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【前編】発達障害児の親から見た、品川区「オーガニック給食」問題

コソリテスタッフのひはゆきです。
今回は急遽、品川区令和7年度予算案に盛り込まれた「オーガニック給食」の問題について、思うところを書いていきます(前編・中編後編の3つに分けています)。

※品川区の発表では「オーガニック」という言葉は使われていませんが、ここでは便宜上「オーガニック給食」という表現を使います。

この品川区のオーガニック給食なのですが、「安全・安心」「健康」が掲げられています。オーガニックを「安全・安心」なものとするということは、裏返せばオーガニックでない農薬・化学肥料を使用した農産物が安全でなく、身体に悪いという考え方にもつながります。

特に農薬は、発達障害の原因だとする言説が拡散されてきました(専門家の間では科学的根拠は認められていませんが、政治家でもそのような発言をする人がいる現状もあります)。

私には、発達障害(自閉スペクトラム症)のある子どもがいます。
今回は、その立場から、そのような言説が発達障害児本人や親を追い込んだり、差別を助長したりする懸念があること、それゆえに品川区のオーガニック給食事業に賛成できないことを述べていきたいと思います。

品川区「オーガニック給食」予算の発表に対する署名サイト立ち上げ

2月5日(水)に「令和7年度品川区当初予算案」が発表されました。
「令和7年度品川区当初予算案」プレス発表|品川区

この中に含まれていたのが「学校給食における有機農産物等活用推進事業」です(概要はこちらのP18をご覧ください)。
令和7年10月から、給食で使う全ての野菜について、有機農産物(正確には特別栽培も含む)を使うという内容で、そのための予算が2,827万円計上されていました。タウンミーティングで、子どもたちの声を聞いた結果でもあるそうです。

「ん?オーガニック給食の何が問題なの??」
そう思う人も多いかと思います。実はオーガニック給食、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」という施策の一環としても推奨されています。

ただ、前回の記事でも触れたのですが、その趣旨は環境保全など持続可能性を目指すもので、「オーガニックが身体に安全・安心だから」という理由ではありません。オーガニックが「農薬・化学肥料を使わない(減らしている)から、より安全」という科学的根拠はないのです。

しかし、品川区長は会見でも「より安全・安心な学校給食」「児童・生徒の健康の増進」を理由に挙げています。

※この点については、品川区と農林水産省の見解のずれも含め、Abemaテレビの「Abemaヒルズ」が詳しく取材して放映しています。
https://abema.app/vEbo

コソリテの拠点は、品川区にあります(代表は品川区民です)。
コソリテは科学的根拠を大事にし、子育てにもリテラシーをという趣旨で活動してきました。

・科学的根拠のない施策を、教育現場に持ち込んでよいのか。それは子どもたちの利益になるのか。
・その予算があれば、有機農法にこだわらず、具材や品数、量を充実させられるのではないか。有機農産物はコストが高いだけでなく、下処理や調理にも手間がかかる。
・そもそも、タウンミーティングで聞いたという子どもたちの声は「おいしい給食が食べたい」だったはず。オーガニック給食が適切な解決法なのか。

そう考えた我々は、Voiceで署名サイトを立ち上げました。
こちらです。

(中編)に続く