音楽活動の「複業」
2021年の振り返りと、2022年の活動計画。複数回に分けて展開している、第二弾。第一弾の記事は以下にて。Twitterでの鍵アカ化の話など、早速反響をもらえて嬉しかった。
今回はより具体的に、今年僕が考えている活動について書いていく。
2022年に実現すること
前回書いた通り、2021年は「人生最大の断捨離」を実現した。2022年はその断捨離によって作り出した「空白」に、新たに何を配置し、自分の理想とするカタチを作っていくかに終始する。
2021年までに終えた「絞り込み」から一気に自分を解放し、
「マルチタスクに勤しむ自分」へと漕ぎ出していく。
音楽人としての自分を「複業化」する
これまで、KOTARO SAITOという人間を一元化しようと僕は試みてきた。
この頃の僕は、目指すのは肩書きで呼ばれる自分ではなく、自分という存在そのものが肩書き以上の代名詞になることだと言っていた。想いは変わらないが、到達には迂回が必要だったと今は感じる。
その迂回とは、削ぎ落としても1つにはならない「割り切れない自分」への向き合いのことだ。メッセージを発信するにしても、自分の中には色んな役割の自分がいる。一元化すると余計に複雑というか、まるで1つの記事の中に違うトピックの話を山盛りにするような「不誠実さ」に気がついた。
記事を複数回に分けたことも含め、
僕はそんな自分らしさを今は肯定できている。
それほどまでに、僕は自分のどこを切り取っても
誠心誠意生きていると実感した。
ならばむしろ、僕の中にある要素は、ハッキリと色分けする。
極端な話、それぞれの活動のファンの方、関係者が
僕の別の一面を知らなくても良いとすら思える。
KOTARO SAITO 複業の内容
とりあえず、音楽人としての自分に限ってもこれだけの顔を持つ僕。手前味噌だけど、できることをできるようにやった結果がこれだけの幅につながっている。一方、これを一言で説明しろと言われると、企業のタグライン(企業名の上とかに付いている言葉)くらい、抽象度が高くなる。
大企業は皆に知られているから良い。初めて僕を知ってくれた人に向かって、「未来を耕す。 - 齊藤 耕太郎」とか言ったら「は?」って感じでしょ。何より僕自身が、僕を示すワンフレーズにはまだ出会えていない。だからこそ、色々な顔を持つ自分のことを「複業家」と見なして自分自身を知る作業を今年はしたい。
全部、ちゃんとやろうじゃないか。
一元化を試みて、最終帰着をアーティスト業だと考えていた頃は、
今思えば窮屈に感じていた。全部やろうとした方が
アーティスト業と作家業、プロデュース業が喧嘩せず、
それぞれの理想に近づけるんじゃないか、と今は思っている。
副業はしない。「複業」だ。
複業タレントを掲げて活動している妻の完全なる受け売りなんだけど、僕は今「どの自分が一番"ホンモノ"の自分か」みたいな自分内ランキングをつけたくない。むしろ、中途半端にそれぞれの要素を絡め合わせデカく見せようとする自分だけは、きっちりケジメをつけて、やめる。
まぁまぁ、長い間こんな価値観を僕は持っていた。
でも、今思えばこれこそ「は?」って感じだ。
そう思っていた理由は完全に、
「僕が対外的にそう見えたくなかった」からだ。
どんな仕事をしているかより、どのステージでモノを考えるか。
自分の「天命」を理解して、それに対して的確なアクションができるか。
僕は人から見た僕以上に、今それらを大切に考えられるようになった。
僕がそれぞれの道で、自分をちゃんと見つけられたからだろう。
そう思えたからか、
以前だったら何かへりくだったり悔しがっていた
僕より人気のある人、稼いでる人たちを前にしても
僕はいつも通りの僕でいられるようになった。
前置きが長くなったけど、
ここから今書ける範囲で、
僕の2022年・活動コンセプトを発表させてもらう。
①新たなアーティスト活動に挑戦
これは僕にとって、本当に大きな意味を持つ活動であるため、一緒くたに書くことをやめさせてもらうことにした。別記事で、しっかり丁寧に書きたいので少し待っていてもらえたら嬉しいです。
僕の次のアルバムがまさにこれにあたる。前回のポストでも書いたように、より深く僕の作品に興味を持ってくれた方向けに有料noteで制作日記という名の「作品」を書いている。興味のある方は、こちらを読んでほしい。
②インストならではの新しいリリースの在り方
こちらも準備が整うまで詳細は伏せるが、これまでやってきた音楽表現の方向軸にて、別の発表方法を取りたいと考えている。CMという、映像世界の空気を作る仕事とアーティスト業を両立させて生きてきた僕ならではの発想と方法を考えている。春くらいに発表できたらいいな。
③アーティストプロデュースをより積極的に
