建築家の提案お見せします!- マンションリノベーション編 -
こんにちは。建築家をやっているitteの近藤拓馬です。
*ご質問等を随時受付けておりますのでコメント等していただけますと幸いです
普段住まいの設計をしていると、住宅を建てたい、マンションを中古で購入してリノベーションしたいけどどこにお願いしたら良いかわからない、といった声をよく聞きます。ハウスメーカー?工務店?建築家?
どこにお願いするのが自分にとって一番適しているかは専門家に聞かないとわからない、ただどの専門家に聞けば良いのかすらわからない。
そんなお悩みの20〜40代の方が世の中にたくさんいらっしゃると思います。今回はその中でも一番イメージしずらくてハードルが高そうな「建築家」へ依頼したらどんな感じの提案をもらってどんなお家になるのかを建築家である僕自身の実務としての実体験を元にほんの一部をご紹介します。
今後、「提案お見せします!」はいくつかシリーズでやっていこうと思うのですが今回は「マンションのリノベーション編」です!
マンションのリノベーションって、何?
マンションのリノベーションは昨今、中古のマンション購入からリノベーション(改修工事)をすることで新築の注文住宅よりも数百万円単位で安価に自分の夢の暮らしを獲得できるということで人気のモデルです。
特に都内や都心の場合、土地付きで家を買ったり建てたりすると駅から離れていたり、中古でないと高額になるところを、マンションリノベーションは土地代が掛からず、工事費用のみのため、駅近くや景色の良い高層階にマンションを購入するといった利便性やプライベートな領域の確保ができるのもまた魅力のひとつです。
まずはヒアリングから
提案の説明に入る前にまずはどんなクライアントなのかを説明しておかないと、どんな暮らしやお家なのか想像できないですよね。
下記資料は実際にクライアントとの初回打合せからお住まいのご家族のご要望や条件をヒアリングした議事録です。今回は僕の前職での担当案件をベースにご紹介します。
*守秘義務がありますので、個人情報がわかる部分は伏せております。
いかがでしょう?お住まいの要望のヒアリングはかなり具体的な方もいれば抽象的でまだまだ想像できていないという方もいらっしゃいます。
そこは人それぞれの性格やペースがあるので問題ありません。悩みも含めてお話ししていただき、課題や夢を具体的に解決、実現していくために僕らがいるからです。
今回のクライアントの場合はヒアリングによって、どのような住まいにしたいのかが具体的な方のようです。難しいのは具体的であるからといって全てが叶えられるのかは予算や既存の建物の状態等によってその都度違ってきます。
そしてこうしたい、ああしたいということが具体的でも旦那さんと奥さんで意見が違ったり、子どもの年齢や夫婦の仕事や生活の時間帯の違い、家の広さ等で実際は使いずらかったりコストばかりかかって勿体無いことがあります。
まずは全ての要望をお話しいただき、悩みや夢を伝え切ってきださい(ここ最重要)。本当に叶えたい夢は実はよくよく聞いてみると違っていたりすることも多々あります。
例えば、以前担当した注文住宅では「広いリビングが欲しい」とおっしゃられた方がいらっしゃいます。リビングは広いと家族で過ごしやすく僕もすごく良いと思います。
ただよくよく聞いてみると、「庭に木々を植えたい」「サーフィンの道具をしまう倉庫とシャワーブースが外に欲しい」「家族で食事をするテラスが欲しい」等々
なるほど、リビングを広くすると庭が狭くなり、庭を広くするとリビングが狭くなる。難しい課題ですね。そんな時皆さんならどうされるでしょうか?
リビングを広くして小さい庭を作りますか?庭を広くとってリビングを小さくしますか?どちらかを諦めますか?
僕らは諦めませんでした。リビングと庭を「掛け算」して考えることにしました。僕らは「家族で過ごせる様々な種類の庭に囲われたリビングを敷地の真ん中に置く」という提案をしました。リビングと庭は一体的につながり、サーフィンの手入れやテラスで家族で朝食やBBQをしたり、観賞用の木々や芝が植えられており、リビングからその木々美しく観賞できます。
敷地全体がリビングであり、庭が家の中まで入ってきているようなそんな暮らしの提案でした。暮らせる場所を最大限に広げつつ、庭は建物ではないため建物としての工事費用が掛からないためコスト的にもお得という課題解決をしました。
この提案をさせていただいたクライアントは今も幸せにご家族で暮らされとても満足いただいています。
僕の最初の住宅担当案件だったので僕としても思い出深い出来事ですが、今もこの当時の気持ちや空間でクライアントの課題や夢を解決するという心構えは全く変わっていません。
みなさんも建築家に依頼する際はまずは夢を伝え切ってみてはいかがでしょう。あなたの今後の人生を一緒に考え築き上げていく大切な話、とても大切なことだと僕は思います。
建築家の提案お見せします!
