2024年に読んだ/観た米文学作品まとめ
今年読んだ/観た米文学作品をまとめました。感想や考察を書いた作品には作品名にリンクを貼り、その記事に飛べるようにしていますので、ぜひお読みください(この記事の目的は、このように羅列をしていく中で私自身が「これ読んだなあ」と振り返ることです。それ以上でもそれ以下でもありません)。
①トニ・モリスン『青い眼がほしい』
②エドガー・アラン・ポー『ポー短編集Ⅰ ゴシック編』(「黒猫」「赤き死の仮面」「ライジーア」「落とし穴と振り子」「ウィリアム・ウィルソン」「アッシャー家の崩壊」)(巽孝之 訳)
③エドガー・アラン・ポー『ポー短編集Ⅱ ミステリ編』(巽孝之 訳)(「モルグ街の殺人」「盗まれた手紙」「群衆の人」「おまえが犯人だ」「ホップフロッグ」「黄金虫」)(巽孝之 訳)
④J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(「バナナフィッシュにうってつけの日」「コネティカットのひょこひょこおじさん」「対エスキモー戦争の前夜」「笑い男」「小舟のほとりで」「エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに」「愛らしき口もと目は緑」「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」「テディ」)(野上孝 訳)
⑤ジーン・トゥーマー『砂糖きび』(木島始 訳)
⑥フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
⑦フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』
⑧ヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』
⑨J・D・サリンジャー『フラニーとズーイ』(「フラニー」「ズーイ」)(村上春樹 訳)
⑩エドガー・アラン・ポー『ポー短編集Ⅲ SF & ファンタジー編』(「大渦巻への落下」「使い切った男」「タール博士とフェザー教授の療法」「メルツェルのチェス・プレイヤー」「メロンタ・タウタ」「アルンハイムの地所」「灯台」)(巽孝之 訳)
⑪アーシュラ・K・ルグィン『世界の誕生日』(「愛がケメルを迎えしとき」「セグリの事情」「求めぬ愛」「山のしきたり」)(小尾芙佐 訳)
⑫J・D・サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―』(「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」「シーモア―序章―」)(野上孝、井上謙治 訳)
⑬マーク・トウェイン『ジム・スマイリーの跳び蛙 ―マーク・トウェイン傑作選―』(「石化人間」「風邪を治すには」「スミス対ジョーンズ事件の証拠」「ジム・スマイリーの跳び蛙」「ワシントン将軍の黒人従者――伝記的素描」「私の農業新聞作り」「経済学」「本当の話――一語一句聞いたとおり」「盗まれた白い象」「失敗に終わった行軍の個人史」「フェニモア・クーパーの文学的犯罪」「物語の語り方」「夢の恋人」)(柴田元幸 訳)
⑭ロバート・A・ハインライン『夏への扉』(福島正実 訳)
⑮David Lowery "Pete's Dragon"
年末になるとよく「今年読んだ本ベスト〇」などというものを見かけるが、どのような観点から順位をつけているのだろうか。人それぞれ読書における得意・不得意があり、人間が順位をつけている以上それはなんの参考にもならない。
という前置きを述べたうえで、あえて一般的な読みやすさ・観やすさという観点でおすすめするとすると
・「黒猫」
・「落とし穴と振り子」
・「ホップフロッグ」
・『秘密の花園』
・「ジム・スマイリーの跳び蛙」
・『夏への扉』
・"Pete's Dragon"(『ピートと秘密の友達』)
を挙げることになる。これらは、普段読書をしない人や読書に苦手意識を持っている人でも前向きに読めるであろう作品たち(感想としての「面白さ」がある)である。
さて、読書を楽しめる人や本を読んで考えたい人、文学研究をしている人にすすめるとすると以下の作品たちを提示することになる。
・「赤き死の仮面」
・「バナナフィッシュにうってつけの日」
・『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
・『秘密の花園』
・『デイジー・ミラー』
・「本当の話――一語一句聞いたとおり」
これらには作品解釈するうえでの「面白さ」が明確にある。他の作品に全くないわけではなく、もちろん読み解いていけば確実にあるのだが、これらはわかりやすい。「面白さ」をもとにテーマを立てやすい。
一方、おすすめできない作品(というと少しかわいそうなので、難解な作品、と言い直しておく)もある。
「コネティカットのひょこひょこおじさん」
・『砂糖きび』
・『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―』
これらは、根気がないと読破できないであろう作品たちである。当然読書をしない人たちにはおすすめできないし、文学研究をしている人でも黒人文学やサリンジャー短編の研究をしている人以外には推薦できない。
作品数でみると多いように見えるが、冊数としては18冊である。多いのか少ないのかは人によると思うが(私としては多い)。
読みかけの『世界の誕生日』(ルグイン)や読み溜めている『MONKEY』(柴田元幸 編)数冊、『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』(サリンジャー)、『ザ・ロード』(マッカーシー)などは来年に持ち越し。
サリンジャーやルグインを読むのは何となく気が進まない。難しいからである。ただ、サリンジャーに関しては、グラース・サーガは残り1作であるため、少し気は軽い。一方、ルグイン『世界の誕生日』はどこまでもハイニッシュ・ユニバースであり、何を読まされているんだ感が否めない。
来年はもっと映画を観たいなあと思っている。映画を観ながら考える力が衰えそうというのもあるが、それよりも、映像作品は考えられることが小説と異なり、それはそれで面白く、映像作品におけるあれこれを考えたいという純粋な気持ちが大きい。
来年も多くの文学作品にふれられる一年になりますよう。