史料の中のアート① 戦前の海外絵葉書
こんにちは。なんじゃもんじゃです。投稿2回目ですが、早々に番外編を始めることにしました。
大学史関係を中心に史料を集めている私ですが、募集中のお題にアートにまつわるものがあることを発見。手持ちの中から応募できるものがあるのでは? と思い、夜中にプリンターを起動していくつかスキャンして取り込みました。
今回ご紹介するのは、去年の古本市で偶然見つけて買った、片岡直温とその家族宛の海外からの絵葉書です。戦前大蔵相を務めた際の『東京渡辺銀行が破綻を致しました』の失言で昭和金融恐慌のきっかけを作ったことで高校日本史にも名前が登場する片岡直温ですが、日本生命の第2代社長を務めるなど実業家としての顔も持ち(むしろこちらの方が本業っぽいところも)、財界一家としての人脈がうかがえる史料群です。
とは言え、今回は#オンライン展覧会ですので、文書の内容よりもその絵葉書の題材に注目していきたいと思います。説明もできるだけ少なく、簡潔にまとめました。歴史史料的な話ができそうなものについては、後日改めてということで。
それでは見ていきましょう。
1926年製絵葉書 ブカレスト証券取引所 (高柳松一郎より)
絵葉書 ホッベマ作『ミッデルハルニスの並木道』(宛名無し 消印1929年)
絵葉書 キュー王立植物園のベゴニア (”春景”より 消印1927年)
絵葉書 フンボルト大学ベルリン (中村登より 消印1933年)
絵葉書 ベルリン・ドイツ国会議事堂とビスマルク記念碑 (片岡安より 消印1932年(推定))
絵葉書 ローレライからの眺望 (銭高輝之より 消印1936年)
絵葉書 ジュネーヴ・国際労働機関 (銭高善子より 1936年)
絵葉書 モスクワ・ルミャンツェフ博物館 (細野辰雄より 1912年?)
絵葉書 ブダペスト・ドナウ川とフェレンツ=ヨージェフ橋(現・自由橋) (細野辰雄より 1912年?)
絵葉書 ベルリン・オリンピアシュタディオン (藤山快隆より 1936年)
絵葉書 ワイマール・ドイツ国立劇場 (楠本長三郎より 1930年)
どれも綺麗ですね。Wikipediaに記事のあるものはリンクで貼り付けましたが、それ以外のものも含めて現在まで残っている有名な文物が多いようです。明治時代以降日本では絵葉書ブームが起こっていたことや、この時代に海外に行けるのは限られた人たちだけだったこともあり、旅先からお土産としてこのような絵葉書を送る習慣が定着していたようです。
https://note.com/konokinanjamonja/n/n3767c0943493
ここでもちらっと触れましたが、絵葉書類を収集するコレクター(デルティオロジスト)は普通その絵葉書のイラストや写真の美しさを評価している人たちですから、私のようにそれらを『歴史史料』と見なし、ひたすら使用済みの絵葉書を漁って宛名をググるような人間は少数派かつ邪道もいいところのようです。
今回、改めて王道(?)的にロケーションを調べてみましたが、普段身近ではない海外の風景に触れられる絵葉書の魅力を改めて実感しました。皆さんにも異国情緒を味わっていただけたら幸いです。
それでは、次回の記事もよろしくお願いします!
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