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音楽制作と料理は、とっても似ている。

こんにちは、作曲家で音楽プロデューサーの齊藤耕太郎です。Kotaro Saito名義で、Spotifyなどで音楽作品を配信しながら、CMや映像作品に音楽を作っています。

初めての方のために、僕のnoteやSpotifyなどのリンクを貼っておきます。Spotifyでは昨年リリースしたアルバムがキッカケで月間約4万人の方が聴いてくださっており、時を同じくしてnoteの執筆も始めました。

Spotify

note

普段は音楽制作に関する技術的な解説や、僕がSpotifyで音楽を聴いてもらうために行っていることなどをシェアする目的でnoteを書いていますが、今回は僕の音楽性を支えているとも言える、「料理」について。

なお、はじめにハードルを下げさせていただきますが、僕の料理はあくまで素人の趣味レベルのものです。プロの方相手に料理の云々を語れるほどの知識も技術もなく、音楽家としての観点で書いていきます。


はじめに。

僕が料理にハマったのは仕事の影響がとても大きいです。

音楽制作は、晴天だろうと曇天だろうと基本的には室内や遮音された環境下で作業するもの。僕は自宅の一角に作業スペースをかまえて仕事しているので、ひどい時は3日くらい家から出られないことがあるほど、室内環境に依存した生活を送っています。

そうなると、自分が室内でできる趣味や娯楽を模索し出します。僕は作品を見たり感じたりするのも好きですが、趣味も含めて「表現」「創作」することが好きなタイプの人間です。なので最近の趣味は

・料理を作ること
・料理の写真を一眼で撮ること
・noteを書くこと 笑

の3つです。よかったら僕の料理アカウントインスタもご覧ください。


基本的に何事も頭をフル回転させている時が一番楽しいので、作ったものを知ってもらう、という思考状態そのものが僕にとって趣味性が高い。料理は自分で食べるのも好きですが、それ以上に人に食べてもらえる瞬間がとっても幸せ。年齢と見た目に合わずキラキラ系女子みたいなこと言いますが、自分のアイデアで人がハッピーになれることに燃えます。

趣味と仕事を好きで続けていたある時、自分の仕事と思想がリンクした瞬間がありました。以下はそのことについて書いていきます。


料理と音楽制作の親和性。

月並みですが、よかったら作ったものをご覧ください。

僕はここ数年、外で出歩くことより、仲のいい友達と気兼ねなく自宅で料理や音楽を楽しむ会を多く開いています。呼ぶ人は、自分が家に招きたいと思えるような間柄の方だけ。人前でガンガン話したがる割に人見知りなので、音楽仲間や本当に大切な友達と少数精鋭でプライベートを過ごすのが好きな僕にとって、この空間は本当に癒しです。

そんな時間を重ねていくうちに、自分の仕事を止めてでも料理に没頭する時間を作った方が、音楽を作るスピード、そして何よりメンタル面に大いなるプラスが働くことに気づきました。

①全体の構成を考えるトレーニングになる
料理は、僕にとって「幸せな時間を自分の手で作れる楽しい手段」です。僕の料理をたくさん食べてくれている友達にとって、「またこんな時間を過ごしたい」と思ってもらえるような時間を作りたい。

そうなると、実は全体の構成を考えることがとても重要です。来る人のうち、どれくらいの割合がお酒を飲む人か?よく食べる人か?好き嫌いはあるか?ゲストの人たちに、どんな気持ちになってもらいたいか?色々な課題を並べた時に、最もソリューションとして力を持つアプローチをコンセプトに会を開きます。

音楽を作る時に僕が考えていること、そのもの。

どんな感情を表現したいのか?そのために、曲構成はどのように組もうか?どのタイミングからリズムを入れる?エンディングはどうする?など、全体の構成を組み上げることにものすごく力を入れます。

順目でいく?あえて裏をかく?締めはどうする?みたいなことを考えながら買い物をしている最中、僕はとても燃えています 笑。全ては、僕が考えたアイデアを自分ができる一番魅力的なアプローチで表現した時の、相手のリアクションが知りたい。という願望から生まれるものです。


②作り進める手順を変えるだけで、味が変わるのも同じ。

時間がある日は、牛スジを煮込んで肉じゃがやカレーなどにするのが好きです。家で仕事をしているから、仕事しながら弱火でじっくり煮込める。

煮込みはきっと手を出しやすい料理手法かもしれませんが、やればやるほど奥が深いなぁと思うのが、食材同士を組み合わせたり、下ごしらえの手順を変えるだけで、味が結構変わること。

限られた生活費と予算の中で最も使うもの妥協しないのは調味料や油。すぐに減らないものは、なるべく自分が気に入ったものを使います。

これも、僕の音楽思想に影響を与えました。録音から処理まで、どの手順で音を作り込んでいくと一番いい形で仕上げにパスできるのか。作家にとって一番音に投資すべき箇所は、なるべくプリミティブなもの優先(電源>楽器>試聴環境>録音入力系統>インターフェース>PC)である事は、料理をし始めたタイミングからグンと実感値が高まりました。

僕が高価なハード機材、シンセサイザーなどの楽器に投資するようになった時期と料理熱が加速し出した時期は完全に一致していて、その前後ではライフスタイルが大きく変わったし、人との向き合い方、何より作品のクオリティがグンとアップデートされたのではないかと自負します。


