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読書感想文【おもかげ】浅田次郎

絵画でも音楽でも映画でも
ありとあらゆる芸術の分野において
少しのユーモアを感じられるものが
私は好きなのです
どんなに悲しい音楽も
どんなに暗い絵画でも
どこかに光明を感じていたい
そのエッセンスって非常に大事な気がするのです
そういう意味で
文学にも色んな種類の感動がある中で
少しのユーモアを織り交ぜられる作家は
本当に天才だと私は思うのです
今日は日本代表天才の作品

浅田次郎 【おもかげ】

<あらすじ>

エリート会社員として定年まで勤め上げた竹脇は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。家族や友が次々に見舞いに訪れる中、竹脇の心は外へとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして…。涙なくして読めない至高の最終章。

<感想>

私は何の意識もなしに
この作品を
昨日書いた感想文
久坂部羊の【祝葬】を読んだ次に手に取った

たまたまだがどちらも「死」にまつわる物語だった

久坂部先生が現役の医者だということもあり
リアルな描写で社会問題を提起するのに対し
浅田先生は忠実なリアリティーなど必要なく
創造の世界観だけで読ませる
これぞ小説家だと思った

偶然に比較できた読書体験だった
読書にはこの不思議な時節の連続性もあるのだ
どちらも最高に素晴らしいが
最初に述べたように
私の好きなポイントが「少しのユーモア」
なので
(それはシニカルなものでも良い)
同じテーマの作品を読んだ時に
より文学的でユーモラスな作品に惹かれる
好みだけども、自分は、って話

「病気」や「死」をテーマにしているにも関わらず
わたあめのように軽く
ワクワクしながら読み進められる
独特な浅田スタイルとポップな流れの中
ラストの伏線の回収の畳み掛けはもはや異常
ずるい!!
ずるすぎる!!
緩急使いすぎ!!
ヤクルトの石川か!
って誰にも伝わらない比喩で
突っ込んでみるテスト

そしてこれぞ読み手を選ばない作品
こういう作品が好きな人〜だとか
読書が苦手な人〜だとか
ビジネス書しか読まない人〜だとか
40歳以上〜とか
そういうありとあらゆる制限のない
(そんな制限なんて別にもともとないけれど)
よく「こんな人におすすめ!」的なやーつ
あれ今回なし!

全ての人におすすめ





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