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短歌「そうぜん」木花薫2022.11.4.

控えの間池大雅は本物か法会の愴然掛絵で騒然

ひかえのま いけのたいがは ほんものか ほうえのそうぜん かけえでそうぜん

 ここ数年実母を含めて親類が5人も逝去しました。法事に忙しいコノハナでございます。

 先日もお世話になったおじさんの1周忌へ行ってきました。もう母もいませんし他にも亡くなっていてしかもコロナということもあり少ない人数に寂しさは一入ひとしおでした。しかし控えの間の掛け軸を「これは誰のですか?」とおじさんが質問したことで騒然となったのです。なんと池大雅いけのたいがだと言うではありませんか。池大雅と言えばその絵は国宝になっています。「え?!」とコノハナは掛け軸の真ん前へ飛び込んでじっくり眺め「これ本物ですか?!」と信じられませんでした。

 それを掛けた方は池大雅を知りませんでした。「そんなに有名なの?」とキョトンとしているのです。「ゆうめい!ゆうめい!!」と騒ぐコノハナ。そして質問したおじさんともうお一方ひとかた近くにいらっしゃったおじさんも「偽物か?!」と大声で言い始めたんです。

 掛け軸が入れてあった箱には「池大雅 菊」と鮮明に書いてありました。と言うのも掛けた方のお父様が書いた字だったのです。最近書いたということです。そして箱の中にはネットの池大雅についてのページを印刷したものが入っていました。すべて現代人が用意したものです。池大雅は300年前の方ですからそうやって伝わっていくものなのかもしれません。お寺には古い絵が残っているものですし、しかも江戸時代の絵師と言えば絵を描きながら放浪して全国に絵を残していることはよくあります。

 墨で書かれた菊の花は勢いのある花弁が今まさに生き生きと咲いているように開いていました。(これが江戸時代に描かれた絵なの?)シミもない掛け軸に描かれた菊は黒々としているのです。押された印も赤々としていて時間の経過を感じさせませんでした。上質の和紙で保存状態がよいと何百年経っても褪色しないのでしょうか。結局これが「池大雅」なのかどうかは誰にも解読できずに終わりました。

 ところで「偽物か?!」と叫んだおじさんは実は93歳なんです。コノハナと血縁関係のないおじさんですが法事でお見かけするたびにそのお元気さに驚嘆しています。だって背筋がまっすぐですたすた歩くんです。ぺたんと正座するし動き回るし声は大きいし。この掛け軸の騒動の時に言葉を交わしましたがふつうに会話もされるんです。ぽんぽんと。池大雅の説明書きも読んでました。生き仏みたい。

 


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木花薫(く-16 文フリ東京)
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