く違うliveになると思います。
それを覗いていただけるのもとても嬉しいこと。
皆様、お楽しみにしていてください。
配信は25日の氷室神社のみでURLはこちらになります。
2月25日(木)14:00~
23日の金峯山寺は撮影したものを後日UPします。
最後にチケット代として、投げ銭や金銭的なサポートをお願いしています。
このノートは1000円で販売してます。追加で、投げ銭頂く方の参考に、
ライブだと、大体3500円~4000円が僕が今まで行ってきたlive代の相場になります。
ドリンク代込みなので、チケット代としては3000円とか3500円です。
ご参考までに。もちろん、100円でも構いません。
皆さんのお金で僕は生かされています。是非ご検討をお願いします。
NOTE以外のサポート方法は詩の後、
一番下に描いておきますね。
それでは、まずは当日のセットリストをお楽しみください。
ここに在る詩を中心に、違うものも少し挟みます。
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KIND OF RED
赤を描いた。
言葉と音で描ける赤を まだ揺れているうちに 揺れていることを。
赤。
かけらを見つけた。それをつないだ。
これまで揺れてみていた ものに 赤を 向けて
風も水も火も土も街も技術も
いままでここで飲み込んだ/吐いた/歩いた/笑った/分の覚えてる全部。
私の身体を 感じる世界と宇宙を こころとあたまで言葉にのせて
赤を通して眺めてみる
思想を赤で見なおして、歴史に赤をのせていく、疑問に赤を塗ってから、今までとこれからを赤を使って考えてみる
堅牢な赤の穴。
悩める赤の腕
赤が仕掛けた罠と残る希望
赤の流れ 赤の揺れ 傷が 乾く前に
これはなに?
椿だよ
それは人が付けた名前でしょ
じゃあこの子の感情は。歌は?楽しかったことや嫌なことは?
何も知らないよ
名前は誰かが付けただけ。
わたしは知りたい このこの意味を 観測した事実じゃなくて 友人として
あなたとわたしとこのこは どれだけとおい・おたがいが ここ にいる 今。いつも。
世界 と 私 は
のたのたのなかにいる
けして消えないのたのたのなか
人が経験するなかでいちばんつらい
のたのたのなかにいる
私の中へ 私の赤へ
ゆらゆらと たえず うつろう せかいのなかで
わたしのなかを赤にして 眼を ひらく
私が揺れているとき世界は?
最初から最後まで全部覚えていた日なんて一日もない。
記憶は揺れていて、身体も揺れていて、
人やほかの沢山の生き物もぜんぶ揺れていて、
ぶつかって かさなって じぶんの揺れがわからない
揺れているかもわからない
誰の揺れ?誰の/何の/揺れの中の/上の/下の/何が/私の揺れ?
自分だけで決められることはなくて、
それでも [私は揺れていてここに私がいる]と言っている
揺れていることをわすてら あんたは いつも 忘れてら
ここがどこだかわかるかい?
ゆらゆらと たえず ゆらめく せかいのなかで
ひとひとりが ひらひらと
命をここに置いていく
それぞれにひとつのいのちをおいていく
揺れて巡る 渡して流れる
繋げて結ぶ 終わって変わる
揺らぎの中の微かなわたし
ここはどこ?
誰も知らないはずなんだ。
ここはどこ?
日本だよ
それは人が付けた名前でしょ?
ここはどこ?
地球だよ
それも人が付けた名前でしょ?
ここはどこ?
言葉じゃないか
それはどこ?
ゆらゆらと ゆれて かさなる せかいのなかで
人の全ては
世の、中で、
人が付けた名前をしてる
その外側で 存在が自我を手放し そこに居るの
揺らぎの中 の かすかな わたし
私を 遠いところで 眺めれば
私は ただの ゆらゆらで 存在してる わかる
揺らぎの中 に ひそかな わたし
ここに居るのがみえるかい?
みえるよ私は。
私は実体のないたまたまここに居る何か
終わると 揺れに消えていく
始まりも終わりも少しも変らぬ揺れのなか
生まれた 私はここにいる
どこでもない場所。ずっとここ。
あなたも決まった場所に居るみたい。
どこでもない場所 ずっとそこ。
それはあなたのいるところ。
ここはわたし。 そこはあなた。
死ぬまで
ここはどこ ここはわたし/あなた/せかい
小さい身体。あるがまま。
KIND OF RED
ただ立つために言葉をつかう
ただ在るために言葉をつかう
揺れて浮かべる 思考は影
(KIND OF RED)
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紙の上のホムンクルス
詩「マチルダと僕」 音「kaikoh」
マチルダが死んだ
田中は感じた
小西は浮かれて
阪本は踊る
マチルダが死んだ
岸田は困った
奥野は抱かれて
黒田は産んだ
山下のために花束を
山下のために花束を
斉藤だけは仕方ない
中野のためにスケッチを
吉田のためにスコッチを
河野のためにコーヒーを
やはり山下のために花束を
マチルダが死んだ
マチルダが死んだ
毛利はとまどい
池田は辞めて
僕が転んでみんなが笑った。
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あなたの傍にいる
詩「妖怪たちへ」 音「youkaitachi e」
ここには血と肉があります。
満足ですか?