これまでトラックメイカーとしてアーティスト活動を行ってきた。当然ボーカリストの方々を中心に、自分が音楽表現する上で様々な方と様々な形でコラボしてきたが、今年はアーティストクレジットに僕の名前を出さない「プロデューサー業」も積極的に行いたい。
積極的に音楽活動している方もいれば、これから活動を始める予定で、才能の塊だと思えた方もいる。僕はアーティストとしての活動では消化しきれないクリエイティビティ(自分だと使えないテクニックや作風など)を、プロデューサーとしてその方々に全面提供したい。
今年も早々に、最近セッションを共にしているアーティストの方のトラックプロデュースをした作品がリリース予定だ。そのような機会を、今年は増やしていきたい。
④クライアントワークでの「自己満足ベスト」更新
2021年までに作ったクライアントワークで産まれた作品を超える、「自己満足ベスト」を今年更新したい。
2021年の自己満足ベストは、MIKIMOTOのオートクチュール。
こんなに挑戦的な音楽を一緒に作ることができた
冨永愛さん、制作チームの皆さんのクリエイティビティ、
クライアントの皆さんの懐の深さには今もただただ敬服するばかり。
この作品を超える満足度の音楽を生み出すのはハードルは、超高い。
けど、僕はプロの作曲家としても、常に自己ベストを更新したい。
そんな仕事に出会える自分でいたいんだ。
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クライアントワークというのは、僕の一存では自分のやりたい作品になるとは限らない。ほぼ100%、僕の想いより大事なものが他にある。
それでもこうして、自分のクリエイティビティを活かせる仕事に出会えているのは、何よりも人と人とのご縁、そしてそれを地道に繋ぎ続けたことで「KOTARO SAITO」が少しずつ育ったからだ。2022年は益々、自分の持っている「鋭さ・繊細さ・熱量」を出せる仕事を、もっとしたい。
⑤ライブプロデュースの発展
銀座にあるホテル、アロフト東京銀座での「Live@Aloft」をプロデュースしている。コロナで中々先行きが見えなかったが、2021年は3回の開催を実現することができた。今日の段階で、2回のライブは映像化もできている。3回目も素晴らしいライブで、三者三様に「ライブってやっぱ好きだ」って思わせてくれるステージだった。
雰囲気、伝わるだろうか。
僕は自分の気に入った仕事しかやらないという前提で、
このホテルの素晴らしさを、一客としても絶賛レコメンドしたい。
まさに、僕みたいな人のための空間だって思えてる。
GINZA SIXの裏に鎮座する場所柄、僕は勝手にアロフトを潮流とする新たなカルチャーのことを「裏銀(うらぎん)」と呼んでいる。今年もアロフトに最大限の敬意を払いながら、僕も共にこの空間を彩り、新たなハイストリートカルチャーを産み出したい。
⑥企業のメッセージに深く関わる音作りを
ちょっと角度が変わるけど、僕は対企業に長年仕事をしてきたことと、自分自身がアーティストとしてメッセージを世の中に発信してきた経験を、そろそろきちんと自分の中で「かけ算して形にしたい」と考えている。
例えば、企業の空間設計に関わるような音作り。2021年、僕はソフトバンク本社のエグゼクティブ向けの施設のサウンド設計全般を担当した。
この仕事のように空間設計に音が関わる部分で音楽プロデューサーとして参画したり、企業メッセージを音で表現するサウンドロゴ設計など、実は企業ブランディングの根幹に関わる仕事に携わってきている。
妻との共同プロジェクト
別の機会にきちんと書きたいが、編集者・書き手でありタレント活動、企業広報をしている妻と共に、今年は発信活動も行っていくつもりだ。
もともと僕らは夫婦であると同時にビジネスチャンスを互いに拡大しあえるパートナーだと思い、結婚に踏み切った仲。僕の発言の中にも、妻が発した言葉を僕なりに解釈して書き残していることは多々ある。であれば、妻の創作活動に僕が深く関わって一緒に進めていくことも、自然な流れだ。
彼女の発信、創作物にも僕のメッセージの一部がより注入されるはずなので、それらも注視してもらえたら嬉しい。
結びに
2021年は特に夏以降、自らの決断で時間をものすごく空けて生きてきた。空くと空くで思い悩んだことは多々あり、危うく精神のバランスを何度も崩しかけたように思う。
去年の「考えるための"1分"」と今年のそれは、密度が全く違う。
人生の断捨離によって、少なくとも今は
ゼロイチを考えなくていいからだ。
だから、今年はとにかく、動く。
ずっと、仮説を立て、とりあえず動き、
ダメな理由を検証して、次!みたいな人生を生きてきた。
そんな僕が、初めて本格的に
「"意図して"立ち止まった半年」に意味があると信じたい。
前回の記事で書いた、
という言葉を忘れずに、マルチタスクな自分に溺れる事なく
自分が思う理想の向こう岸まで、泳いでいきたい。