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【連載】家族会議『良かれと思ってやったのに編』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まった家族会議エッセイ!録音記録をもとに連載で書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議2日目#1|良かれと思ってやったのに編
わが家の家族会議では、過去のわだかまりを払拭することが目的のひとつとなっている。そのために過去の振り返りを進めていきたいところではあるが、その間時間を止めることはできない。
日々時間は過ぎるのであって、同時に過去の出来事も増えていく。当然ながら、夫婦間のトラブルも日々蓄積されていく…。
2020年1月7日。2日目の家族会議は、本題に入る前に『今日のわだかまり』を解消することから始まった。
この日はゴミ捨ての日。早起きの父は、気を利かせてゴミ捨てをした。だけどそのゴミは、まだ捨ててほしくないゴミだったという。
父:気ぃ利いたふりしてってのがよくないんだな。
わたし:うん。そうだったんだって。今朝は。
母:まぁ確かにこないだは捨てようとしてたから、今朝も捨てていいと思ったかも知れないけど。今日は捨てる気がなかったから出しておかなかったんだけど。いつもわたし…。
母:頼んでないから捨ててないかなと思った。今までも何回か同じようなことがあったから、いつもの感じかなとは思ったけど。でもなんか、すごいムカついたの。わたしとしては。
父:わかりました。これからは余計なことしましぇ~~~ん。
父、73歳。しぇ~~~ん・・・。もう失笑するしかない。
一方母は、これには反応せず自分の気持ちを言い続ける。
母:なんか、こっちの意向を無視された~みたいな感じになっちゃって。ぐわーってなっちゃった。でも言わなかったの。今までも言って、あーなってこーなって…。だから言わなかったんだけど、自分としてはすごいムカついてた。
そう。母はゴミを勝手に捨てられたことで怒っていたのだが、そうだとは言わずにイライラだけを態度に出していた。
そして父は、その態度の悪さに呼応するように不機嫌になっていた。
父:ゴミの件だったのか。俺としてはベストをつくしたと思ってたから。
「ベストをつくした」と語気を強める父。はぁ。何度も同じことを繰り返しているのに、たいそうな言い草だ。
父はおそらく「ゴミ捨てておいてあげよう♪」くらいの軽い気持ちだったと思われる。捨てておけば、感謝こそすれ非難されるとは1ミリも思わなかったはずだ。
それはベストをつくしたとは言わない。小学生のお手伝いじゃないんだから。
わたし:お父さんは良かれと思ってやったんだよね。だからまぁ、「余計なことしませぇ~ん」ってなっちゃうけど、そうじゃないんだよね。本当は。
父:本当は、よくよく意図を汲み取るんだね。
わたし:意図を汲み取るのもそうだし聞くのもそうだし。お母さんもハッキリ言っておくとかね。コミュニケーション不足ってこと。だから「あ、勝手に捨てられたむかつく。せっかくやってあげたのに怒られたむかつく」ってなっちゃう。まぁ、そういうのをやってくんだよ。これから。
これまでこういう夫婦のいざこざにほとんど介入してこなかった。いざ介入してみると、本当に不毛な論争をしていることが分かる。
この会議から4年経った今、こんなやり取りしかできなかった母は成長し、父は未だに「良かれ」を一方的に押し付けてくる。
- 今日はここまで -
「良かれと思ってやったことが裏目に出る」経験は誰にでもあると思う。わたしにもある。
でも振り返ってみれば、それは自分にとって良かれであって、相手にとっては良いことではなかったのだとわかる。結局のところ、相手の気持ちをないがしろにしているのだ。
その事実を認めなければ、永遠と同じ失敗を繰り返すことになる。
相手がパートナーであるならなおさら、自分本位さに気づかなければ溝が深まるばかりだろう。
本当に相手のためだけを思っているというなら、相手にとって何が一番良いのか考えぬく必要がある。そうまでしても正しいとは限らないのが相手の気持ちだ。
とはいえ、そこに誠実さがあるならば、間違っていたとしても相手を怒らせるまでには至らないはず。たとえ相手が怒ってしまったとしても、それに逆上するのは筋違いだと気づくはずだ。
そしてどうしても怒らせたくないのであれば方法はひとつしかない。『聞く』ことだ。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の不毛な会話をのぞきに来てください!
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