和歌の小ネタ(4)和歌でお遊び ~仲良し兼好と頓阿/中世歌人の世界~
今回は二条為世の門下中で和歌四天王と呼ばれたこともあるらしい兼好法師と頓阿のエピソードの紹介だ。兼好法師はあの『徒然草』を書いた人。
57577の各句の頭と末とを繋ぐとメッセージになる歌。現代語訳も沓冠歌にしてみようと思ったけれど頓阿の二句目で断念した。
それにしてもこんな手紙で銭を融通してやるとはね。頓阿は優しい男だ。
和歌に遊びを仕込んでメッセージにするということはそれなりにあったらしい。沓冠歌もその一種。『俊頼髄脳』によれば折句の一つとして認識されていたみたいだ。折句は『伊勢物語』第九段の「かきつばた」歌が圧倒的に有名。有名すぎるからここでは割愛。
『俊頼髄脳』の沓冠歌を載せておこう。
これは兼好/頓阿の歌と違って各句の頭と末とをどちらも初句から拾っていくタイプ。それにしてもこんなクイズめいたやりとりに気付くのは同時代人にとっても難しいものだったのだ。広幡の御息所はとてもスマートな人。
折句以外にも遊びはたくさんある。一つだけ載せてみよう。
こちらは「物名」。一首の中に歌の内容と関わらない事や物を詠み込む方法だ。今回は琵琶湖の一部の古名だった「蘆の浦」に「足の裏」を詠み込んだ。下沓は靴下みたいなものだ。想像するだに汚い話。和歌はそれを浄化・・・できているのかな?蘆の浦関係者は腹立たしかっただろう。
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