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絶句三首と桔梗

こんにちは、康寧堂です。早いもので8月も半ばを過ぎ、
お盆も終わりました。皆さん思いおもいの夏を過ごされたかと思います。
さて、康寧堂はご高覧たまわりまして、先日1万2000全体ビューを
更新いたしました。御礼申し上げます。と、堅苦しい口上はこのへんにして、
いつもの自詠漢詩の発表にうつっていくよー!!(←人格変わり過ぎ)

五言絶句三首、そのうち二首は出先から帰宅途中に電車の中で暇つぶしに
つくったものです。「車中戯作(車中に戯れに作す)」と題してみました。

まずはいつもの自詠自書作品から↓


「車中戯作其一」

雲裡斜陽赤、車中私語微。涼風人数寝、遅々出銀扉。

(書き下し文)雲裡(うんり)、斜陽(しゃよう)赤(あか)く、車中(しゃちゅう)、私語(しご)微(わず)かなり。涼風(りょうふう)人(ひと)数々(しばしば)寝(い)ね、遅々(ちち)として銀扉(ぎんぴ)を出(い)ず。

大意:電車のなかでぼーっとしていたら、白い雲のあいだから西日がさしこんできた。電車の中なので、人もあまり喋っていない。冷房の風で寝ている人も多く、
扉を往来するひとも緩慢な動きだ。押韻は上平声5微で、微(ビ)・扉(ヒ)

余談:最初は「銀扉」を「鉄扉」にしようと思っていたのですが、
平仄が合わないので「銀扉」にして対応。いささか装飾的、詩語的になりました。



「車中戯作其二」

憑椅成一首、已過兩三邨。人睡無有語、昊天還不昏。

椅(き)に憑(よ)りて一首(いっしゅ)を成さば、已(すで)に兩三(りょうさん)の邨(むら)を過(す)ぐ。人(ひと)は睡(ねむ)りて語(かた)ること有(あ)る無(な)く、昊天(こうてん)還(な)お昏(くら)からず。

大意:電車のシートにもたれかかって、一ふしの詩を作っていると、すでにいくつかの集落を過ぎたようである。ひとはねむって口をきかないが、夏の空はまだあかるい。

解説:「已に過ぐ兩三の邨」は李白の「軽舟已に過ぐ萬重の山」(早発白帝城)を意識しています。押韻は上平声13元で、邨(ソン)・昏(コン)


続いての詩は、さっき即興で詠んだもの、戯れ歌です。


「秋日偶成」

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