音楽クリエイター同士が、料理で仲良くなる。

僕には、料理を通じてとっても仲良くなった大好きな音楽仲間がいます。

まず、公私ともにとても仲良しなあさひさんこと、作曲家で俳優の内田朝陽さん。長年の音楽仲間SAYUKIさんに紹介してもらった朝陽さんとは、出会ったその日に機材の話で意気投合。以来、真摯に人に向き合う人柄と超センスのいい作曲スキルにたくさんの影響を受けています。

そんな朝陽さんは、山田孝之さん・綾野剛さんと共に「THE XXXXXX」(ザ・シックス)というバンドを結成して活動しています。待望の1stアルバムが、なんと本日4月5日(金)にリリースされます!新作MVは以下。

僕もオーケストラサポートとして制作に参加しております。作詞作曲はもちろん、編曲まで自分たちで行う彼らの音楽は、デモを最初に聴いた瞬間から嫉妬しかしなかった。深く、そしてテーマ性とメッセージ溢れる、とてつもなくセンスのいいサウンド。

そんなサウンドにおいて、トラックメイカーとしての才覚を申し分なく発揮する朝陽さんですが、実は調理師免許を持つ料理人という側面が!

最新の料理投稿もセンスが良すぎるし、つくし?鮟鱇の唐揚げ?を家庭で振る舞う内田家の朝陽パパ・・・すげえ。朝陽さんは先月から雑誌「MADURO」で料理・音楽に関する連載もスタートしたようなので、是非チェックしてみてくださいね。


そして、もう一人。僕が業界の大先輩として尊敬し、4月11日の最新曲でコラボレーションを果たすCM音楽業界の重鎮作曲家、内山肇さん!

約25年にわたり、日本のCM音楽業界を支えている作曲家の肇さん。手がけたCM音楽の作品数は4桁を超えると言われており、文字どおり重鎮。それでいて、僕にも「耕太郎くん!リスペクトしてます!」なんてことを笑顔でおっしゃってくださる、謙虚で、常に発見と前進を恐れない本当に素敵な方。

肇さんの作品もSpotifyにアップされています。世界的人気デュオである2 CELLOSと、NTTドコモのCM楽曲「Kagemusha」をリリースされています。百戦錬磨の肇さん。今度改めて詳しくお話しますが、ご自身のギター愛はもちろんのこと、25年にわたり数かぎりない楽曲を世に残してきた方、ロック・クラシックからスウィング、エレクトロまでお手の物。すごい。


そんな肇さんも、僕にとっては大先輩であると同時に、大好きな料理友達。パスタ、そしてフォンドボーから作りこむフルーティなハヤシライスは、絶品を通り越してハヤシライスそのものの概念が変わりました。やると決めたら純粋に楽しみながらとことん作りこむ!そんな肇さんの一流たる情熱と純粋さが滲み出る、口の中に入れた瞬間にブドウ畑の景色が広がる一品です。


同じくCM音楽の作曲家として長年活躍されている藤田哲司さん、朝陽さんと共に、僕や肇さんの自宅で男子作曲家料理会を実施しています。

写真上は僕が作った真鯛のアクアパッツァ、下は藤田さん作の季節のフリット。お皿まで持参される藤田さんも間違いなく変態 笑。みんな音楽に本当に真っ直ぐで、心の底から大好きな方達です。

音楽、特に作曲と料理はすごく近しい距離間にあることが、他の音楽家の方々との時間を通じて肌で感じ取れます。いい料理を妥協なく作り込んだ音楽家たちが、ヴィンテージギターやシンセをその場で鳴らし出すと・・・その場でセッションが始まり、ビックリするようなサウンドが生まれるます。


シーンを彩る「時間芸術」という共通項。

プレイリストカルチャーが概ね世界中の試聴環境を変革させつつある、昨今の音楽ストリーミング文化。人は音楽そのものを選ぶというより、ライフスタイルに合わせた「プレイリスト」を選んだり自ら作ったりしながら、新しい音楽を発見していくようになりました。

より人のライフスタイルに即した形の音楽聴取機会の創出によって、日々の時間を、どう素敵に彩れるかという「時間美」の概念において、音楽と料理はますます距離が近くなってきています。

どちらも必ず起承転結が存在し、変化に対するメリハリ、帰着した瞬間の読後感を反芻した時に、脳裏に浮かぶ景色が存在するようなもの。楽しかった記憶、色気ある雰囲気、喜怒哀楽が詰まった時間を愉しむことができる、人間として非常に文化的素養が高いアートだと僕は感じます。


坂本龍一さんが、ご自身行きつけの料理店のプレイリストを作って公開したお話もこれに通じるものだと考えます。料理・食事を愉しむ上で、最終的に残る記憶の印象を、その場でかかっている音楽はかなり左右する。そして何より、「料理や空間のためにプレイリストを作る」という概念そのものが、音楽や食事が共同作業して人の幸福のために向かうだなんて。美しいです。


視覚以上に(料理音楽ともに視覚は超重要ですが)、味覚や嗅覚と、聴覚を刺激される料理という趣味。これからも音楽と一緒に楽しみながら、仲間との時間、日々の仕事を彩っていけたらいいなと思います。


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