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コミネキ緑樹園

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今まで読み溜めてきた森林、樹木、木材から環境や生物、水資源等に関するまとめ
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2022年1月の記事一覧

森の樹木に代わるもの

中世のヨーロッパでは、木材が主要な燃料としてさまざまな産業から必要とされ、価値の高くなった森は保護・管理されるものとなりました。 森では樹木が搾取されていく一方、皮肉なことですが、大きな戦争や疫病によって森は回復されてもいきました。 近世に入り、世界の海をめぐる覇権争いが始まると、今度は政治的な問題に樹木が関わってきます。 商船はもとより、力のある海軍を持つ国は軍艦を製造するために良質で長さのある木材の獲得に乗り出します。 中でも、森の少ないオランダでは木材に対する需要が増

中世のヨーロッパと森

中世ヨーロッパの森… と聞くと何だかロマンティックなメルヘンの世界を思い浮かべますが、人々の暮らしや統治において森の価値が高まり、森林を管理するための条例や法律が定められるようになったのがこの頃です。 当時は狩猟特権を持つ領邦諸侯が森を支配していましたが、鉱業や製塩といった膨大な燃料を必要とする産業が発展し、燃料となる木材を産出する森の経済的な利用価値が上がってくると、中世以前から行われていた自由な開墾を制限して、森林の維持や保護を行うようになります。 ヨーロッパでは豚の飼