妹という生き様
洋食屋で食事をしていたら、隣のテーブルにいた家族がもめ始めました。
お父さんがお母さんにスケジュールの管理が出来ていないことを責めていました。
どうやらそのスケジュールとは長女さんの勉強に関することの模様。
このご時世ですから、家での子供たちの管理に両親とも頭を悩ませているようでした。
長女さんも参戦してもめだす始末。
そんななかひとり静かに過ごしている次女。
やがて料理が運ばれて家族は黙々と食事をし始めました。
重たい雰囲気が本格的に立ちこめそうなあたりで、次女さんが話し出しました。
「このオムレツって~」
ええ、ほかの3人が白熱していたことと全く関係のない話です。
ああ、妹だな、この人。
同じ妹人生を送ってきた私はまるで自分を見ているかのような気持ちになりました。
自分とは関係のない喧嘩には立ち入らず、絶妙なタイミングで何もなかったかのように別の展開を広げていく。
一見、能天気そうに見えますが、家族の平穏を取り戻すのが自分の仕事だとわかっているのです。
次女が持ち込んだ明るい話題で和んだのも束の間、納得がいかないのか長女がまたもめごとを引き戻し始めました。
長女という人たちはとってもまっすぐなのだなと感じ、またお父さんが時々「お前」って言っていたのが本当に嫌だなと思いつつ、私は店を後にしました。