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自分にぴったりなマイビジネスに辿り着いても、すぐに「これだ!」となるわけではない。【後編】小宮仁至/テン職の光 #0

転職や働き方チェンジで人生が好転した人を、外部ライターが取材する連載「テン職の光」~今を黒歴史にするためのワークライフストーリー ~

本取材がはじまる前に、0記事目としてファンシップ株式会社代表・小宮仁至(こみやひとし)の物語を、前編/後編に分けてお届けしています!

【前編】では、企業の取締役として従事していた小宮さんが、会社を辞めて起業するまでの物語を書きました。【後編】ではついに、小宮節・レンアイ型®採用に至る物語が展開されます。

「僕が毎日発信しているのは、みんなに僕みたいな失敗をして欲しくないからです」と話す小宮さんの失敗談と、そこから得た気づきをぜひご一読ください。

〈取材・執筆:三好優実〉

採用業界参入後、独自メソッド「レンアイ型®採用」が生まれるまで

ー前回は「未経験だった採用業界で起業する」と決めたところまでお聞きしました。業界を決めた後は、どんなことからはじめましたか?

小宮:最初はいくつかの会社に「なぜこの求人誌に掲載しているのか」を聞いて回りました。「出さざるを得ないから出してるだけ」って声が圧倒的に多かったですね。それなら僕はスマホ特化型の求人メディアをやろう!と思ったんです。早速、前職をやめてファンシップを創業して、500万円借金して社員を3名雇って。無事リリースまではこぎつけたものの、1年でしっかりお金も人もなくなりました(笑)。

ーえ。

小宮:何件かは広告が取れたし、全然うまくいかなかったわけではないけど、お金が底をつき、人もいなくなったところで「うまくいくには資本が必要」だと気付いたんです。メディアを知ってもらうために広告を出し続けないといけないし、それなりに時間がかかる。これは続けるのが難しいと思いました。ただ、採用のジャンルは間違えてないと思った。

ーなるほど。採用はあってるけど、メディアではなかった。

小宮:いま思えば、まだこの時も自分を信じられていなかったんだよね。市場のニーズとか資本力とかで頑張ろうとしてた。だけどもう人もお金もなくなったので、使えるのは自分しかない。

ー次はどんなことに着手したんですか?

小宮:人もお金も失ったのが、ちょうど2016年のゴールデンウイーク。つまり連休に休めてしまう。そんな自分をめちゃくちゃ情けなく感じました。認めるしかないって思ったんです。どこかで「自分はやれる人間」だと思っていたけど、そんなことはなかったって認めようと。人のせいにしてダメだったけど、自分でやってみてもちゃんとダメだった(笑)。

ダメな自分を認めて、尊敬している方数名に連絡しました。「俺困ってます」「なんでもやるから仕事ください」って。脱いだ瞬間だったよね(笑)。

ー脱いだ瞬間(笑)。脱いでみてどうでしたか?

小宮:それが皆、意外と普通なの。いいよー、オッケーみたいな。これからはちゃんと色んな人に相談しようと思ったよね。そんな時、とあるコンサルタントの方に出会いました。彼のやり方はまさに「自分を使う」ビジネスモデル。今僕がやっているような、セミナーして個別相談して、コンサルティングに結び付けるっていうスタイルです。沖縄ではコンサル料なんて取れないと言われていたし、思っていた中で、やれている人がいた。しかも同い年。この人のビジネスモデルをちゃんとご指導願いたいと思い、個別コンサルを申し込んだんです。

ーそうだったんですね!個別コンサルはどうでした?