ここは人間の言葉で日本と言います。
今はそう言います。
日本では毎年行方不明者が出ています。
おいしいですか?
そもそも妖怪は人間を食べるって前提が間違ってますか?
僕たちが知ってる妖怪はいい妖怪もいて悪い妖怪もいて
みんな悩んだりもしていて。
あっ。僕たちが妖怪を知ってるのはお話の中で描かれているからです。
お話の中で妖怪は大活躍してます。
知ってますか?
あれは人間が描いた妖怪なのかな?
妖怪が描いてる妖怪なのかな?
全然本当のことはわからないけれど、
いくつかは凄く良くできていてつくり話とは思えないんです。
僕たちは妖怪のことどれくらい知ってますか?
僕たちの知ってるどれが本当ですか?
名前だけですか?
名前も人間が付けただけですか?
出来ればちょっとでも本当のこと知ってから死にたいなと思います。
闇が好きなんですか?
好きとかって気持ちあります?
そもそもこの、妖怪は感情があって人間に興味を持っているモノもいるはずだという前提でのお手紙は煩わしいですか?
この考え方自体がとても人間らしいかもしれません。
分かりたいって欲求は人間だけのものでしょうか?
なんだ?僕も今日なんでこういうことを知りたいと思うのか分かりません。
いつもちょっと離れたところにあなたたちが居る気がしてるんです。
今日はその距離が、距離というか妖怪と僕との間にあるねじれが
少ないように思えるんです。
たまにそういう日があります。新月の晩とか。真っ暗に近いと。
でも、そういうときは怖くて心臓がどきどきしてるので
なかなか冷静に言葉が出てこないんです。
今日は暗くもないのになんかあなたたちに話しかけたいくらい
近くに感じています。
人間は限界なんか無いように色んなことをしていきます。
できないことなんてないように見えます。
でもただ人間に出来ることをたくさんやっているだけなんですよね。
どう思ってますか?
僕はあなたのことが知りたいです。
だからあなたの意見が知りたいです。
あっあなたでいいですか?
あなた方の方がいいですか?
さっきから何度も言ってるから今更かな?
人間がやってることどう思ってるかなぁ。
笑っちゃいますか?何も思いませんか?
こうやって言葉に残しておくと妖怪の中のインテリ?が
読んだりして、目の前に現れたりしてくれるといいな。
この国には妖怪が描いたとされる手紙がお寺に残っていたりします。
今はメールも打てるのかな?
僕だけ知らないだけでみんな妖怪と仲良くしてるのかな?
だとしたら僕だけ仲良い妖怪が居ないのはなんでなんだろう?
信じ方が足りないのかな?
人間だけの場所に居ると人間がよくわかりません。
だから、妖怪のあなたから見て人間がどう見えるのかお話を聞くことで
今までと違う人間のカタチが知りたいんだと思います。
僕は人を愛しています。今までと違う感覚で。
今までと違う感覚すぎてその人が人間かわかりません。
僕は人間らしくできてるかな?
こういうことは人間は思わないのでしょうか?
