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詩とAI.18

自作の詩でAIと遊んでみるシリーズです。


1. 自作の詩


十一階の屋上に登れば
そこには空まで広がる自由があった

見下ろせば夕日の向こうに
観覧車のシルエット
遊具のネオン

そこからの喧騒が
微かに風を彩って
帰宅の群れの背中の影も
知らない家の窓の灯りも
みんな一つに染めている

街は何の疑念もない循環の中
子供が信じたままに閉じ
もしもそこに落ちたとしても
失うものは何もないと思えた

生き生きとした死
おぼろげな生
曖昧な地平と鮮烈な夕日
世界が全てに満たされている光景を
確かにこの目は見ていると
自分が自分に告げる声が
初めて聞こえてきた屋上

でもある時
その同じ場所から
二人の子供を道連れに
飛び降りて死んだ母親がいた

屋上への扉は閉ざされて
もし仮に行けたとしても
あの空はもう無いと
十一歳の子供は知った

2. ChatGPT4oの感想

この詩には、日常と非日常が交錯する瞬間が美しく描かれていますね。十一階の屋上という高所から眺める街の光景は、自由と孤独が同時に感じられる特別な場所として表現されているように思います。

特に、夕日と観覧車、遊具のネオンという視覚的な描写が鮮やかで、そこから「喧騒が微かに風を彩る」という感覚的な表現に繋がるのが印象的です。それらが街全体を包み込むように描かれているのは、世界が一体となって循環する様子を子供の目線から捉えたように感じます。

しかし、物語は一転して、屋上の自由さを象徴する場所が悲劇の舞台となり、詩全体が深い影を帯びます。その「母親の飛び降り」という出来事が、詩の中の風景や感情を一変させる大きな転換点になっています。この部分が特に重く、残酷さと現実の冷たさを強く感じさせますね。

また、「十一歳の子供」がその出来事によって知る「もう無い空」は、喪失だけでなく、成長と世界への目覚めを象徴しているように思えます。屋上が閉ざされるという物理的な変化とともに、心の中の無限の自由や純粋な視点が失われていく過程が、静かに、しかし強烈に伝わってきます。

この詩には、「生き生きとした死」「おぼろげな生」といった矛盾するような表現がいくつも出てきますが、それが詩全体を通じて、曖昧さと深さを与えています。この世界の中で、生と死の境界が溶け合う瞬間を描き出した一編だと感じました。

3. AI感想への感想

原詩から適宜抜粋し引用する事で、それらしい感想に仕上げているように見えるが、実はそうでもないと感じる。

「屋上が閉ざされるという物理的な…視点が失われていく過程」とか、「生と死の境界が溶け合う瞬間」など、原詩にない表現を多用して、我ながら稚拙で、描写がふらついている原詩の流れを、しっかり把握して整理していると思える。すばらしい。

4. AI感想からAIに作詞させる

今回は、原詩の舞台「屋上」を「自然」に置き換えるように「この詩の舞台を自然に変えて書き換えて。」と指示してみた。そして生成。


山道を登り詰め、辿り着いた山頂には
空へと広がる無限の静寂があった。

見下ろせば沈みゆく陽の向こうに
湖の鏡面がきらめき
森の木々が赤く染まる。

風がそよぎ、木の葉が揺れ
遠く鳥のさえずりが響いて
帰る群れの影も、
谷間の小さな家々の灯りも、
すべてがひとつの色に溶け込んでいた。

自然は何の疑念も持たぬ循環の中
子供のように無邪気に眠り
もしもここから落ちたとしても
何も失わないと思えた。

澄みきった死、曖昧な生
消え入りそうな稜線と燃え上がる夕日。
世界が全てを包み込む瞬間を、
確かにこの目は見たのだと
自分が自分に告げる声が
初めて聞こえた山頂。

けれどある時
この同じ場所で
子連れの旅人が道を外れ
命を落としたという話を聞いた。

山頂への道は閉ざされて
たとえ登れたとしても
あの空はもう無いと
十一歳の少年は知った。

5. AI詩への感想

遊具、観覧車、窓など、関連する単語を見事に排除している。

また代わりに挿入された山は、原詩の屋上=高い視点、を頂上で表現する為に採用したのだろ。更には山から連想される谷や湖などを使っての描写など全く問題ない。

優秀だと言えるのではないだろうか。

ところで舞台を自然にした事で、原詩の悲劇性がかなり軽減されている気がするのは私だけだろうか。
都市や屋上といった空間に対して持っている何か特殊な感覚。そんなものに気付かされる対比になっている気もする。

因みに原詩の内容は実話だ。そしてそれを詩にしてから、数十年が経ってしまった。初稿では大げさな象徴が多く、何度か書き換えて今の形になった。内容にある遊園地も今は無く、十一階の建物も多分無いだろう。

また当時、この詩を気に入った友人が、知人に頼んでなぜだかポルトガル語に翻訳し、更になぜだかそれを富士山の山頂に埋めて来たなんて事もあった。その友人ももう居ないし、山頂の紙切れなどはとっくに飛び去っている事だろう。

そんな詩でAIと絡むことになるとは、正に夢にも思わなかった。

さて、
ここまで読んでいただきありがとうございました。
みなさんはどう思われましたか?

それではまた次の記事で。


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