小宮:それが、ちゃんと自分を炙り出してもらったら、2回目で独自メソッド「レンアイ型®採用」が出来上がったんです。自分の中にあったものを一つひとつ分解して、その方のビジネスモデルに当てはめるとすごくしっくりはまった。今思うと、はじめて人のアドバイスを「ちゃんと聞こう」って姿勢になったのが良かったのかもしれない。

ーそんなにすぐに出来上がったんですね。ちょっとびっくりです。

小宮:そうそう。さらに、次はセミナーをやりましょうって言われて、すぐにセミナーを開催しました。最初は小さいセミナーからスタートしたんですけど、告知チラシを見た商工会の方が声をかけてくれたんです。「ちょうど採用について喋れる人を探してました」とのことで、登壇4回目にして、いきなり40人くらいの前で喋りました(笑)。で、申し込んでくれた会社の求人広告を書き直したところ、すぐに7名の応募があり、2名の採用が決まったんです。それからは、セミナーの反響も実績もトントン拍子でうまくいった。人生ではじめて、自分の努力以外でスムーズにコトが進んだ瞬間でした。

ーすごい!!ピタッとはまるものがあったんですかね。

小宮:うん。今までうまくいかなかったことが、自分を使うことでうまくいくんだなって思った。余談だけど、大きなセミナーのきっかけになった商工会には、以前売り込みに行ったことがあるんです。その時は「できない理由」を並べられ、あしらわれました。だけどあちらから求めてきた時は「できない理由」はすべて担当者側でどうにかしてくれた。

自分にぴったりなマイビジネスを見つけても、すぐに「これだ!」とはならない

ー変化の最中、メンタルは変わりました?

小宮:まだこの時点では夢中だよね。他に選択肢がないから、これでやるしかないって感覚で、まだ自信には繋がっていない。だけど手ごたえはあったから、漠然と「100件やれば自信になる」とは思えていました。

ー自分にぴったりなマイビジネスに辿り着いても、すぐに「これだ!」ってなるわけではないんですね。

小宮:そうだね。だけど「これだ!」がなくても、今までに比べると、めちゃくちゃ健やかではあった。その証拠に、その年の11月、アパートを維持できず妻の実家に転がり込んだんだけど、この時はすでに「時間が解決する」って思えてたんだよね。だから状態としては随分暗いはずなんだけど、希望は見えてたんです。だから年が明けて2月にはマンションを買いました(笑)。

ーえ?!(笑)どういうことですか?

小宮:経済状況は夫婦史上最悪だけど、妻にもなんとなく僕が「いけそう」って思ってることが伝わってたんだろうね。ローンとか諸々が大丈夫だったから、買うことにしたんです。少なくとも前職にしがみついて働いてたら、マンション買おうとは思わなかっただろうな。

ー経済状況が最悪な時期にマンションを買うなんて、よっぽど未来に希望が持てないとできないですよね。それから今にかけて、レンアイ型®採用の知名度はかなり上がったと思うのですが、その間もずっと「これだ感」はなかったんですか?

小宮:「これだ!」「ビビビ!」みたいなのが120%で来たことってないかも。スタート時は70%くらいかな。それを10年かけて80%、90%に上げていってる感じです。僕は今、いかに自分がやりたくないことを辞めて、やりたいことだけをやれるかを考えてどんどん絞っていっているところだけど、少しずつ「これだ」の精度を上げてってるイメージです。レンアイ型®採用も、数年かけて去年やっと完成したような感じなんです。

ーなるほど。働き方を変える時、つい「これだ!」との出会いを期待しちゃいますが、突然「これだ!」って思える出会いってないのかもしれないですね。そう思うと気が楽かも。最後に、過去の自分が目の前に現れたとしたら、かけたい言葉ってありますか?

小宮:そうだね。僕がSNSに書くようなことは全部、過去の自分に言いたいことかもしれない。自分を信じて、自分でやってみたら、初めて周囲が力を貸してくれた。自分らしく、自分だけができることに絞れば絞るほどうまくまわっていった感覚があるんです。市場のニーズや世間の常識を優先していたら、それは得られなかった。だからこそ、そこで苦しんでる人に向けて、毎日文章を書いてる感じです。

ーありがとうございました!

Profile
2015年にファンシップ株式会社を創業。「レンアイ型®採用」という独自メソッドを考案し、業種業態問わず通算600社以上の採用の相談・解決を行う。近年では、各種公的機関からの委託を受け専門家として、主に中小企業の採用力向上に注力しており、毎年合計100名〜150名の採用成功へと導く。


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