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#31 魔法のスイッチ!

「トイレが俺を離さない。今、トイレに入ったら一生トイレから出られない気がする…。」

息子が朝の支度をするときに言いました。

不登校になったとき、学校は危険な場所って脳が学習してしまっているから、学校を「安心安全」「楽しい」って場所に変えていくのにすごーく時間がかかっています。

息子が再登校したころ、学校からいつもボロボロになって疲れ果てて帰宅していました。

酷いときは玄関で倒れ込んでしまったり、ベッドまで這っていきそのまま朝まで爆睡してしまったり、少し元気なときは私にイライラして当たり散らしたり、電子機器の依存症状が出てしまったり…。

そんな息子を見て私は、戦場から帰還した兵士みたいだなって思っていました。

朝、息子をお見送りするときもまるで戦地に送り出すような気持ちでした。息子にとって学校は戦場そのもの。

朝、トイレから出て学校へ行く支度をするにも不安や恐怖が付きまとう。

「もう大丈夫」

そう自分では思っていても、体はネガティブな反応をしてしまう。

何でそんな反応があるのかも自分では分からずに、それでも何とか立ち上がって遅刻してでも登校していく。

朝起きるときも、トイレに入っているときも、玄関から一歩踏み出すときも、息子はずっと葛藤してる。

毎日すごく頑張ってる。

今回、息子の「トイレが俺を離さない」ってユニークな表現で言語化できたこと、少し余裕を持って自分自身と向き合えているのかな?ってすごく嬉しかった。

どうしてトイレから出られないのか自分でも分からないけど、学校に行くのが嫌なわけではない。

少しずつ学校が危険なところってイメージがだんだん薄れてきているみたい。

行動することで、経験を積み重ねていくことで学習してる。

まだ、お腹に爆弾を抱えているような感じは残っていて、学校へ行く途中や学校でもお腹が痛くなっちゃうかもしれないって不安は抱えているけど、それでも動きを止めず前進し続ける力がある。

今回のように言語化できるってすごいこと。
今回の息子のひと言にすごく成長を感じました。

「トイレが俺を離してくれない」
って何だかとっても深い表現だね!

執着とか欲とか、嫌な気持ちを抱えているってそんな感じなのかもね。

どうやったらトイレが離してくれるのか、ゲームみたいに攻略してみたら楽しそう!

意志の力を持ってエイヤーって立ち上がれたら、いらないものすべて水に流せてスッキリするね。

息子にそんな風に伝えたら、ニコニコ笑ってトイレに行きました。

それからトイレに長い時間こもって遅刻しちゃったけど、シャワーを浴びて気持ちを切り替えて登校していきました。

お腹が痛くなるとスイッチみたいに昔の嫌な感覚を思い出しちゃうんだろうなって思います。 

お腹の中のいらないものをすべて出しきるとネガティブな気持ちも全部出せるって新しくインプットできたら、「お腹が痛くて苦しい」じゃなくて、「身体の中のいらないものすべて出せてスッキリ!」に変えていけるかな。

息子が再登校したての頃…

制服も着たがらなかったころ、甘やかしって思われるかもしれないけど、私は息子の靴下を履かせていました。

学校で靴は脱いじゃうけど、靴下は脱がないから。

お母さんがずっと見守っているから大丈夫だよっておまじないのつもりで。

「素敵な未来を歩いていけますように」
「大きな一歩を踏み出せますように」

息子の一歩は未来への大きな一歩。

心を込めて靴下を履かせていました。

この方法、息子の動きが悪いときに今でもたまにやっています。

「ついでに足裏のマッサージをしてくれないと大きな一歩を踏み出せないよ~」
って息子もふざけて笑ってます。

今では、息子の気持ちを切り替えるスイッチの1つになりました。

息子にとってお腹が痛いとか悪いスイッチもあるけど、良いスイッチも見つけたり作ってあげると困ったときに便利です。

「靴下くらい自分で履きなさい!」
「甘えるんじゃない!」

とか考えていたら、息子の笑顔を引き出せなかったと思います。

息子が1人で靴下を履くときに、私とのやり取りを思い出してくれたり、おまじないの言葉を思い出してくれたら嬉しいなって思って、靴下を履かせるチャンスがあれば喜んで履かせてます。

子どもの環境は私たち親が作っている。
親の態度や言葉でも、子どもの環境は変わる。

安心安全な環境がなければ、自分の身を守るためだけにエネルギーを使ってしまう。

そんな環境じゃ新しいことにもチャレンジできないから、安心安全で楽しいことにチャレンジできる環境を作ってあげたいです。

多分、環境を変えるために一番簡単なことは親の態度や言葉がけを変えること。

「目の前の子どもは既に十分すぎるほど頑張っている。」

これをついつい忘れて親の欲が出てきてしまいがちだけど、息子に安心して大きな一歩を踏み出す力を付けてあげられるように、大切に子育てをしていきます。

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