読書感想文「満天のゴール」
満天のゴール 藤岡陽子
☆☆☆☆☆
夫に不倫された奈緒が息子を連れて田舎に帰り看護師として働く話。
奈緒の周りの人とのつながりや、死への向き合い方に感動した。
奈緒は夫の元を離れて、丹後半島にある実家に帰るが、その地でいろいろな人とつながる。中でも、病院の三上先生、トクさん、早川さんは奈緒の心の支えとなり、家族のように付き合う。故郷の人々と出会う中で、息子の涼介がいい働きをしていた。人の懐に入り込むのが得意だがどこか大人びている涼介のおかげで、奈緒は周りの人と深く付き合うことができたと感じた。また、涼介がいてくれることで夫とのいざこざも次第に気持ちの中で薄くなり、前を向いて行けたのだと思う。
この本のタイトル「満天のゴール」のゴールは人生のゴール=死を意味する。死ぬということは怖くて暗い印象だが、周りの人に恵まれ人生を全うして死ぬことは暗いことではないと感じた。
「人は人生に1回しか死ねませんからね」という三上先生の言葉が印象に残った。人生一度きりという言葉はよく聞くが、死が一度しかないと考えたことはなかった。自分も死ぬときに最高の人生だったと思えるようになっていたらと思う。
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