#148　今は、猫が好き

　りかこが、学校で書いた作文を持ってかえって来た。

　『かっくんとなっちゃんの思い出』という題の作文だった。「去年のクラスでの、生きもの係のことを書いてん。」と言って、私に見せてくれた。

　「去年の5月に、お兄ちゃんの野球のグランドの倉庫の中に、カナヘビがいたので、お父さんが持って帰ってくれた。そしてお父さんはりかこに、『このカナヘビ、生きものがかりのみんなと飼ったら？』と言った。

　次の日にりかこは、学校にカナヘビを持って行った。生きものがかりのみんなで、カナヘビの『カ』から、「かっくん」という名前にして飼い始めた。みんなで、餌になるクモやバッタを捕まえた。かっくんは、クラスの人気者になった。

　しばらくして、お兄ちゃんの友達にも、カナヘビをもらった。こんどは、カナヘビの『ナ』から「なっちゃん」と言う名前にした。その日から、クモやバッタをもっといっぱいみんなで捕った。

　でもなかなか、なっちゃんはクモやバッタを食べてくれなかった。お兄ちゃんが、『まだ３年３組に来てすぐだから、そんなに食欲がないのだろう』と言ったが心配だった。それから数日たつと、環境になれて、すごい勢いでガツガツ、クモやバッタを食べるようになった。りかこは、安心した。

　それから、七ヶ月後にかっくんが死んだ。りかこは、泣いた。その３日後、りかこは、なっちゃんを公園に逃がしに行った。」

　作文には、このようなことが書かれていた。

　「獣医さんになりたいと言い出したのは、そのころやったな。」と私が言った。

　「今は、猫が大好きやで。」と妻がいうと、「やっぱり、生きもの係やな。生き物の世話が好きやな。今は、猫が飼いたいんやわ。」と私が言った。「友達の家に猫を見に行く時もあるわ。猫がかわいいとか、猫に癒されるとかよく言ってるわ。この頃、大きくなったら、猫カフェで働きたいというてるわ。」と妻が言った。
　
　＠家族　
#猫のいるしあわせ 　 #子どもの成長記録