語源)「語源」について知りたいときは何をすればよいだろうか?
表題について考えてみたい。はっきりとした答えは用意できないのでご容赦ください。
▌注意すべきこと
・民間語源/通俗語源に気をつける
・学者語源なら正しいとは限らない
・辞書に書いてあっても、それが正しいとは限らない
❖多くの文献の記述を客観的な立場で見る必要がある
▌具体的な方法
大まかに知りたい→❶まで
誰かに紹介したい→❷まで
できる限り正確な情報を知りたい→❸まで
❶辞書の語源説欄・語誌欄を見る
→名語記など古いものの語源説は、言葉遊びの要素が特に強い
A 日本国語大辞典 第2版
書籍 or JapanKnowledge
A' 日本国語大辞典 精選版
書籍 or コトバンク
B 新潮国語辞典
C 時代別国語大辞典(三省堂)
❖どのように語源説を判断するか?
【妥当だとは考えにくい説】
◎同音異義語に置き換えている説
→後世の人間が、後世に残っている発音が一緒で意味が似ている言葉を当てはめてしまったもの
◎古い時代の用例を説明できない説
→現代に残る派生的な用法を中心的な用法だと勘違いしてしまったもの
※語源説の判断を私的に試みた例
❷先行研究を探す
→できるだけ妥当な語源説を紹介するべき
A 語彙研究文献語別目録を見る
A-1 書籍情報
A-2 データ
A-3 検索
B 語源辞典を見る
→権威主義ではないが、語源についての論文がある研究者によるものか、語源学についての概説書の執筆者が関わっているものを挙げる。
B-1 語源海
B-2 新明解語源辞典
B-3 日本語源広辞典
B-4 日本語語源辞典
B-5 日本語源大辞典
B-6 暮らしのことば 新 語源辞典
C 論文データベースを検索する
C-1 国立国語研究所日本語研究・日本語教育文献データベース
https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/
C-2 その他論文を探す
↑の“論文を探す”を参照
※『日本語の研究』などの展望号を見て、さらに研究を探すのがよい
・今西浩子(2006)「語彙(史的研究)」『日本語の研究第2巻3号、など
❖どのような説がどのように否定されているかを調べる
❸資料を見る
どのような表記をしているか?
どのような意味で使われるか?
語源について述べた資料はないか?
翻訳元(英語や漢字など)は何か?
→どんな語源説が最も確からしいかを考察する
A 古代〜中世〜近世
古辞書・古記録・古文書・文学・詩歌
↓の“古典籍データベース(用例検索など)”参照
B 近現代
データベース・書籍通読
↓の“用例を探す(主に近現代)”参照
❖どのような知識が必要か?
日本語史・音韻史・アクセント史・上代特殊仮名遣い・方言・他言語…など
もし専門的に考えたい場合は、語構成・語誌で検索して、勉強するのがよいか。
▌語源について言及のある書籍・論文等
吉田金彦『日本語語源学の方法』