あなたも天才になれる? 「天才」を9つの視点で覗いてみた

誰もが憧れる「天才」。

生まれ変わったら天才になりたいですか? と聞かれたら、私は迷わずに「Yes」と答えますが、人によってはそうでないでしょう。

そもそも「天才」という言葉はひどく漠然としていて、もしかしたらあなたが思い描いた「天才」と、私が思い描いた「天才」は全然別の形をしているかもしれません

そこで今回は、「天才」というものを9つの視点で覗き、そこから得られるものについて考えていきたいと思います。

天才は…

頭がいい?

天才と言えば真っ先に思いつくのが、頭の良さではないでしょうか。

頭の良さを計るもので有名なのは「IQ」ですが、アインシュタインを始め、偉人のIQはたしかに高いイメージがありますよね。

しかし、IQが高いから偉人になったのか、偉人だからIQが高いのかというのは全く別の話。

実際、IQが高い人たちを集めてその後を調査したところ、案外普通の仕事について普通の暮らしをしていることがほとんどだったとのこと。

結局はIQが高いことを活かすことができるのか……創造性や継続性の方が「成功」においては大事だったりするそうです。

精神異常者?

天才は心を病む……というのはなんとなく印象ありますよね。

それじゃあ心を病めば病むだけ天才になれるのか……というとそういうわけではありません。

分野にもよりますが、例えば科学者の功績と精神障害の度合いの関係を調べてみると、軽度と中程度の間くらいの精神障害で、もっとも功績が高かったそうです。

また、精神が病んでいる方が創造性が上がる、という研究もあるそうですが、他の要素を考えると、精神が病んでいればいるだけ成功したり生産性があがるとは限りません。

それよりは、自分のメンタルの弱い部分を知って、メンタルをコントロールしながら(例えば創造的なことをするときにだけ自分を少し追い込むとか)、健康的な生活を送った方が、人生の満足度は上がるでしょう。

遺伝?

ざっくりというと、遺伝と環境によって、人間の性格などはほぼ半分ずつ決まるそうです。

その中でも、例えば環境は、親の教育方針など兄弟であればほとんど変わらない「共有環境」ではなく、友達や先生など家の外にある「非共有環境」の影響がほとんどだそうです。

では天才とは遺伝なのか……というと、先ほど述べたように、その影響は「半分くらい」といったところ。

しかし、遺伝に比較的左右されにくい「誠実性」なんかは、人生の成功に大きく寄与すると言われているので、そう考えると遺伝的に優れていないからといってそこまで落ち込む必要はないかもしれません。

第一子?

長男長女の方が天才になりやすい……という話を聞いたことはありますか?

これはなかなか難しい議論ですが、最近の研究ではそこまで気にする必要はない、という意見が優勢だそうです。

例えば、生まれる順番による性格の違いはごくわずかとのこと。

もしかしたら、年の近い兄弟だと、いつも負けてばかりの弟は成功体験が積みにくいというデメリットがあるかもしれませんが、その分、兄とは違う分野で戦おうと思い、色々な経験に積極的な「開放性」があがるかもしれません。

そのような感じで、出生順位によって若干の違いがあるものの、あくまで参考程度の違いとのこと。

プロフェッショナル?

天才のイメージには、「専門的なことはできるけど他は全くダメ」というタイプと、「本当に何でもこなせる」という2タイプがありますよね。

前者は科学者に、後者は芸術家に多いそうです。

芸術家のように特に創造性が必要な場合には、様々な経験が生きてきます。ですので、芸術に限らず、そして芸術の中でも他分野にわたる経験が、作品の良し悪しに関係してくるのです。

一方、創造性も必要ながら、こつこつと一つのことを突き詰めていく力の方が大事な科学者は、本当にその分野の事だけを考えている方が成果が伸びるそうです。

この2つは、「遺伝」の話と「第一子」のところで話した「誠実性」と「開放性」にも関係してきます。

開放性が高ければいろいろな経験を積み、結果的に芸術家として有利になります。第二子以降は若干開放性が有利なので、もしかしたら芸術家に向いているかもしれません。

誠実性が高ければ、こつこつと一つのことに集中することができ、そういったことから科学者としては多少向いているかもしれません。第一子は比較的誠実性が高い傾向にあるので、長男長女が研究者を目指すのは悪くないかもしれません。

……とはいっても、個人差が大きいのでなんとも言えませんが、「誠実性」と「開放性」という二つの指標が、成果をあげることに大きく寄与することは間違いありません。

完璧主義?

