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「企画づくり」の方へ ぜひおすすめ 「アート」が「論理思考」を育む『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周)

この本を読んだきっかけは、昨年6月に参加した宣伝会議主催の編集ライター講座だった。光文社取締役の大給近憲(おぎゅうちかのり)氏が、講義の中で紹介していた。

会社で「企画」を担当している方に、特におすすめの本だ。

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定量データが「共感」を呼ぶわけではない

データを活用して、消費者のニーズをリサーチしていく結果、たいていの商品の特性が同じようなものになってきた。これを、

「正解のコモディティ化」、「差別化の消失」

と本書では紹介されている。「コモディティ化」とは、類似の商品の機能・品質に差がなくなり、どれを買っても同じという状態になること。汎用品化のこと。

多くの人が、情報を分析的・論理的に「正解」を出しても、それがみんな同じようなものになってしまい、差別化できなくなってくる。

例えば、「時短・簡単」、「ヘルシー・低カロリー」や最近では「タピオカ」など、どこを見ても同じような商品ばかりで、「これ!」という商品を選びにくくなってきている。


差別化するには、どうすればいいか

本書では、「全てのビジネスはファッションビジネス化する」とある。

つまり、最初は「機能」が商品を選択する際の重要な基準になっていたが、機能での差異がそれほどなくなると、今度は「デザインやブランド」といった感性に訴える要素が、選択の大きな基準になってくるという。
(本書p100)


そこで、必要となってくるのが「美意識」だ。


ノーベル賞受賞者は、「芸術的趣味を持っている確率が高い」

ミシガン州立大学の研究チームは、ノーベル賞受賞者、ロイヤルアカデミーの科学者、ナショナルソサエティの科学者、一般科学者、一般人の五つのグループに対して、「絵画や楽器演奏等の芸術的趣味の有無」について調査したところ、ノーベル賞受賞者のグループは、他のグループと比較した場合、際立って「芸術的趣味を持っている確率が高い」ことが明らかになりました。(本書p213)

具体的には、ノーベル賞受賞者は、一般人の2.8倍も芸術的趣味を持っている確率が高かった。


アートを見ることで観察力が向上する

エール大学の研究グループが、医大生にアートを用いた視覚トレーニングをおこなったところ、皮膚科の疾病に関する診断能力が56%も向上したことが報告されている。


医師が人工知能に勝るもの

いずれ医師の仕事は人工知能に取って変わられるようになる、という声もあるが、医師が人工知能に勝るものは「観察眼」である。

例えば、ちょっとした言葉から出身地を想像し、出身地に特有の食生活習慣と病気との因果関係について仮説を持つ。あるいは病室のベッドの横においてある本や雑誌から、趣味や生きがいを想像し、リハビリのプログラムを考察する。あるいは病室に飾ってある花のしおれ具合や交換の頻度から、家族との関係際についての示唆を得、生活習慣の改善にどれくらい協力してもらえそうかの仮説を持つ。(本書p216)

このようなことは、人間の医師でこそできるものだ。


「生産性」、「効率性」だけを重視するのではなく、「美意識」という判断を活用していく

ふだん仕事をする毎日で、「アート」に触れる機会は少ない。
「昔は弾いていたピアノを久しぶりに弾いてみようかな」「あのアーティストの他の曲も聴いてみようかな」「美術館へ行ってみようかな」など、

意識的にアートに触れる機会を増やしていきたい。










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