それではお待たせしました。ここからは実際にクライアントにプレゼンテーションさせて頂いた資料の抜粋をご覧いただきます。僕が普段やっているのは注文住宅やマンションのリノベーション、店舗等の設計です。今回はマンションのリノベーションということで、提案資料としては下記のものでプレゼンテーションをしました。
①プレゼンブック
(ヒアリングを元にした空間のコンセプトをストーリー仕立てで示した紙芝居のようなもの)
②図面資料(平面図1/50)
③建築模型(1/30)
案件によっては「パース」という3Dソフトで描く完成予想図のような絵を提出します。今回は建築模型を主体に提案しました。理由としては、図面が読めない方でも模型ならば自然に見ているだけでどんどん意見を話しやすいからです。
上から眺めたり、実際の目の高さを想定して模型を覗き込むことで「キッチンはもう少し広くても良いかも」「リビングは子どものおもちゃを置けるスペースを確保したい」「玄関周りの収納を増やせますか?」といった具体的なことを想像できるところまで模型を作るため、打合せ中に自然に意見が出てきます。
「図面は読めないけど模型のおかげで助かりました」という意見もよくお聞きします。特に女性の方は図面が苦手な方や空間を三次元で想像されるのが苦手な方が多いようで模型がないと打合せが難しい時もあります。
パースは照明や模型で説明できない場所やより具体的な素材感を提案したい時に活用したりします。店舗等ではパースの方が需要がありかもしれません。
と、いうことで今回は模型を主体にプレゼンブックでコンセプトを物語調に紙芝居形式でプレゼンテーションしました。
みなさんにもこれから実際のプレゼンブックの抜粋版をご覧いただきます。クライアントになったつもりでどんな住まいになるのかをワクワクしながらご覧いただきたいので、前述したヒアリングの議事録を読まれていない方は読了していただき、クライアントの気持ちになりきってからご覧下さい。
プレゼンブックを見てみよう
それでは、プレゼンブックをご覧下さい。
いかがでしか?建物のコンセプト、すなわち「暮らしのテーマ」はご理解いただけましたか?
「光と風」といったクライアントの大切にされているものと家族で過ごす大きなワンルームでの暮らし方をキャットウォークと素材の豊かさで解決した提案です。
マンションは壁で仕切り個室で過ごすことが一般的ですが、せっかくのリノベーションですので注文住宅のような家族でゆったりと過ごせるオリジナルの広いリビングを時間を実現することを念頭に置きながら、猫ちゃんも家族の一員であることを大切に考え、キャットウォークによって空間を仕切ったり棚として使ったりと最大限活かし切った空間づくりをしました。
ワンルームの部屋を単調な部屋にしないために陽の光による壁や天井面の陰影がきれいに見える特殊な粒子が入った塗料を活用しました。塗装はクライアントとそのご友人、施工会社と僕らでDIYで塗装しました。それによってクライアントはご家族での思い出と家への愛着が生まれ、かつ工事の職人経費削減にもなります。
これ以外にも実際は詳細な図面やその後も何度も打合せを重ねて間取りや金額を調整、現場工事を終えてお住まいは無事に完成。
今もご家族で楽しく暮らされています。
完成したお家を見てみよう
こちらが実施に完成した当時の写真です。
プレゼンテーションの時から打合せや現場をご覧になり様々な部分がアップデートされて完成されたお住まいです。どのような部分が変わったかも楽しみながらご覧いただけると楽しいかと思います。
いかがでしょうか?
予想していた通りの建物でしたか?それ以上でしたか?
それとも思ったよりも物足りない?
様々に感じられたかと思います。
感じ方は人それぞれかもしれませんが間違いなく言えることは、クライアントは悩みを解決され夢の暮らしを実現できて満足されているということだけは、僕にとっての誇りです。
マンションでもオリジナルの広いリビングはできました。素材を活かした様々な色の塗料によって壁や天井面の陽の光が美しく見えているかと思います。住まいの環境ですのでフローリングや棚板、キャットウォークには柔らかく温かみのある素材として木を活用しています。
クライアントや施工業者さんとの相談によって生まれる工夫や思いが実現するのはとても楽しいです。みなさんのお家づくりも良いものになることを願っております。
今回はヒアリングから提案資料そして完成した建物をご覧いただきました。
今後もこのような形で注文住宅や他の案件を紹介したり、プレゼンテーション後の設計から金額調整、工事から引っ越しまでの流れを見れるとよりみなさんの悩みが解決できて良いかなと思っているのでそういった回も設けたいと思っています。
また「こういうの知りたい!」「〇〇はどうしているのですか?」といったご質問も大募集しております。
いつかみなさんと楽しくお家づくりができる日を今から楽しみにお待ちしております。
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近藤拓馬(Takuma Kondo) / itte
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