妖怪にこの話を聞いてほしかったです。
どう思ったのかなー。
素直にまっすぐ生きることができたらと思います。
そう素直に思えている今はやはり今までと違う今です。
僕も人間かわかりません。
でも人間かわからなくても人間かわからないものを愛していて
多分これは人間だけの感情じゃないと思うんだよなぁ。
だから妖怪に話しかけました。
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すぴえも
詩「速さと情動」 音「speed&emotion2」
健全な 不浄 空低域 完全な共存 カラダが解けるほど
回転、膨張、螺旋、粉砕、貫通、圧縮、収縮、全方位、
だんだん、だんだん いついつ いつでも
点描した 原理
潜在、肯定、影の技法、想定内・前へ フレーミング、構図、
深度深く 前へ
二つの明かり、枯葉、ルミノポラス 風雨 風雨
舞い散る 枯葉 それ 散る 枯葉 閾値 人の声
行きかう人 流すリズム
赤い服 笑う 白いシャツ 揺れる 閾値
雄弁はアスファルト 踵返す 下敷き
白い肌 黒い目 長い脚 寂しい 破るんだ 気泡 時間の情け
会場には誰も。
研磨、先端、掘削、圧搾、収束 聞いてよ 聞いてよ ねぇ
振動 伝達 回転 速度、今も・今を。前へ 前へ 前へ 前は。 どこだ。
どっちだ。 いつだ 何が? 今は。 どれだ? あっ 鳥が飛ぶ
立つ経つ、人が 建つ絶つ ゆっくる くるくる
鉄・哲 毎日 勝つ喝 大声 やめてよ そうじゃない 今じゃない
欲しくない
緑、赤、魚が躍る 疾く疾く 少しも から、愛おしく。
溶く解く 撹拌 乱雑 空気 飲まれる
卵 空気 撹拌 卵 今の 今の
今の 混ざる もう戻らない。
卵・乱・卵・爛 純白 厳格 斬新
限界値、フラット、バレットタイム、セピア 平らな、らならな ドア・アドアドア
鬱蒼 砂漠 密林 砂漠 氾濫する砂漠 生い茂る 砂漠 攪乱する砂漠
海底の太陽 乾くのさ水中 船に乗る 軋む
月の裏の 杞憂 闇 見える 魚
加護 森 偽物のウソ 確かにいる たくさん
たくさんいる 闇にいる カラダ カラダ 闇にいるからだ。
動乱 扇動 混同
並ぶ暇のない 回転する 回復はしない
消えるので これから消えるので
派 歩 屁 派 歩 卑 歩 歩
抵抗するな 撃つぞの世界 カラダが望んでる
2、3、5、7、 11、13、17、19
純粋な無口 希望者は中毒 完全な夢 カラダが解けるほど
飛んでる 落ちてる 動くんだカラダ
海底の砂をつかんで空へ 冷凍された感情 どこへ 今 どこへ
今 今 私は 磁場 私は 牙 怪我 鮮明な 光景
祈る前に私ならやる 小さいの 小さいの いいね 悲しいの
うるさいの いいね
悲しいの 切ないの ひっろーーい ふっかーーい とっおーーい
2269、 9973、74413
素数は孤独か いいね いいね よくないことがね
でもね でもね これからは
軸がぶれないことがね 今の 今の 今の そうだね そうだね
矮星少々
実はばれないように 貝をください 解 改
快をください 界、階、怪、
笑い出して、もう消えないで 怒るんだったら 歯はいらない
泣き出して まだ来ないで 軋むんだったら 目はいらない
ふいに 声 袋 声 声の袋
眼の母 無い 母の眼 無い 開く袋
眼の父 無い 父の眼 無い 閉じる 声の袋
本物のゴンドラ ホワイトのジレンマ
エンボス、円筒研削、蒸着、旋盤、中ぐり、フライス、ディグ、ホーニング
象・象
綺麗な○ 三角は死体 四角い 愛に 正面からは六芒星
とつとつ とつぜん
全然 前程・ 諦・低・大抵 定款 観念 解放 かいかい 饒舌なトラ
錐揉み 焦点 解体 生活 炭素繊維 人体
闇の中で息 そっとね。 光はまだ消えない。 そっとね。
こつこつ 忽然 全体 回転 大抵 丁寧 捻転 飛んで
病理的 表出 抵抗感
速さと情動
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例えば満月の夜の話 2021
東京は多くの人間が住む街だ。
休むことなく人は営みを続ける。愛憎入り混じった混沌の世界。
