【イベントレポート】Religion Now! #2 縁を結び、縁を繋ぎ、縁を叫ぶ
2019年3月30日に鎌倉にて【Religion Now!】というイベントを開催したのでレポートします!
開催趣旨
この企画は、古来から日本に現存する「お寺」と「神社」での体験型コンテンツを通じ、楽しみながら改めて仏教と神道といった宗教の「違い」を理解する。そんな狙いのイベントです。
また、4月1日から新学期が始まるということで、3月30日に座禅を行いすべての雑念を払い、まっさらな気持ちでご祈祷を受けて新たなスタートを切ろうという狙いもあります。
具体的に何するの?
①日本で有名な「縁切寺」と呼ばれている東慶寺にて、「座禅」を組むことで心機一転(タナオロシ)をしつつ、仏教に対する理解を深めます。
②その後、まっさらな気持ちで鶴岡八幡宮にご参拝の儀礼や、「良縁祈願」などといった「ご祈祷」を体験しながら、神道とは何かを学びます。
③最後に、初春の静かな鎌倉、由比ヶ浜の海にて振り返りを行う。ちなみに海に向かって叫んだりするのもOKです。
お寺と神社の違いってなんだっけ?など、海外の友人と話す際の話題にしたいという方々向けに、一緒に座禅とご祈祷を体験しながら学びましょうといったイベントです。
当日は18名の参加者が集まり、快晴の中イベントがスタートしました。
いざ東慶寺へ~座禅を通じた仏教理解~
まずは「縁切り寺」として有名な東慶寺にて、お坊さんから座禅の作法を学び、実際に座禅体験をしました。
講話の中では、座布団の向きを合わせること(縫い目がないほうを正面に向ける)、場の中央を向いて座ることなどといった作法に関する説明を受けました。
ちなみに今回の座禅は臨済宗の作法に基づいたもので、曹洞宗の作法とは若干異なります。例えば曹洞宗は壁に向かって座禅を組みますが、臨済宗は場の中央を向いて座禅を組みます。また、いわゆる座禅と聞いて思いつく肩をたたく木製の棒、警策(けいさく・きょうさく)についても、曹洞宗は(きょうさく)と読むにに対し、臨済宗では(けいさく)と読むことや、たたく回数に違い(曹洞宗は一回に対し、臨済宗は左右の方に2回ずつ、計4回..)などといった違いを学びました。
また、座禅をする際にとるべき姿勢、意識として、「調身」「調息」「調心」といった講話を聞きました。座禅は心が留守にならないよう、身体と心がぴったり一つになることが大切で、そのために調えたい3つのもの、それが姿勢、呼吸、心です。「調える」とは「でこぼこを鳴らして全体に行き渡らせ、バランスをとる」という意味ですが、ここでは姿勢を正し(調身)、当たり前のように行っている呼吸を意識することで(調息)、自ずから心も調う、といった教えです。
「調身」では、結跏趺坐(けっかふざ)と半跏趺坐(はんかふざ)といった座り方を習い、参加者それぞれが各々座りやすい恰好を選び、体験しました。この結跏趺坐、右足と左足をそれぞれ逆の腿(もも)に乗せるといった格好なのですが、めちゃくちゃしんどく..お坊さんでも、無理なく結跏趺坐をするために半年かかったとのこと。今回の体験では強制はなく、無理のない恰好で体験ができました。また、組んだ足の上に両手のひらを重ね、親指を合わせ手を組み(法界定印)、重心を定め腰を伸ばし上半身をまっすぐにします。そのまま、半分目を開けたまま1・5メートル先を見ながら座禅をするのが作法とのこと。私のイメージでは目をつむるのが正解かと思いましたが、寝てしまわぬように開けているのが政界とのこと。
「調息」は読んで字のごとく息を整えることです。重要のは吸って吐いて、という順番ではなく、息を吐ききって吸うことだそうです。これは人間が生まれた瞬間にまず初めに産声を上げる(息を吐く)ことから、吐くのが先とのこと。呼吸を整えながらおへその下の丹田を意識し、ゆっくりと呼吸を整えながら座禅に臨みました。
「調心」は、気持ちがいい座禅ができるように心を調えることを指します。いきなり無我の境地は求められないので、呼吸(吐いて、吸う)を意識しながら心の中で1から10を数え、10までいったらまた1から数えなおすことを座禅中に繰り返すこと(これを数息観と呼ぶ)を通じ、心を調えます。
この調身、調息、調心が乱れたと感じた時は、警策をもって巡回するお坊さんに一礼をし、肩をたたいてもらい、座を組みなおすなどして再度心を整えます。ちなみに警策は自己申告制です。私はビビッて一度も申告が出来なかったのですが(笑)、たたかれた参加者曰く音ほど痛くないとのこと。
こうして、20分間の座禅を終えた後、お坊さんから東慶寺が「縁切寺」と呼ばれるようになった由縁について説明を受けました。
その由縁は江戸時代から始まりました。当時の日本では女性から離婚を申請することができず、男性の許しがないとできなかったため、思い悩んだ末に身を投げる女性も多かったとのこと。
そのような時に女性の受け皿となる駆け込み寺として、東慶寺が積極的に女性を受け入れたことが、縁切寺の由縁とのことでした。お寺を通じ女性の身元を調べ、男性にコンタクトを取り離婚の調停をおこなったりといったことをしていたそうです。その際に出家をすることはマストではなく、修行を行い心を調えたあとに再び世に出ることができたそうです。
この時の様子を映画化した作品が大泉洋の主演映画『駆込み女と駆出し男』です。東慶寺が舞台となっているので、ぜひご覧ください。
いざ、鶴岡八幡宮へ~ご祈祷体験を通じた神道理解~
