見出し画像

15.3 関数とグラフ(関数って何?)

中学数学で教えられている関数をみてみます。
中1数学は次のように工夫されています:文字式→方程式→関数。
文字式の直後に方程式で、方程式を関数の直前に持ってきています。これによって次のように関数を導入することが出来ます。

:先を急ぎたい人は、最後の方にある【枝葉を削ぐ】をご覧ください。

問題 湯船に$${10ℓ}$$の水が張られています。いまから毎分$${5ℓ}$$で水を入れたとき$${x}$$分後の湯船の水量を$${x}$$で表してください。

解説 毎分$${5ℓ}$$ということは1分間に$${5ℓ}$$の水を入れるということです。
2分後には$${10ℓ}$$、3分後には$${15ℓ}$$、4分後には$${20ℓ}$$です。だから$${x}$$分後には$${5x}$$ $${ℓ}$$です。もともと$${10ℓ}$$の水が張られていたのだから、全部で
               $${(5x+10)}$$ $${ℓ}$$
となります。▮


この問題の条件のもとで次のことを考えてください。
Q. 3分後の水量は何$${ℓ}$$ですか。

A. 3分間で5×3=15 $${ℓ}$$の水が溜まるから、全部で 15+10=25 $${ℓ}$$です。
この考え方は正しく、答えも合っています。でもこの場合は、よりスマートな解き方があります。$${x}$$分後の水量は $${(5x+10)}$$ $${ℓ}$$と判っています。だから$${x}$$に3を当てはめれば答えが出せます。実際
                5・3+10=25
で、$${25ℓ}$$です。
Q. これを踏まえて8分後の水量を求めてください。

A.               5・8+10=50
を計算して $${50ℓ}$$とできましたか。この話は文字式でもしました。このように8を当てはめることを代入するといいましたね。
では問題です。
Q. 湯船に$${130ℓ}$$の水を張りたいのですが、何分後に水を止めればいいですか。

うちは自動でお湯張りができるとか、溜まるまでずっとケータイをいじりながら待つというのは無しにしてくださいね。

A. 130-10=120 $${ℓ}$$の水を張ればいいから、120÷5=24 で、24分後です。

正解です。小学算数をきちんと学んできましたね。たぶん、日常でもこのように考えて解くと思いますが、$${x}$$分後の水量は $${(5x+10)}$$ $${ℓ}$$と判っているので次のように考えることができます。$${x}$$に 1, 2, 3, 4, 5, … を代入していって130になるのを探すという地道な方法ではありません。これではケータイをみてじっと待るのと同じです。$${5x+10}$$ が 130 になればいいのだから
              $${5x+10=130}$$
を解きます。この方程式を解くことは既に学びましたね。これを解くと
                $${x=24}$$
です。実際には10を引いて5で割っているので、小学算数と同じ解き方をしています。違いは $${5x+10=130}$$ と立式して形式的に解いたか、逆算 (還元算) で解いたかです。逆算は問題ごとに考えなければなりませんが、方程式は関係式が得られれば機械的に計算できます。答えを求めることよりも立式すること(関係式を見つけること)が大事になります。この考えは数学以外の物理(理科), 社会科学(経済), 工学(パソコンを含む機械), 天体観測でも利用されています。


さて問題を考えてもらいましたが、式 $${5x+10}$$ で$${x}$$の値を1つ決めると水量の値も1つ決まります。問題を考えやすくするために値が整数となる場合で済むようにしましたが、もっと細かい値を考えることも出来ます。$${\frac{1}{100}}$$ 分でも21.7分でも構いません。同じようにそれぞれの値に対して水量がただ1つ決まります。ということは0分から湯船が一杯になる限界までの時間を考えることが出来ます。このように$${x}$$の値をいろいろ変化させることを考えるのが関数です。$${5x+10}$$ の$${x}$$は不定元, 未知数, 変数などと呼びましたが、このように変化させることを意識しているときには変数と呼ばれます。$${x}$$は$${x}$$なので気持ちの違いです。$${x}$$を変化させると $${5x+10}$$ 全体の値も変化するので、これにラベリングし、ふつう$${y}$$などとします。つまり、$${y=5x+10}$$ と表現します。これが関数の式です。関数の式ですが方程式でもあります。
方程式というのはある値で成り立つ式のことでした。この式が成り立つ値は数え切れないほどありますが、何でもかんでもいいという訳ではないので方程式なのです。
いまは$${x}$$を変化させると$${y}$$がただ1つ決まるので "$${\bm{y}}$$$${\bm{x}}$$の関数である" といいます。こういうときは、$${y=(xの式)}$$ で表されます。


Q. であるなら$${y}$$を決めても$${x}$$が決まったのだから、$${x}$$は$${y}$$の関数であるといえるということですか。

A. この場合は正しく、それは$${y}$$を決めれば$${x}$$がただ1つ決まるからです。そのときの関係式は
                   $${x=\dfrac{y-10}{5}}$$
です。
これから関数の話をしていきますが、関数の主題は変化の様子を調べることです。高校数学Ⅰの2次関数までシリーズ化して話ます。その合間に不等式の話もします。▢


記事の購入は創作を続ける励みになります。
1記事100円、マガジン500円です。
なお、マガジンを購入すると、そのマガジンの有料部分がすべて読めるようになります。

ここから先は

789字
この記事のみ ¥ 100

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?