職場でアドバイスを求められた……あなたがするべきことは?
「すみません、最近進めているこのプロジェクトについて、ご相談があるんですが……」
もし、あなたが自分の仕事でとても忙しいとき、こう言ってくる後輩や部下への対応はどうしますか?
忙しいけど聞いてあげなければ……という気持ちから、手を動かしながら話を聞いたり、もしくは自分の仕事はそっちのけで全力で聞いて、後で切羽詰まってしまう……というような経験はありませんか?
今回は、そんな「忙しいときにアドバイスを求められた」という場面で、相手の期待に答えつつ自分への負担を少なくするためのポイントを3つご紹介します。
1.本当に厳しければ「明確」な「理由と時間」を伝えて後でにしてもらう
2.5分でいいからとにかく聞く
3.相手が欲しい答えを「相手から」引き出すための2つの質問
断るのも大事
どうしても忙しくて今すぐには応えられない……というときには断ることも大事です。
「アドバイスを求められたときにどうするか」についての一番最初のポイントが「断ること」というのも変な話ですが、それくらい断ることは大事だということです。
人は一瞬他に注意が向くだけで、集中力が一気に落ち、また同じ水準までもっていくにそこそこの時間がかかります。
意図的な注意の分散はクリエイティビティを高めてくれたりしますが、「集中」という観点からすると注意をそらすようなものは極力避けなければいけないのです。
ですので、例えば部下からの質問などによって細かく時間が分断されてしまうと、作業効率がかなり落ちてしまうわけですね。
ただ、「今忙しいから」とそっけなく断ってしまっては、信頼関係の問題で大問題です。
ポイントは「明確な理由と時間」です。
「ごめん、午後3時までにこれを仕上げて会議に出なくちゃいけないから、多分4時くらいなら時間とれると思うんだけど……その時で大丈夫?」
と明確に理由と時間を述べれば、不快感はほとんどありません。むしろ、自分のためにちゃんと時間を割いてくれている、と信頼感が高まるかもしれません。
注意の分散は、本当に作業効率を落としてしまうので、自分のためにも、そしてベストな状態で応えるという意味で相手のためにも、断ることを恐れないようにしましょう。
5分でいいから全力で
忙しいときにやってしまいがちなのが、何か作業をしながら相手の話を聞くこと。
例えば、書類整理や、メールを見ながらなど、その中身はどんな些細なことも含みますが、「ながら作業」は基本的にデメリットしかありません。
ある実験で、次の2つのパターンで上司への相談をデモンストレーションしてもらいました。
1.時間は無制限だけど、上司は「ながら作業」で話を聞いている
2.最初に「時間がないから5分だけ」と言っておき、その間は全力で聞く
その結果、相談した側の評価は圧倒的に2番が高かったのです。
また、それだけでなく、どんな些細なことでも2つのことを同時にすると集中力が分散されますから、1番の方では作業も受け答えも中途半端になってしまいます。
ですので、話を聞くときはしっかり全力で聞きましょう。大事なことは時間ではなくその姿勢なのです。
相手から答えを引き出すための質問
先ほどとにかく全力で聞くことが大切ですと述べました。
しかし、5分では的確なアドバイスなどできないのでは? と思った方もいるかと思います。
そんなときに使える2つの質問がこちらです。
1.問題解決にむけてこれまでどんな手を打ってきたか
2.次のステップとして、これからどんな行動をとればいいと思うか
案外答えはその人の中にあることが多いです。ですので、変にアドバイスをするよりも、相手の考えを整理する手助けをするにとどめる方がいいのです。
それに、これだけでも十分に相手は「相談に乗ってもらえた」という感覚になることもわかっています。
相談にのることは必ずしも解決してほしいということではない、ということを覚えておきましょう。
シングルタスクが大事
以上のように短時間で解決できない場合や、緊急性を要する相談ももちろんあります。
例えば、仕事の引継ぎ中であるとか、全くその仕事を知らない人に一から教えてあげるような、ちゃんと説明をしなければならないようなアドバイスはきちんと時間を取ってあげなければならないでしょう。
しかし、どんなときでもとにかく一番やってはいけないのが、「ながら作業」です。
ながら作業をせずに、とにかく一つ一つに集中することが、結果的に全体の作業効率を高めてくれます。
忙しいのであればとにかくシングルタスク。これに限ります。
参考文献:SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる(デボラ・ザック)
ps
細かい分断がいかに害悪かを知っているので、私は質問はまとめて簡潔にを心がけています。