残念ながら美しくないものの方が多いようだ。
ケモノタチの咆哮。ケモノじゃない。「人間」だ。
ここは人間たちの世界。ニンゲンたちの叫び声。
月はそれを見ている。優しい眼差しで。何も見てないフリをして。
遠くで微笑む優しい月。
月はいつも味方をしてくれる。月は人を狂わせる。
「月の光は人を変える」 こんなに離れているのに。
悲しい距離の魔法使い。悲しい距離の狙撃手。
お月様、あなたは今夜も綺麗です。
僕はペンで文字を書くことでしか、
キーボードで文字を打ち込むことでしか、
何かを伝えられない人間です。
ここに。まず1つ。文字を放つ。今日は「月」。
僕の手で「月」を紙の上に宿す。
今、「月」が文字になった。
これで何かを得て、何かを失える。
だから世界が紡がれる。
月に包まれ、月とともに月を笑い、月とともに月で泣く。
文字になった月を紙に貼り付けて、何度も何度も抱き寄せる。
文字になった月を紙で磨り潰し、何度も何度も怯えて逃げる。
文字になった月を紙で掻き鳴らし、何度も何度も奏でて笑う。
文字になった月と紙の上で、何度も何度も夜を明かす。
そして文字になった月に包まれて、僕はいまここに立つ。
月はいつも味方をしてくれる。
優しい眼差しで。何も見てないフリをして。
月の力に魅せられて、あるものは絵筆をとり、或る者はキーボードを叩く。
あるものは楽器を触り、あるものはノミをうち、あるものはシャッターを切る。
絵にするもの、言葉にするもの、音にするもの、掘るもの、写すもの。
月と戯れ月を抱く。月はそれを見ている。
「そうじゃないんだ」
どこかのタイミングで、穏やかな心がささくれ立つ。
女と男、男と女、女と女、男と男。
対峙する2人の人間の距離は、
抱き合っていたとしても、
しばしば月と地球より遠い。
積み重なっていく日々。
老いと腐敗が落としきれず、諦めが肌にこびりつく。
汗をかいても毛穴から這い出してきもしない。
内臓にも沁みついているんだろうな。
「貴方の『そういうところ』が好きよ」
「『それ』を『そういう風に言う』『あなた』が『好き』よ」
月はいつだって味方をしてくれる。
優しいまなざしで。何も見てないフリをして。
冷たい死んだ光を放ちながら、世界をひっそり抱きしめる。
月。
月。
月。
月。
インクで出来た、文字になったばかりの四つの月が、白い紙の上を照らす。
例えばそれは210 × 297のサイズや257 × 364のサイズをした、
長方形の、真っ白で果てしない宇宙。
そこを漂う四つの月。
そのときの月のリズムで。
そのときの月の思いで。
文字になった四つの月以外何も無い空間。
愛すべき言葉たちを脳に叩き込みながら、
月のリズムで細胞を揺らしながら、
月の思いを身にまとう。
一度死んだ光を放つ月。
優しい眼差しの全てを見通すその光。
彼女に、もしくは人によっては彼に愛された彼女、または彼。
悲しい距離の魔法使い。悲しい距離の狙撃手。
ここからそこには行けはしない。
愛すべき言葉たち。
言葉で全て表そうとするのは無茶だろうか?
意味を欲しがり、見出す人間。
同時に枠からはみ出そうとする人間。
言葉を駆使して、ここに生まれた世界で僕は月を背負う。
ほぉら、背負えた。
人間へ、人間達へ、私へ、あなたへ。
わたしとあなた方へ。どうか我侭でいませんか。
でも嘘をつくのはやめませんか
人間たちの我侭を最大限尊重しあえる場所を見つけるために。
秘密の多い人間で幸せになった人を私は知りません。
秘密は何もかもをややこしくします。
今よりすごくたくさん損をする人も出てくるかもしれない。
それでも嘘はやめませんか。
自分に対して、気持ちに対して、世界に対して、私に対して、あなたに対して嘘をつく。
それでは幸せになれない。そこに幸せは無い。
堕落と恍惚、破滅と緩やかな死。
魅力的なものです。 でも、それはニセモノです。
文字になった月を見てにんまりと笑う?
文字になった月を握ってひっそりと語る?
文字になった月にむかって見開いた目で叫ぶ?
文字になった月に誘われゆらゆらと踊る?
文字になった月のため何も言わずに筆をとる?
文字になった月のせいで今夜もグラスがすぐ乾く?
