斎王からの伝言[創作]4
4 野花菖蒲会
2011年12月24日にコウ、ミキ、エマの女性三人が「野花菖蒲会」を結成した。活動目的は、日本文化から地球規模での女性の役割を考察し、世界へ発信することだ。
もう何度目かの会議をいつものようにSkypeで開催した。なるべく皆が次の日が休みに行う事と、長くは話さずせいぜい一時間にまとめる事が続けるコツだ。夜10時頃、寝る準備をしてから会議が開始された。この時の準備した飲み物は皆一様に白湯だった。
コウ「浄化とか、後片付けっていう言葉が出るのは、二人とも今の世の中に不満しかないって意味だよね。今の体制を壊したいってこと?言い換えれば男性社会に反旗を翻しちゃう感じ?」
ミキ「う~ん、そう言われると困るけど、男性とか女性って身体の構造上の話で、今までの人類の歴史からみると、ストレス耐性が強くて、筋肉がつきやすく力がある男性主導によって生きてこられたという実績から現在までの社会体制が出来上がっているとしか思えない。もう今までの男性側の実績という貯金は底をついていて、限界だとは思ってる。」
エマ「私は、女性が子供を産むために存在しているという価値観を根底から崩したい。後、結婚によって社会的に認められるという考え方を薄めたい。」
コウ「えーーと、ミキさんは、昔の栄光で造り上げた男性社会はもう機能しなくなっているから、新しい体制を女性が作り出そうってことだよね。資本主義体制を変えるという問題まで発展するけど、果たして斎王体制に解決策があるのかって思うよ。
エマさんは、女性の存在意義(子を産む)を変えるってこと?確かに斎王の条件は未婚だけど、天照大御神の機嫌をとって大和の安寧を見返りにお願いする事は、女性の存在意義にはなり得ないし、男性側の都合から利用されているだけだとも思えるんだよね。
もっとピンポイントに特化している女性側の能力を斎王から見つけないとさ。なんか、天動説を信じていた時代の方が自分にとって都合が良いから戻したいって言ってるように聞こえる。
やっぱり女性の特化した能力って子供を産むってことしかないと思う訳ですよ。勿論私だって、反論したくてこうやって動いているし、私の怒りは二人以上だと思ってる。だからみんなで協力しあって本気で打開策を見つけていきたい。」
ミキ「うん。各自が持っている真剣でやりあおう。」
エマ「…コウさんが調べている斎王って、仏教の世界観と一線を引いているようで、その実お釈迦様の教えを忠実に守っていると言われている原始仏教に似てる気がする。慈悲の瞑想というのがあって『生きとし生けるものが幸せでありますように』って考えるの。それって、斎王と同じ事をしているんじゃないかな。思考や身体を清浄にして祈る行為には何かがあるんだと思う。」
ミキ「延年みたい。寿命が延びるよう祈念する奉舞。」
コウ「トランス状態みたいなものかな。」
エマ「どちらもちょっと違うと思う。いわゆる超能力とか憑き物とか病気治しではなくて、ただ純粋に祈る感じ。御利益を願うのとも違うし、なんて言うか…無償の愛みたいなもので、言葉で言うならやっぱり慈悲かな。」
コウ「慈悲かぁ。どうやったらそんな心境になれるのかね。私はそんな心境になれる気が全くしないよ。もしその慈悲みたいな何かを発動するために、ある一定の条件が必要で、その条件が揃えば誰にでもその慈悲みたいなものが発動出来るとしたらどうだろう?…私、試しに気功を調べてみるかな。」
ミキ「私は延年をもっと調べてみる。」
エマ「じゃあ私は八正道をまとめてみるね。」
それぞれが気になる事を調べてまた話し合う事を約束し、野花菖蒲会のSkype会議は早々に終えた。