映画「パラサイト」感想文

尿意に負けて劇場から途中退席した映画「パラサイト」の続きを先程テレビで見終えました。
人間の尊厳とは何でしょうな。
そんなことを思いました。
「平等なんて無いけど公平ではあるべきやと思うんよ」
なんてうちの姉がこの間言うてましたけど、公平もない気がしますね、この世には。

やっぱり「パラサイト」で印象的なのは洪水のシーン。
私の育った場所も土地が低かったのです。
大雨が降ると道路にドブの水が溢れて下校時に足首まで浸かって歩くこともしばしば。
翌日に見たドブに浮かぶ野良犬の死体は今でも記憶に残っています。
何なら斎場も近かった。
煙突から流れるけむりを屋根に寝転がってよく眺めていました。
私は魂の灰をたくさん吸って大きくなったのです。

もう実家は引っ越してそこではありませんが、「パラサイト」の子供たちを見るとやけに親近感が湧きます。

ちなみに何でそんなところに家を建てたのかと親に聞いたことがあるのですが、「とにかく土地の安いところを、と探していた」とのこと。
安いには理由があるとは考えず、「今からここは発展する!」という不動産屋の謳い文句にまんまと乗ったそうです。

私の両親は昔公務員だったのですが(二人とも民営化とか体力がもたないとかで定年までは勤めませんでした)、勉強はほどほどに出来たものの、知識がなく、また、周りに然るべき助言の出来る人がいませんでした。
二人とも実家が貧しかったから、損得勘定出来たり知識を持ったりする人が親族にいなかったのです。

以前、上沼恵美子さんが銀行員だったお父様に「家は売る時のこと考えて買いなさい」と小学校2年生の時から教えられていたとおっしゃられていました。
子供は親も環境も選べない。
しかし、私が自分のことを大好きな理由のいくつかには子供のころの生活が何かしら影響していると思うのです。
それが何かはわからないのですが。
自分の根底にある情けなさのそこはかとない感じを誰もが抱いているからこそ、あの「パラサイト」はヒットしたのではないでしょうかね。
そんなふうに思いました。


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