スカートの風 呉 善花著 読書感想文

先々週に韓国映画「下女」の感想文をnoteに掲載した。
韓国映画「下女」感想文|こみこ みこ #note #コンテンツ会議 https://note.com/komiko2018/n/nddd0357f0958

私は映画のなかで2つの違和感を持った。
1つは1960年代における韓国の一般家庭では、子どもの前で両親が男と女の顔をして頬をすり合わせたりこめかみに唇を這わせることが自然であるのか。
もう1つは、いくらお手伝いさんであっても年上の女性に対して小さな男の子があまりにも横柄ではないかということだ。
そこで、前から気になっていた日韓の比較文化論として有名な1冊の本を読むことにした。
呉善花著「スカートの風」である。
この本が発表されたのは、1990年。
当時、中学生だった私は何となく新聞広告などでこの本を知っていた。
内容についてはあまり判らず惹かれなかったため、手に取ることはなかった。
田舎の女子中学生であった私の韓国への認識は「大韓航空機爆破事件」、「蜂谷真由美の記者会見」くらいなものであったからだ。
電子書籍で「スカートの風」を購入し、読み始めると、残念ながら1970年代半ばがこの本での1番古い記録であることがわかった。
ちなみにそれは多くの韓国女性が「芸能人」として日本へ渡っていたという内容であった。もちろん、目的は芸能活動をするためではない。
映画の舞台である1960年の韓国についてはこの本で知り得ることはなかった。
ただ、国民性として男性が恋愛感情を隠しきれなかったり、1990年まで女性の相続権や戸籍が認められていなかったことがわかったりして、映画の登場人物に対する違和感は解消された。

この本は何故韓国女性が日本を目指すのかを中心に書かれている。
彼女たちは、1970年代半ばからバブル崩壊までの日本の歴史と深く関わりを持つ。
それがなかなかスリルのある内容でたいへん興味深かった。
著者が文化面での発達を心配する箇所があるのだが、この時は2000年代に入ってからの韓国が多くの国のエンターテイメントを席巻するなんて想像だにしなかったのであろう。
著者はこの本を書いたために未だ韓国へ帰ることが難しいらしい。
魂をかけた著作は尊敬に値する。



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