【連載】家族会議『心が動いていなければ』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
【家族構成】
父：自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母：自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉：うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし：性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
家族会議16回目＃6｜心が動いていなければ
――この日は2回目の家族会議の録音を聞きなおし、その感想や思いを話し合っている。
その流れから少し脱線して、父の知ったかぶり問題に話が発展した。
昨日のブログで書いた話の内容はこうだ。
①まず、父はテレビや新聞から得た情報を、そうとは言わず自慢気に話すところがある。
②それを「テレビで見たならそういって」と日ごろから指摘していたのが母だ。
③それに対し「知識はどっからか得ようと納得できるならいいじゃん」というのが父。
今日はこの話の続きから。
わたし：
わたしもね、テレビ見て知ったことだったら、「この間テレビ見ててこういうこと言ってたんだけど」って言って欲しいなって感じはあって。それがなんでなのか…
父：
なんでなのかっていう、そこが面倒くさいな。だから前もって、俺の知識をテレビから得てるよって言ってるわけだよ。
わたし：
いや。わたし聞いてないしね。
父：
泉は聞いてないな。お母さんは聞いてる。
――なぜ情報源をきちんと言ってほしいのか。
その理由を考察することは、父が「だからダメなのか！」と納得しないと気持ち悪いだろうと思ったからだけど、父にとっては、「そこが面倒くさいな」なのだ。
そこが面倒くさい。
これもまさに、感情の喪失になるだろう。
知ったかぶりが感情の喪失になるのと同じで。
※感情の喪失の話については昨日のブログ、もしくは古賀史健さんの記事をお読みいただきたい。
わたし：
うん。確かにさ、情報源は何でもいいんだけど。
お父さんの考えによるものなのか、お父さんが経験した事実に基づいたものなのか、人から得た情報を伝えるだけなのかはハッキリしてほしい感じはあるかも。
父：
これりゃかなり問題が多い男だな。俺はやることが多すぎる。そういうところは昔からずっと変わってないんだわ。そういう男なんだな俺がな。
わたし：
そ、そうだね。
――反論できなくなると、自暴自棄になり自分を卑下しだす。しかし「俺が悪いんだ」と言いながらも伝わってくるのは、父の怒りである。
それが自分に対する怒りなのか、わたしに対する怒りなのかはわからないけど。
父：
嫌な思いをさせる。こりゃ参ったな。こういうのを人徳って言うんだろうな。悪い方の。だから俺が参考にしてる萩野さんなんていうのはいい方の人徳なんだよ。柔らかく説明してってさ。手間暇かけて時間を惜しまない。柔らかく相手を納得させる。
そういうのって俺駄目なんだよな。だから情報はどこだっていいだろうと。結論から言った方がいい。そっちのほう行っちゃってるかからね。どうやったらなおんだろうね。そっか、昔となんか変わってんのか？変わってないと。ずーっと。今でも嫌な思いをしてる。それは泉も同じだと。2人が言うんだったらそうだろうと。
本当1回俺を壊さなきゃいけないね。めちゃくちゃに。
――普段口数の少ない父が一気にまくしたてるとき、大声で怒鳴るのと同等の威圧感がある。
突っ込みどころは満載だけど、「俺は全部わかってる」「それ以上何も言うな」と威圧されると尻込みしてしまいそうになる。
負けないけど！
わたし：
壊すってなると結構大変。壊すっていうか受け入れる。何回も言ってるけどさ、「受け入れる」なのかなって思ってるんだけど。
その話の情報源に関してわたしが今思ったのを言うと、お父さんの考えに基づいた話とか経験に基づいた話は、お父さんの言葉として真実味があるものとして受け取れる。だけど、テレビの情報とか、本の情報って経験に基づいてないからリアリティが感じられないのかなって。
言葉のニュアンスとリアリティーさにギャップを感じるから気持ち悪い。って感じになるかな。
父：
したらその情報の話を言うならば、情報源をまず話して、説明をしなさいよと。
わたし：
しなさいよっていうか。
してくれた方がすんなり入ってくるかな。お父さんの話が。
母：
今泉が言ったように経験に基づいたとか、そういう話ってお父さんとしても責任持って話せることだけど、他からの情報って…責任取ることもないんだけど、なんていうか。
わたし：
いやでも、それはそうだと思う。責任は取らなきゃいけないと思う。自分が言った言葉にはね。
母：
ということになるよね。
わたし：
テレビで聞いたならテレビで聞いたって言っといた方が、自分のためってこともあるかなって思う。
父：
また一方では、俺の経験則で言ったやつに関しては、自慢ぽく聞こえると。やっぱ俺の人間性が悪いんだよ、きっと。
――ここでじっくり考えることなく、「とにかくなんでも自慢に聞こえるんだろ？」といっしょくたにしてしまう。
そこが、人間性が悪いと思う。
わたし：
テレビで見た話も自慢っぽく聞こえるけどね。だから話し方が基本的にそういう話し方なのかなって感じもする。
父：
そっちの方だべ。情報源っていうよりも
わたし：
いや情報源も相当、いつも気持ち悪いよ。お父さんの考えなのか、テレビでただ見た話なのかわかんないと。
父：
そこを直した方がいいのか。
わたし：
うん。言うように意識すればいいだけのことじゃない？って感じはするけど。
父：
経験則のことについても、何か変えないと自慢ぽく聞こえるんだな。そことか変えればいいのか。
わたし：
それ、なんかさ何回か目かの途中でも言ったけど、「自慢していい？」とか「自慢させて」とかって言ってくれると受け入れやすい。
父：
いや、自慢と思ってないもの
わたし：
自分がね
父：
意見を言ってるんだから
わたし：
うん。ただお父さんが経験を話してるときに、全てが自慢話に聞こえてるわけではない。自慢話のときに自慢に聞こえるから。経験の話の中に自慢が混じると分からなくなるのかな。この辺は細かく見ていかないと難しいところだと思うけど
父：
ほんとだわ
――わたしからしてみれば、自分が言いたいことが自慢なのか意見なのか、自覚してないことのほうが問題だ。
自慢ぽく聞こえないように話そうとしても、今まで無意識だったのだから無理だろう。まず自慢だと自覚しないことには。
－ 今日はここまで －
昨日に引き続き古賀史健さんのブログから引用したい。
ソーシャルメディアに流れる短文情報や、要約された「あらすじ」などでなにかを知ってるつもりになるのは、とても危険なことだ。正しい理解に至らないというだけでなく、こころの動かしかたを忘れてしまうという意味で。
ソーシャルメディアはテレビよりもさらにかいつまんだ情報になっているだろうけど、テレビだって同じだろう。
正しい理解に至らない。
誤解が生まれ、誤情報が広まる。
それは、こころの動かし方を忘れてしまった人たちによる仕業かもしれない。
やっぱ「心」だよねぇ。
自慢だって、純粋に嬉しくて、伝えたくて聞いて欲しくて…そんなワクワクした気持ちが垣間見えたら、一緒に喜んであげられる。
父の場合はそれが見えず、逆に目的ばかりが目立つ。
自分の優秀さをアピールしよう、相手をけん制しておこう、というような。
そもそも、心が動いていなければ自分が自慢したいのかどうかすらわからないだろう。
心…。どうすれば動くのか。
＜次回に続く＞
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください！
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