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入室修理でのトラブル。クレーマー認定されてしまった私の真意とは。

マンションコンシェルジュをしていた頃の話ですが、仕事とプライベートの境界線って、曖昧なんだなぁ、と感じた出来事について書いてみようと思います。


マンションコンシェルジュという仕事からの学び~入室するということ~

それは、今住んでいるマンションへ引越準備を進めている時でした。

ネット回線を引くべく、メジャーな回線事業者に申し込んだところ、代理店から電話がかかってきました。

プランについてや月額料金、違約金などの説明があり、了承して契約することにしました。

すると今度は別部署から電話がかかってきて、この建物は、手元の情報によると室内の回線工事は要らないはずだが、どうも工事が必要なようなので、入室をさせていただきたいという連絡がありました。

電話をさせますので、日時調整をしてください、と仰るので待っていたところ、よく内容を把握していなさそうな担当者から電話が。

内容を確認しても曖昧な答え。〇〇さんという方とお話しましたが、と伝えても、共有されていない様子。

日時調整も、「いつがよろしいですか?希望を伝えておきます」と言うだけで、手順のマニュアル感が否めず。

この時点で既に、日をまたいで、何度も電話のやり取りをしていて、早く工事をして欲しいのに…ともどかしくなりました。

土日も含むシフト勤務のため、お休みや出勤時間がバラバラであること、入室日時の調整をしたいので、今度電話をもらう時は、業者さん側で都合のつく日時を3パターンほど用意した上で電話をして欲しいこと、電話に出られない場合が多いので、留守電に残して欲しい、ともお願いしました。

その後、仕事中に電話があったことに気付き、留守電を確認したところ。日時の提案もなく、ご都合が悪いようなのでまた改めます、とだけ入っており。

かけ直そうにも、留守電に気付いた時点で先方の営業時間が終わってしまっていて、次の日になりまた留守電に「ご都合が悪いようなので…」のメッセージのみ残されているという繰り返し。

業者さん側の都合日時を伝えられない理由があるとか、とにかく何でも良いので情報を残しておいてくれないと、先に進めません。

かかってきた時点でタイミング良く電話を取れないというこの状況が続いたら、延々決まらんがな、とその、“言われたことだけやる感”にイラッとし、怒りモードでかけ直しました。

「仕事中で、電話が取れないんです。これでは決まらないので、そちらの日時の選択肢を留守電に入れておいてください、と伝えたんです。そうすれば調整した上でかけ直せますから。〇〇さんから聞いてらっしゃいませんか??」と問い詰めました。

申し送りはないのか、いつでも人の家に入れると思うなよ…、入室の調整をなめ過ぎとる…と思いましたが、でもこれ、コンシェルジュの仕事をする前は、自分も意識してなかったなぁと思いました。

9年近く勤めるうちに、家の中に入るということは、その人の生活を覗くということなんだ、とプライバシー面からの難易度の高さを、強く実感するようになったのでした。

一見取るに足らない作業への思い

自宅への入室はとてもデリケートなものなので、用意されているマニュアル上の過程の一つ、調整という“単なる一作業”という認識でなく、もっと慎重でなければ、と思っています。

消防点検や修理作業などで繰り返し入居者さんと日時調整をするうち、1人暮らしの女性には、複数の男性が一気に入室し、いろいろ見て回られるのは不安を感じるとか、見られる部分はできるだけ最小にしたいし、どこを見るのか知っておきたいなど、いろいろなご要望があることが分かるようになりました。

空いている日時枠に放り込む、といった単純作業ではなく、尊敬の気持ちや想像力、配慮を持って行われるべき作業だと思うようになりました。

どうやらクレーマーにされていた笑

その後、何とか話がまとまり、やっと作業当日。作業員の方ができるだけスムーズに作業できるよう、玄関からの動線やコンセント周りを片付け、準備をしました。

男性2人がやってきたので、「先日のご質問で、あるはずの設備がない。どこかにありませんか?ハッチとかないですか?と仰られたので探したんですが、ないようで。こっちにある、この天井のは違いますよね…?」と状況を説明し、その後は作業を見学しました。

プロが行う知らない作業を見るのは面白いので、邪魔にならない程度に、話を聞いたり雑談をしたりしていたところ。

その設備が、コンセントカバーの奥に隠れていたことが発覚。以前何か別の作業をした際に、何故かしまい込んでしまったんだろう、とのことでした。

なるほど。とにかく原因が分かり対処もしてもらい開通できて良かった、とホッとして。その流れで、この先のPCの設定はどうされますか?と聞かれました。

やるのが面倒になったので、「お願いしようかな」と伝えると。「有料で〇〇円ですが、良いですか?」と聞かれました。

予め電話で聞いていましたし、お仕事にはきちんと対価をお支払いするもの。「あ、聞いています。もちろんお支払いします」と伝えたところ、サササと終わらせてくださいました。

お財布を用意していたら、その2人が顔を見合わせて、何か目配せ的なしぐさがあり。「あ、これ、無料にしておくので」と仰って、作業記録には残さない様子。

えっ、と思いましたが、せっかくのご厚意。「やったー、ありがとうございます!」と受け取ることにしました。

帰りの段になって、は、もしやと思った私は、彼らの背中に向かって、「もしかして、すごいクレーマーだぞ、って聞いて来たんじゃないですか?緊張してたんでしょうー?」と笑ってからかったところ。

玄関先で振り返って、エヘヘ…と笑いながら帰られました。確かに怒ったけども…。

サービス業で長年クレーム対応をしてきたベテランの私がクレーマーか…。何でもかんでもいっしょくたにクレームにされたらたまらんな…と思いつつ。

現場の作業員さんには、事前の準備や作業中の私の態度から、どんな人間なのかが伝わったようで、ホッとしました。

同僚から入った先入観と、目の前の人に対して自分が感じる印象とのギャップから、私という人間への判断が変わったんだなぁ、と感じました。

電話の担当者に対して感情的になったことは少し反省しつつ、きちんと理由があって怒ったんだな、と自分で自分の行動に納得した出来事でした。

仕事とプライベートの境界線って意外と曖昧で、仕事での学びはプライベートで生かせるし、逆も然りだなと改めて思いました。

自分という人間は1人な訳で、死ぬまでの限られた時間の中で、プライベートよりも長い時間を過ごす場合も多い仕事を、右から左に流すように行うのはもったいない。

単にお金をもらうだけと割り切って仕事をすることも一つの生き方ですが、私は、仕事を通していろんなことに気付かせてもらいながら成長し、自分が提供できるものの質を上げ、社会に貢献していきたいと思っています。

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