新しい感情の渦が決意と、溜息の形をとって部屋に転がっている。
そこに。ここに。 ここに。 そこに。 こことそこに。
文字になった「そこ」と文字になった「ここ」の間に。
青の光を僕は纏う。
私は私。アナタはアナタ。
今、僕の手で文字になった「アナタ」と「私」。
連れ添いの星たちが今日も月を持ち上げる。
剥がれそうな満月。
落下しそうな三日月。
泣きそうな新月。
走り出しそうな望月。
どれも月。
月を讃えるセレナーデ。
これ以降、文字になったセレナーデが紙の上を流れ続ける。
歌いっぱなしで喉がからから。文字になった喉に歌が張り付いてからから。
月と共に、記憶の断片とともに踊る。切ない君の、冷たい彼女。
優しい光で僕は舞う。笑いもせず、泣きもせず。
いつまでもここにいては、
僕は影を乗り越えることができない。
アナタに夢を僕に愛を
文字になった月と僕が紙の上でどれだけはしゃいでも、
文字になった世界は紙の上で静寂を保つ。
一切の音が無い空間。
文字になった月が僕と紙の内側で踊ること。
そうして僕の頭で、記憶の中の今朝の僕が白い息を吐くこと。
そこから砕けていない月が見えるのならば、
そこから丸い月が見えるのならば、
赤い月の横に緑色の月が寄り添っていたとしても、
冷たい月が微笑んで涙を流し、
熱い月と笑う月が抱き合っている間に、
僕は月に囲まれ眠りに落ちる。
魂の進む先に月がある。
照らす月、包む月、生かす月、殺す月。
様々な月を知っている。
書くことでの悩みは書き続けることでしか解決しえない。
描くことでの悩みは描き続けることでしか解決しえない。
歌うことでの悩みは歌い続けることでしか解決しえない。
奏でることでの悩みは奏で続けることでしか解決しえない。
踊ることでの悩みは踊り続けることでしか解決しえない。
そして、生きることでの悩みは生き続けることでしか解決しえない。
文字になった月を眺めて、
文字になったグラスで、
文字になったワインを飲みながら、
文字になった僕が、月と酌み交わす。
文字なった雨に打たれて、文字になった風邪を引き、
文字になったベッドの中で「月」を思った。
この世界を文字にして、夜にして、月を置き、夢を見る。
そこは文字の外の世界。
そこでも月は見ている。優しい眼差しで。何も見てないフリをして。
全てを見通し受け入れる。
ここは文字の内の世界
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IKKAI
詩「謎夜 一回,謎夜 虧月(きげつ),謎夜 一日」
音「IKKAI」
謎夜 一回
一回、目を瞑ってあけると夜だった。
一回、目を瞑ってあけると朝だった
一回、目を瞑ってあけると夜だった。
それを瞬きと呼ぶんだと。
(謎夜 5804夜目より抜粋)
謎夜 虧月(きげつ)
(深く(((深く(((深く((((深く
((((((深く))))))
深く))深く)))深く))))
(謎夜 3405夜目より抜粋)
謎夜 一日
一回だけしてみる。
一回だけ息。
一回だけ歩く。
一回だけごはん。
一回だけ赤色。
一回だけ、夜。一回だけ私。
(謎夜 7251夜目より抜粋)
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みんな最後の国
詩「アダムと云えば生き急ぐ仏陀」 音「happiness」
私は、言葉を捜していた。一つの言葉を捜していた。その言葉は誰かを傷つけたりしない、誰かを脅したりしない、誰かを、悲しませたりしない言葉。誰かを幸せにする言葉。
泣いている子を抱きかかえて、ベッドに運んでいくみたいに柔らかい言葉。
しかし、私から出てくる言葉は、余りにも冷たいものだった。
「どこかに消えてよ」
私自身、その言葉のあまりの冷たさに思わず顔を覆った。何故、そんなことをいってしまうのか、自分でも分からなかった。私は言葉を捜しているだけなのに。
(中略)
私は、自分の身を捧げた。それで男が満たされるのであればそれでいい。
そのとき、男がどういう言葉を感じるのか、それだけが知りたかった。男は何も言わずに去っていった。私はまた、言葉を見つけられな
かった。悲しい気持ちのまま眠りに落ちた。地獄に行くとき、これより惨めな気持ちになるのかしら。そんなことを考えて眠りに落ちた。
(中略)
私は、倒れている男の額に自分の額を当てると、周りの空気から最小限の力を与えて貰った。この人が、自分で立ち直るために必要なだけ
の最小限の言葉を。
それで水を口に含み、男のお腹に吹きかけた。すると新芽がそこから生えて、男は緑に包まれる。男は目を開き、目だけで私に感謝を伝え
ると、みるみるうちに高く高く上っていった。またしても私は言葉を見つけられなかった。
今度こそは、何か言葉をもらえると思っていたのに…。私は悲しい青。
(中略)
今だからこういえる。ついこのあいだまで、言葉が世界から失われていた。
世界は空虚が支配していた。見上げる空にもまだ少し空虚がこびりついている。
(中略)
その男は、そっと自分の名前をつぶやいた。私は、全てを理解した。
そして、言葉を手に入れた。
今、私は、歩いている。来た道の意味を知るために。歩いているのだ。
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頑張れ久世ちゃん!
さっこの記事は当日どこかで読むかもしれない一つの詩をつけて、おしまいにします。
チケット代としてお考え下さい。
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サポートされると嬉しいです。どんな金額だろうとそれを行動に移して評価いただいたことで良い気持ちになって毎日頑張れます。たくさん描きます。気に入ったらたくさん僕の言葉で遊んでください