⑶ 大鏡を読んで年表を作ろう(道長と公任
1、時間数:多数
2、対象:「雲林院の菩提講」読解済み。大鏡についての基礎知識を身につけている高校2年生。
3、目的:生徒が平安中期の天皇及び貴族について知識と印象を持つこと。
4、準備:『古典探究』、ノート、辞書、デジタルデバイス(インターネット接続が可能なもの)、年表台紙
5、手順(概略)
⑴ 大鏡の「花山院の出家(または退位)」を講読する。兼家、道兼、花山院の関係を確認する。
⑵ 栄花物語の「花山院の出家(または退位)」を紹介する。花山院と藤原頼忠の関係を確認する。
⑶ ⑴、⑵を踏まえつつ、摂関政治と外戚政治について共有する。
⑷ 大鏡「三船の才」を講読する。
⑸ 藤原道長と藤原公任について調べさせる。図書室で行うが、資料はインターネット上のものでも良いとする。ただし情報が確かであることを確認し、出典情報を明記させる。
⑹ 両者の年表を作成させる。Googleスプレッドシートで台紙を作り、両者の年表を横並びで見比べられるようにさせる。
⑺ 提出された年表から質の良いものを選び、Googleスライドに貼り付けて全員で共有する。その年表を見ながら
① 道長と公任が同い年であること
② 当初は公任の方がエリート扱いされ、初叙においても公任が上位にあったこと
③ 986年以後、道長の出世スピードが急加速すること。その原因が花山天皇の退位&頼忠失脚&兼家摂政就任にあることに気づかせる。また頼忠の息子である公任がこの時以後官位で道長に追いつくことはないことに気づかせる。
④ 公任は文芸の道で頭角を現したことを示す。特に『和漢朗詠集』は和本が現代でも安く手に入る。公任の手がけた『和漢朗詠集』が江戸時代においてもベストセラーであったことを示す。
6、反省
年表作りは慣れていない生徒が多く、苦しんでいた。もう少し時間をとって台紙と手順を丁寧に作りこむべきだったかもしれない。紙で提出させた方が生徒も作りやすかっただろう。調査用の道具と作成用の道具が同じであるとやはりやりづらいようだ。