完璧主義と完璧であることが違うことが、大事です。

完璧主義とは、完璧を目指すこと……つまり完璧ではないのです。

天才は完璧かというと、全くそんなことはなく、多くの失敗を繰り返しています。実際、数々の偉人の業績をあげると、その経歴に比べて特に大きな業績は一つや二つであることがほとんどです。

つまり、ほとんどが一発屋ということです。

その大きな一発を生み出すために、数えきれないほどの失敗を重ね、試行錯誤しているのです。

そういう意味で、天才は完璧主義かもしれませんが、失敗は恐れません

成功を信じて、完璧を目指す……そのためには失敗をも糧にするという気持ちが大事なのでしょう。

ちなみに、完璧を目指すよりも、「より楽しく、クリエイティビティにやる」と考えた方が物事はうまくいくそうです。

ですので、「完璧」というゴールを目指すイメージよりは、より良いものを目指した結果、自然に完璧を目指しているような状態になっていた……というのが一番いいのかもしれません。

神童か?

天才は早くから天才なのか……というのもまた微妙な話。

たしかに、10歳より手前ですでに作曲を……というような話はまさに天才を連想させますが、世にいう天才が必ずしも早くからそうだったかというと、遅咲きの天才もたくさんいます。

ただ、やはり大多数の天才は、結局平均的な道を歩んでいるもの

神童や遅咲きはそれだけで目立ちますからね。

夭折する?

天才は早くして亡くなる……というのも、直接的な関係はなさそうです。

亡くなることである意味伝説となり、評価が上がる……ということはあるかもしれませんが、それ以上の有意差はなさそうとのこと。

それでもうまれる天才と一般人との寿命の差は、精神的に病み、自殺が増えるからという部分が大きいです。

しかし、「精神異常者」のところで述べたように、精神障害をもてば天才になれるのかといったらそういうわけでもなく、どちらかというとその逆です。

早くして亡くなれば天才になれる……というわけではないわけです。

孤独か?

孤独は創造力をあげてくれます。

例えば複数人で考えるよりも、一人で考えた方が創造性はあがります

しかし、だからといって常に孤独である必要はありません。

例えば、自分のアイディアを批評してくれる人がいた方が、一つのことに固執してアイディアが狭まることを防いでくれます

また、その創造性を活かしてくれる他人がいなければ、一人の力には限界があります。

いくら優れた芸術家でも、その良さを分かり、支援してくれる人がいなければ創作活動は難しくなるでしょう。

生み出すときは孤独に、そしてその結果は他人と分かつことが大切です。

天才から得られるもの

遺伝的に秀でている「天才」はたしかにいますが、それを活かすことができるかはまた別の話。

新しい経験を望む「開放性」は遺伝によるところが比較的大きいですが、成功に一番寄与すると言われる「誠実性」は自分で伸ばすことができます。

また、「メンタルの弱さ」は創造性を伸ばしてくれるものの、常に病んでいては、人生が楽しいものにはなりにくいです。メンタルコントロールが大事になります。

以上のような性格面はある程度変えられますし、変えられない部分だって、それをどう活かすかと考える方がはるかに大事です。

天才になれるかはわかりませんが、自分の中にある何か秀でたものを見つけて磨き、失敗を恐れずにこつこつと頑張っていくことが、天才に匹敵する成功をつかむための方法なのです。

参考文献:天才とは何か(ディーン・キース・サイモントン)

ps
天才には憧れますが、天才は天才で大変なことがあるわけで、結局は今ある手札で何ができるかと考えるのが、いろんな意味で大事だなと思う今日この頃。

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