東慶寺での座禅体験を受けたのちに、ご祈祷を受けるために鶴岡八幡宮に向かいます。
鶴岡八幡宮では神社担当(神主の資格持ち)トミーくんから説明をおこないました。
参拝前に清める場所として手水舎があります。元来、神社にお参りする前は、山や川の水で身を清めてから参拝していました。しかし、綺麗な水の確保が困難になり、簡易手洗い場を設けたという歴史があります。
本殿
本殿は神様が祀られている(住んでいる)施設です。ここで「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」の作法行います。マナーとして神社に参拝するときには、荷物を置いてください。鈴があれば力強く鳴らしましょう。神様に自分が来たことを知らせます。ちなみに、この参拝の仕方は一般的なもので、神社によっては作法が異なる場合があります(出雲大社では二礼四拍手一礼です。)
以下は前回のイベント【Eat, Pray,Think】の記事から抜粋ですが、こんなイメージです。
祈祷
ご祈祷は本殿の中で神職が参拝者の方々に代わって日々の感謝やお願いなどを祝詞に込めて奏上し、ご加護を祈る儀式です。手順としては、修祓(しゅばつ)というお祓いの儀式を行ない、祝詞という祈願が書かれた紙を神主さんが読み上げ、玉串(たまぐし)をお供えしてお参りし、最後に神饌(しんせん)という神様にお供えしている食事(今回はお酒)をいただくという流れです。
はじめの修祓では、儀式に参加する人に付いているケガレを取り除く儀式となっていまして、きれいな状態で神様の前で奉仕するため始めるときには必ず最初に行われます。
次に、神主さんが、祈願を神社の神様へ伝えます。
その後、玉串を神様に捧げて拝礼しました。玉串とは榊(さかき)の枝に白い垂(しで)をつけて神前にお供えする神具です。二礼二拍手一礼の作法で参加者全員で神様に祈りをささげました。
最後に神饌をいただきました。神饌とは、神様に献上するお食事のことです。神様にお供えした食事のお下がりを参加者といただく行為、「神人共食」が日本の祭りの特徴であるとも言われています。
今回は参加者が新学期・新年度に新たな良縁に恵まれるように「良縁成就」を願いしました。
ちなみに、ご祈祷で依頼できる祈願はかなり多く、家内安全/身体健全/交通安全/厄難消除/神恩感謝/合格祈願/安産祈願/商売繁昌/社運隆昌/安全祈願/学業成就/良縁成就/病気平癒/五穀豊穣/大漁満足/心願成就などがあります。それぞれの祈願の意味については、また機会があればレポートしたいと思います。
ご祈祷を受けた後は、みんなで「良縁成就」の願いが込められたお守りを持ち、記念撮影。
その後、鶴岡八幡宮内にある旗上弁財天に向かいました。ここには七福神の中の弁財天(べんざいてん)が祀られています。七福神は、大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、恵比寿天(えびすてん)、寿老人(じゅろうじん)、福禄寿(ふくろくじゅ)、弁財天(べんざいてん)、布袋尊(ほていそん)の七つの神様の総称で 室町時代末期くらいから続いている民間信仰です。ここにある、恋愛成就に霊験があるという政子岩を見学しました。
政子岩については素晴らしい説明をされている記事がありましたので、こちらをご参照ください。
いざ由比ガ浜へ~振り返りセッション~
イベントの終盤、海で叫ぶために由比ガ浜に移動しました。何を言っているか意味が分からないかと思いますが、大事なのでもう一度、海で叫ぶために由比ガ浜に移動しました。
ちなみに由比ヶ浜という地は、実はもともと八幡宮の神様があった場所。それを鶴岡に移したのが、今の鶴岡八幡宮という場所です。
がしかし、本イベントの最大のメインイベントであった海で叫ぶ!ですが、日照時間が意外と短く、由比ガ浜の海岸に赴いたもののすでに真っ暗..笑
ただ夏のシーズンではない春の海は人が少なく、静かな中波の音を聞きながら本イベントのリフレクションをおこないました。また、気分が乗ったら..という約束のもと、参加者各々、自由に海に向かって新年度の抱負を叫びました。内容は、プライバシーの関係上割愛します。
以下、こうなるはずであったというイメージ写真を載せておきます。その後は懇親会を行い、参加者同士の交流を深めました。
終わりに
前回の「Eat,Pray,Think」に続き、文化理解イベントを実施しました。
実体験レベルですが、海外の友人から日本の宗教のことを聞かれた時に、なかなかうまく答えられないことって結構あって、悔しく思いつつも改めて学ぶ体力ってなかなか湧かなく(笑)。なんか楽しく学ぶ機会とかあればいいのに、とか思っていたのですが、こうして体験を通じ学ぶことができました。
いざ尋ねられた際に正しく日本文化を伝えられるように、こうしたイベントを通じ実体験をもとに日本文化に関する説明ができれば、より深く伝えられるのではないかと考えます。また聞かれずとも話題の一つとして、こうした知識を持っておけば話す話題も広がるのではないかと思います。文化交流の「交」は交換の「交」であるとおり、相手の文化背景や意見をただ受けるだけでなく、こちらからも差し出すこと、つまり交換していくことで、「ここは異なる」、「ここは意外と似ている!」などといった形で比較が生まれ、理解が深まるのではないかと考えます。今後とも、こうした「考える機会」が生まれるイベントを実施していければと思います!
引き続きよろしくお願いいたします!