窓際のおっさん32 私が事務処理を苦手とする理由(4/6) 形骸化した処理がいつまでも
前回は、事務処理は答えが無い故に権力者が好き勝手になり、正しさや合理性よりも、上の意向でごり押しされる現状を述べた。
今回は、形骸化した事務がいつまでも適用される問題を、おっさんの体験と共に述べたい。
<情報セキュリティは日進月歩、一方の人の事務は進歩なし>
おっさんの体験を話す。
市役所の水道局で働いていた時のこと。水道マッピングシステムという図面データベースの管理をしていたことがあり、市の関係課受託業者に、水道図面の提供を行っていた。
その図面の受け渡しの方法として、次の手順が定められていた。
① 図面の請求申請を行う
② 担当者が申請書を受領処理し、必要な図面を出力する
③ 図面をCDに記録し、盤面をきれいに焼いて押印する
④ 申請者が来庁し、直接CDを手渡しする
④ 引き渡し時に帳簿に記録をし、課長の確認印を貰う
⑤ CDの返却を要求する
⑥ 戻ってきたCDを確認し、中身が変わっていないかチェックする(更新日の確認)
⑦ 帳簿に返却確認の記録をし、課長の確認印を貰う
⑧ CDを保管する
以上を、サーバーを共有している同じ市役所内の職員に対しても実施していた。
尚、マニュアルは市民に提供するという目的であったが、いつの間にか他の部署の職員にも適用するようにと拡大解釈が進んでいた。
これは平成10年、まだ庁内サーバーが構成されていない時のルールで、令和に入ってもまだ同じルールで運用されていた。今時、立派に加工した重要情報と分かりやすいCDを、手渡しで渡す。しかも仲間内で。
開いた口が塞がらないとはこのことだ。
繰り返すが、問題はCDというメディアに一回一回焼いて提供するという部分である。対業者さんならばサーバを共有できないためやむを得ない措置ではあるが、
サーバーを共有している他の部署に対しても、わずか100KBの図面のやり取りのためにわざわざCDを焼いて大げさな事務処理を行い、しかも受領・返却まで行わせる意味はない。
移動に往復で2時間弱かかる部署もあり、非常に効率が悪く、その場で紙ベースでデータコピーしてCDを置いて帰ってしまう職員や、紛失未遂もあった。
一方で大きすぎるデータについては、受託業者に対してサーバ経由で送信するというチグハグな対応を取っていた。
あまりにもグダグダしていて、ミスや抜け漏れも出るため、おっさんは提案した
おっさんが
「これなら、他の部署にもサーバでやり取りで良いですよね? CD勿体ないし、無くされたら危ないし、第一手間暇かかって大変じゃないですか。」
先輩
「無くしたら相手の責任だから。それにこっちは情報を提供してやってる立場なんだ、それぐらい受け取りに来て当然だろう。」
おっさん
「おなじ役所の仲間じゃないですか、そういう言い方に苦情も来ているんですよ? 水道は偉そうだって。」
先輩「だから~CDを返してもらった方が安心でしょ?」
おっさん
「論点が違いますって。。。
CDの話するのであれば、メディアに焼くと無くされたり盗まれたりして危ないんで安心じゃないんですってば。
それにもっと重要で重たいデータを、サーバーで、しかも民間業者さんとの間で毎年やりとりしている前例があるでしょう? これはルール上OKなんですかね?
今更、なんで手間暇もかかってリスクも大きいCDに拘るんです?」
先輩「戻ってきたCDをちゃんとチェックすれば良いじゃない。」
おっさん
「CD自体がダメなんで、チェックとかそう言うことじゃないんですよ。。。」
結局一切話が通じなかった。対外的には無駄作業ばかり、昔からの仲良し業者にはいい顔で、庁内の役所の仲間にはふんぞり返る。
偉ぶりたいだけのバカならまだ良いが、情報リテラシーも低すぎる。おっさんだけでなく、他の部署の人間もそう思って見下されまくっているのだが。。。
馬鹿に付ける薬はないのか、令和になってそのルールは改めてくれない。
次回に続く