223.「きいろいゾウ」読了:小さな小さな欠片を見逃さないで
「きいろいゾウ」読了しました。
400ページにも渡るので肉厚な内容なのかと思いきや、ページ数を感じさせない軽やかさがある。
あっという間に数ページ読めるのはきっと書き方にも特徴があって、一切堅さがない物腰柔らかな作風なのだろうか。西加奈子さんは初めて読んだのでどういう感じなのかはわからないけれど、とても読みやすい自由な感じだった。
内容は簡単に言うと、「夫婦」や「パートナー」がテーマの内容だった。
あまりにも近くに居すぎて、気が遠くなるくらい当たり前の日常なのでもうわからなすぎて。
本当は大切でも、それすらもわからなくなるくらい毎日の生活はコツコツと自分たちを覆っていって。
あんなにわかりあえていたはずでも、ちょっとのズレでどんどんズレていくのだということ。
それに気づくまでに膨大なページ数がいるほど実は大変なことだ。簡単なのに。それが一番大変なんだということを伝えたいのかなあと。
人は誰かからどんなに説得されて、その説得してくる人は本当にものすごくできた人で言ってることも100%まともだということもわかっている人でも、自分でちゃんと気づいて納得しないと、前には一歩も進めないんだよなあ。
その気づきって、もう嫌ってほどドロドロ悩んでて「あー。やだ。出口がわからん。全然出れない」とかナメクジになってしばらく停滞している時に急に「はっとする」時があって。
本当に急に。
なんでそれに気づいたのかもわからないんだけど、急に稲妻が走ったようにポンとソレは来るのだけど。
なので決して他人からのアドバイスでそうならないのが苦しいところなんですよね。
他人からのアドバイスでちゃんと進んでいければそんな楽なことはないんだけどね。
「夫婦」って簡単なようで難しいんだろうな。
そんな難しいことを共に越えて行ける人をきっと本能で選ぶ事になっているのかな。
越えなきゃ一生わからないことがきっとたくさんあるんだよな。
性格の不一致ってものすごくじつはもったいない離婚の理由なのではないかと思ったり。(前にも書いたかな)
そもそも本当に合わなすぎたら結婚までいくのかな?
本能とかも少なからずあるはずだよね。
誰でもいいからというわけでもないはずだから。
あんなに愛し合って好きあってるときは(恋愛結婚の話ですが)、どんなに性格が違えど、その違いすらも愛せるけれど、
時が経って、だんだんその違いが愛せなくなってきてってことでしょ?
だからそもそも最初から性格は一致しないはずなんだよね。恋愛マジックにかかっちゃうもんね。恋は盲目だもんね。笑
「性格の不一致」
当たり前のことが離婚理由だなんてさ。
いろいろと試されているんだよな。
誰にって、誰でしょう。
でも、試されてるよ。
あまりにも小さい日常の欠片を愛おしむことができるのかできないのか。
見逃さないで。
そう言われているような気がする。
素敵な本でした。
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