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斎王からの伝言

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「第五世界の兆し」からの創作小説です
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2020年6月の記事一覧

斎王からの伝言[創作]5

斎王からの伝言[創作]5

5 感応現象
 
 今日の野花菖蒲会Skype会議は、珍しくいつもよりグダグダで時間が押していた。それぞれに報告したいことがあって一つ一つが重かったのだ。後半になると本能のままに行動するコウは眠くなり、人間嫌いのエマはイライラして、一番大人で一番年下のミキは落ち込んでいた。

エマ「全く理解不能です。」イライラすると途端に敬語を使いだすので分かりやすい。

コウ「えーそうかな。なんか分かる気がする

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斎王からの伝言[創作]4

斎王からの伝言[創作]4

4  野花菖蒲会

 2011年12月24日にコウ、ミキ、エマの女性三人が「野花菖蒲会」を結成した。活動目的は、日本文化から地球規模での女性の役割を考察し、世界へ発信することだ。

 もう何度目かの会議をいつものようにSkypeで開催した。なるべく皆が次の日が休みに行う事と、長くは話さずせいぜい一時間にまとめる事が続けるコツだ。夜10時頃、寝る準備をしてから会議が開始された。この時の準備した飲み物

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斎王からの伝言[創作] 3

斎王からの伝言[創作] 3

3 栄養士 エマ

 朝から呻き声が聞こえてくる。認知症の人たちが叫び声をあげるのだ。食事の介助など身の周りの世話をする雇われた人達がいるが、通いだったし大抵掛け持ちで、患者2人位を担当する。

 集中治療室以外は、個室などなく皆が寝たきりの状態だ。お見舞いに来る人はいない閉鎖病棟の有り様だった。
 
 短大を卒業すると同時に学校から紹介された所に何も考えず下調べもせず就職した。何よりギリギリの単

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斎王からの伝言[創作] 2

斎王からの伝言[創作] 2

2  能楽師 ミキ

 父親が医者だったため、小さな頃から厳しく躾られた。物心つく頃から畳の上に座布団を敷き正座をして勉強をした。子供部屋としての仕切りは無くリビングから姿が丸見えで、怠けることなど出来なかった。長女ということもあり医者になることが当たり前のように育ち、成績は中高ともトップクラス。大学は一浪して国立の医学部に合格し、卒業後は地元の病院で研修医として働いた。

 昔から鉱物に関心があ

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