SS 84 「指輪を拾ったら」
公園に行って、芝生に寝転ぶ。
春の一時期、休みの日の楽しみ。何も持っていかないけれど、それがいい。
陽の光が暖かく、緩やかな風が心地よい。
横を向いたとき、ちょっと光るものが目に入った。
なんだろうと近づくと、指輪が落ちていた。もしかしたら。
映画や小説で、主人公が指輪を拾う話を何度か見た。それは万能の魔法の指輪だったり、体を支配される悪魔の指輪だったり。これも、そんな指輪なんじゃないか。鈍く光る金属の指輪に薄い青の宝石がはまっている。なんだか怪しい雰囲気を出している、よ