『コーラン』を読み終えて
今回、紹介する本はこちら。
まず、『コーラン』ってどんな書物なのかを簡単に説明する。
『コーラン』(実際の原語だと、クルアーン)とは、イスラーム教の聖典。そして、神アッラーが預言者ムハンマドに啓示した教えを記したものである。
クルアーンとは、読誦(どくしょう)・暗誦(あんしょう)を意味し、声に出して読むべきもの、と言われている。
以下の動画は「開扉(かいひ)」と呼ばれる冒頭の章の動画。アラビア語の独特なイントネーションによる響きが、美しい。
この動画では、以下の文章が取り上げられている。
このたった7行の文章が、『コーラン』自体のエッセンスとも言われている。
つまり、この文章が分かれば、『コーラン』をある程度理解したといえる。
しかし、このたった7行の文章を読んで、理解したと言える人はどれぐらいいるだろうか?
少なくとも、私は全部理解出来ていない。
だから、『コーラン』の書かれている内容をある程度理解した、とは口が裂けても言えない。
「『コーラン』を読む」という本の中で、著者の井筒俊彦は『コーラン』を理解する上で、大事な事を次のように書いている。
この言葉はどういう意味なんだろう、と立ち止まって考えて読んでいくことで、『コーラン』を理解しやすくなる。実際、読んでいく中で、これはこういう意味かな~と考えながから読んでいた。
その中で、読んでいて面白いなと思った一節があったので引用する。
今、引用した貸付という言葉のように『コーラン』では、商人言葉が頻繁に使われている。これも『コーラン』の特徴の一つ。商人言葉が頻繁に使われているには、実は理由がある。
預言者であるムハンマドが生まれ、立ち上がった場所メッカという町は、貿易の中心地として栄えていた町である。その後、移住したメディナという町も、商業的な町でユダヤ人がたくさんいる、商業、金融業の中心地であった。
こうした歴史的な背景から、『コーラン』では商人言葉が多く使われているのだ。
ただ、これはあくまで『コーラン』の数ある特徴の中の一つであることはお断りしておく。
私自身、イスラム教徒ではないが、『コーラン』で書かれているこういった商売人マインドは、日々の生活で大いに役立っている。
例えば、誰かに何か小言を言いたくなるとき。
自分が思った小言を言えば、その時はスッキリするかもしれない。
しかし、その小言を言う事で、相手は自分に対して腹を立てるに違いない。まして、その小言を言っている自分の姿を、目には見えないけど神様は見ているかもしれない。
だから、とりあえず小言を言うのはやめておこう、と思いとどまらしてくれる。
以上が、『コーラン』を読み終えての感想だ。
~『コーラン』を読む前に~
最後に、『コーラン』を読む前に、ぜひ読んでおいてほしい本を紹介します。
『コーラン』を読むのはオススメしません。
まずは、『コーラン』はどういう経緯で成立したのか、歴史的・文化的背景をざっくりでも知ってから読むのをオススメします。
そういった理解がないと、一体何を言っているんだ?となります。
・「イスラーム文化 その根底にあるもの」
イスラーム文化の根底にあるものについて、書かれているので、これを読んでから『コーラン』を読んでおくと、内容理解の助けになります。
・「『コーラン』を読む」
イスラーム文化を読んだ後に読めばよかったと思う本。実際、この本を読んだあとにイスラーム文化を読みました。タイトルどおり、『コーラン』の読み方を丁寧に解説していますの。これを読んでおいたおかげで、なんとか『コーラン』を読破できたと思います。