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「挑戦的聴講・見学ノススメ」

聴講生・研究生として
オペラ制作の現場を見学する・・・

それは
大きなチャンスであると同時に、
大きな試練でもある。

彼らはその現場において
直接、制作に関わる訳ではない。
ただ、聴講生として
見学するだけである。

稽古の後、
あるいは公演の後、
彼らは言う。
「とても勉強になりました!」

・・・どこが?
・・・どのように?
・・・何に対して?

主催者は、
指揮者は、演出家は、
稽古を行いながらも
(あるいは、稽古に立ち会いながらも)
聴講生・研究生の行動を見ている。

彼らが何を吸収しているか、
何を見落としているのか、
実は
全てチェックされている。

稽古現場の見学を
主催者が許可するということは、
主催者自身が聴講生を
注意深く観察したがっている
ということでもあるのだ。

※ ※ ※ ※ ※

ただ漫然と稽古現場を眺めて
「ああ面白いなあ」
「メンバーとして参加したいなあ」
と考えているだけでは、
及第点にはほど遠い。
それでは只の「お客様」である。

では、どうするのが良いのか?

それは
「自分の、ここでの役を決めること」。

自分が将来
この演目に出演するならば、
どの役を演じることになるのか。

それは将来
獲得すべきレパートリーであり
今学ぶべきレパートリー。

ならば
本役になったつもりで
自分の役を定め
譜読み、暗譜は勿論のこと
細かな立ちの段取りから
キャラクター設定、
内面表現に至るまで
実際のキャストと同じく
覚え込んでいく。

稽古の現場では
あくまで見学者であるから
声を出して歌う事も
立って演技することもできない。

しかし、
いつでも本役の代わりに
動けるだけの準備をしておき、
稽古そのものをトレースする。

これを本気で行うだけで
現場の見学で得られるものが
桁違いに変わってくる。

ただ漫然と稽古を見るのではなく
より能動的に、より挑戦的に、
稽古の現場から
吸収できるものは全て吸収し
奪えるものは全て奪い
己の糧としていくのだ。

きわめて挑戦的な
「聴講・見学」である。


・・・その気になれば
あくびをする暇もなければ
内職をする暇もなく、
隣の友達とお喋りする暇なんて
ないはずなのだけどね・・・

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