今日もまた、退院・タイイン・たいいん、そのお知らせを頂くと毎回思い出すこと
こんにちはこんにちは。
今日はタイトルに書かせて頂いたように
医療機関で担当させて頂いているお客さまや担当ナースさん病棟職員さんから
退院のお知らせを頂くと思い出す、ある患者さんのお話しでも。
入院し難病と闘う女性がいる。
治療法の確立していない病と闘う彼女にとって
病院での治療とは、治す事ではなく
その病の進行を止めたり抑えたりするもの。
彼女は治らないという現実を受け入れ
そして死を受け入れ
自宅で死を迎えたいと願った。
今まで何度も何度も
カット中にその願いを彼女の口から聞いた。
カーテンの色
壁にかけるポスター
家具の種類やレイアウト
さすがにペットを飼うのはムリかな?
書き出したらキリがない程に
でも、
どれもがこんな風に何てことはない些細な願い。
そんな願いをたくさん聞いた。
楽しそうに語ってくれた。
そんな彼女から
今日、病院でカット中
「月末に退院が決まったの。今までお世話になりました。○○市だけどカットにきてくれますか?(笑)」
と、呼吸器に繋がれて声が出なくなった口を動かしながら
筆談も交えて、いままで見たこともない笑顔で報告を受けた。
もうね…
それはそれは嬉しくって…
コッチまで泣いてしまいそうな位に嬉しくって…
やったね!夢が1つ叶ったね!
って大声で言いたかった。
でも、その気持ちをグッと堪えて
「○○市ならもちろん行けるよ」
とだけ伝えた。
退院おめでとう
も
やったね!夢が1つ叶ったね!
とも言わなかった。
だって…
万が一
退院が延期や中止になってしまったら…
彼女が闘う病は
いとも簡単に彼女の願った退院を奪ってしまうチカラを持っているから。
そんな時彼女はきっと、
せっかく一緒に喜んでくれたのにごめんね…
ぬか喜びさせちゃってごめんね…
って、自分を責めるだろうから。
だから
おめでとうは言わなかった。
言いたくても言えなかった。
だからどうかお願いです。
どうか
彼女が無事に退院できますように。
だからどうかお願いです。
万が一
退院が延期や中止になっても
どうか、どうか、彼女の心が折れませんように。
例え、
どのような現実が彼女の前に現れたとしても…
場所はどこになるかわからないけど…
またやってくる次の季節にはいつものように笑顔で
「今日はどんな髪型にしよ?」
と、彼女に言える強さが欲しいと心から思った今日この頃。
それが僕にできる唯一の事だから。
それしかできないのだから。
だから…
どうか、どうかお願いです。
病がこれ以上彼女から
笑顔を奪いませんように。